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-20××年 冬
気づけば習慣になっていた男女数名でのグループ通話。
この日は珍しく男友達2人と私の3人だけだった。
いつも通りゲームとか宿題とか教師の話をしていた。
しばらく話していると 何故か匂いの話になった。すると2人が口を揃えて
「翔のジャージはマジでいい匂い。
女子みたいな匂いする。」
とか言い出した。私はかなりの匂いフェチなので、面白半分でグルラに
私【@翔 ジャージ貸して】
なんて馬鹿みたいなことを送った。
これがきっと全ての始まりだった。
しばらくすると
翔 【え?なんでだよ𐤔】
と返信がきた。
まぁ無理だろうと思っていたから別になんとも思わなかった。
私 【通話してたらこいつらが翔のジ ャージいい匂いとか言ってたか ら気になった𐤔】
翔 【女子みたいな匂いってなんだよ 𐤔】
グルラではそんな会話で終わった。
驚いたのはその後だ。個人LINEに
翔 【ジャージの話マジ?】
これにはほんとに驚いた。
グルラでは話すけど個人ではほとんど話さないし、全然関わりがない。
そんな相手、しかも異性にこんなことを聞いてくるものなのか?とは思った。こんなこと言ったら特大ブーメランになってしまうけどね。
私 【貸してくれるん?𐤔】
貸して貰えたらラッキー。それくらいの気持ちで送ってみた。
翔 【貸してほしいって言うなら全然 貸すけど、、、】
こいつはアホなのか?普通異性に頼まれたからってジャージを貸すものなのか?私の頭の中はそんな考えでいっぱいになった。
私 【それなら貸して】
借りれるものは借りておこう。
いい匂いなんて言われたら嗅いでみたいですよ。
翔 【いつ渡せばいい?】
私 【明日体育あるからその時で】
翔 【じゃあ友達に預けるわ】
そんなこんなで借りる約束をしてしまった。ちゃんと嗅いでみてもいいか聞いたから犯罪にはならない。
私はワクワクしながらその日は寝た。
-次の日
「授業疲れた〜」
友達と話しながら教室へ戻る。
「おい、これ翔から預かったんだけどさ、、、」
翔の友達が話しかけてきた。
龍だ。こいつとは小学校も同じで結構話せる。顔にお前やばくね?って書いてるようにしか見えない目で見てきた。
「うん、借りた。」
「お前やば𐤔翔に返してくるわ」
受け取ろうとしたら龍が走って逃げ出した。
龍はまぁまぁ運動できるし足も早い。
追いつける気はしなかったがとりあえず追いかけた。
でももう遅かった。翔にジャージを渡していた。
「やべ!」
龍は私の存在に気づいたらすぐに去っていった。
翔と目が合う。気まづい。かなり気まづい。
しばらくすると翔が歩いてこっちに近づいてきた。
「これ、龍が持ってきた」
ジャージを差し出してきた。
いや、そこまでする?普通。
もう何が何だかわかんないんですけど。
「ありがと」
お礼だけ伝えて着替えに行った。
更衣室に行くと友達が
「さっきの龍の話どういうこと!?
翔にジャージ借りたの?キャー!」
ちなみにこの友達の名前は真希。
真希はいつもこんな感じだ。
「まぁ、うん」
その後ゆっくり事情を話した。
「もしかして翔、アンタのこと好きなんじゃない!?普通そこまでする?」
まぁ私ももしかして、とは思ったけどほとんど関わりがない。
「それは無いと思う」
「え〜」
そんな話をその日はしていた。
帰る前に少し匂いを嗅いでジャージは返した。
「貸してくれてありがと」
「もういいの?」
「うん、もう嗅いだから」
「早くね?𐤔」
その後はお互い部活へ向かった。
部活中、翔のしてきたことが頭から離れなかった。普通はしないよな。でも翔はする人なのかも。真希があんなこと言ってたけどもしかして。それはないか。そんなことを考えていると部活が終わった。
-帰宅後
お風呂から上がりスマホを手にする。
するとLINEの通知が来ていた。翔だ。
翔 【俺のジャージどんな匂いだっ た?】
自分の匂い聞くんだ𐤔
私 【いい匂いだったよ】
翔 【そうなんだ。例えばどんな感じ の匂いだった?】
細かく聞こうとしてくるところが少し面白い。やっぱり自分の匂いは気にするものなんだ。
私 【うーんとね。パァってなる匂い】
翔 【パァ?𐤔どんな匂いだよ𐤔】
私 【バニラみたいな匂い。結構好き】
翔 【そんな匂いするん?マジで?】
私 【うん、めっちゃいい匂い】
翔 【そうなんや】
少し楽しかった。借りて良かったと思った。
翔 【そんなにいい匂いならまた貸そ うか?】
え?こういう事に2度目ってあるものなのか?どうしよう。ここまでくると真希の言ってたことは合ってるのかもしれないとか思ってしまう。さすがに自意識過剰かもしれないけど。