ジリリリッ ジリリリッ ジリrッ…「…まだ6時やんけ…」
6時から7時まで3つに分けてあるアラームで起きた俺こと若井滉斗。
いつもこのアラームは眠りを浅くするためだったから普段は2つ目か3つ目に起きていたのだが、
昨夜はあまり眠れなかったこともあり、この時間帯で目が覚めてしまった。
なんで眠れなかったのかって?なぜなら今日は俺が入学する青林檎高等学校の入学式だからだ!!
…と言ってもまだ時間的にも早すぎる。もう一度布団を被ろうと思ったが、その気にもなれない。
「今日の準備…は昨日の俺が珍しくやってるからなぁ…」他にやることも思いつかなかったので、
下の階の洗面所に足を運んだ。
「ふぅ〜…完全に目が覚めたぜ」歯磨き、顔洗い、着替え。
諸共済ませた俺は空っぽの胃に朝食を届けることにしたが、いつも冷蔵庫の中にあるご飯がない。
今日は他のところにあるのかと思った矢先、冷蔵庫の表面のメモが目に入った。
『滉斗ごめんね!今日は朝が忙しくてご飯作れませんでした…申し訳ないけど適当に食べて!母』
メモを読み終わると「ありゃりゃ…」と声が出た。
そう、俺の親はシングルマザーだ。1日中休みなく働いてくれているが、明るくいてくれている。
そんな母親が大好きだった。自分も根明な方だったので、母親譲りだと思うととても誇らしい。
「しかしどうしますか…」適当に食べろ。と言われても、冷蔵庫には材料が全くない。
緊張なのかそれほどお腹も減ってないし、通学路の途中にあるコンビニで何か買うことにしよう。
「っよし!」適当に暇を潰してから数十分。時間も迫ってきたので、靴を履いて家を出た。
ウィーン テレレレテレ〜♬
「危ない通りすぎるところだったぜ」聞きなれたコンビニの入店音を聴きながら足を踏み入れる。
レジのすぐ横にあるガラス張りの中身を見て、数分迷った挙句定番の肉まんにした。
買うものも決まったのでさっさとレジに行こうとしたが、何か忘れてる気がする。
「えー…なんだろう…あっ、水筒!?」慌てて隅に走ってリュックの中を確認すると、予想通り、
見慣れた黒色の筒がなかった。「仕方ない。飲み物も買っていくか。」
飲料コーナーに向かっている途中、入り口の方から入店音と足音が聞こえてきた。
朝も早い時間だったから、知らないサラリーマンかとでも思って気にしなかった。
適当に内容量の多いものを手に取って再度レジに向かう。
「「これお願いします」」
自分以外の声が重なって耳入った。反射的に相手を視界に入れるより先に口が動いた。
「あっすみませ…ん…」
声の主を見た途端、謝罪は途切れてしまった。だって、相手が、
??「若井…?」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!