「静かにしてくんない?」
そう怖い顔で言われたのは今から約一時間前。私はたぶん今泣いている。一時間前からずっと。なぜ泣いているかって?
普段私がどんな憎まれ口を叩いても笑って許してくれる、そんなたらいがなぜ急に冷たい態度になったのか。それがわからなくて泣いていた。嫌いになった…?いや、それは絶対にない、…はず。確信できないのはそれは思い込みかもしれないからだ。なぜたらいに嫌われるはずがないと思っていたんだろう。酷いことも言った。少しの暴力もあった。私が酷いことを言うたび悲しそうに微笑むたらいの顔が思い浮かんだ。たらいの気持ちをないがしろにしたことなんて何度もあったはずだ。でも、それでもずっと一緒にいてくれてたから…そんなことを考えても、罪悪感が胸から消えない。素直になれない自分に嫌気がさしていた。こんな気持ちがいつまでも続くのは耐えられない。
たらいに謝りに行こう。
涙を拭いてベッドから立ち上がろうとしたとき、ノックが響きたらいが入ってきた。私の顔を見るやいなや彼は顔を青くした。多分涙の跡が残っていたのだろう。たらいは私を抱きしめて、
「あきら、ごめん。俺…さっきちょっと具合悪くて…泣かせるつもりとかなかったんやけど…」
多分たらいも泣いている。さっきからずっと涙声だ。
「泣いた私が馬鹿みたいじゃないですか…」
馬鹿馬鹿しくなってきてお互い泣きながら笑った。
「…そろそろ離れろ…おい、たらい」
「うう…だって、だってさ…あきらぁ…」
「そういうとこがダメなんですよ全く」
コメント
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わわっ 、 nghbあんまり見ないから嬉しすぎます 😭😭😭