彼は、「人の不幸は蜜の味」だと説うた。
私が幾度となく”神様”だと云ったそれも、結局は只の欲の塊に過ぎなかったのだ。
最低だ。最低だった。
でもそんなところも、全て愛してやりたいと想うのは、きっと変な事なのでしょう。
吐き気と、もうどうにもならない倦怠感が蝕む、寝床と空気の中。
私は来るかも分からない「おわり」を待っていたのだ。
過去に縋っていたのだろう。
いつの間にか、全てが愛おしく思えていた。
私は最低を貪っていたのだ。
ただ、一瞬でも。
過去へ戻れる魔法が使えたらと、願ってしまったんだ。