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今現在進行形で書いてる作品よりかはだいぶマシだと思います。
凪玲初夜えっちです。
俺たちは男同士なんだし、男女と同じじゃなくてもいいと思ってたんだ。 一緒に過ごせる時間はそれだけで幸せだし、たまに手を繋いだり、キスをしたり。それで十分満たされるんだって。
だからこの時まで考えもしなかった。凪がそんなことを考えてたなんて。
「玲王、俺、玲王とえっちしたい」
言われた瞬間、頭が真っ白になって。
その次に顔が燃えるように暑くなっていった。
そのまま足を滑らせて倒れそうになったところを支えられて、涼しい顔した凪の顔がすぐそこに見えては、思わず息が止まる。
こいつ、やっぱ、顔がいい。
俺の宝物は曇りない眼で、純粋な子供みたいにこっちを見詰めてくる。返事を待つ、その間がかなりいたたまれなかった。
とはいえ、よくよく考えれば当たり前なのかもしれない。何せ枯れた年寄りでもなく、俺たちはまだまだ若い、言ってみれば精欲旺盛なオトシゴロだ。
何もなくたってムラムラすることはあるし、そうなってしまえば夜に一人で慰めることもある。
そんな時、頭に思い浮かべる相手は、グラビアなんかの女の子じゃなくて、今では凪だったりもしたけれど。それで罪悪感を感じたりもしてたけれど。
けれど何故か凪はそういうのはないと思ってた。勝手に思い込んでいた。この自由で我が儘な男(エゴイスト)は性欲なんか超越しているように見えたんだ。
まあ、それは俺の勝手な幻想ってやつだったわけだけど。
「……分かった。けど、準備もいるから、時間が欲しい」
「準備?」
「男同士なんだし、当たり前だろーが」
「そうなの?」
「そーなの」
不思議そうに首を傾げるところを見ると、本当に分かってないんだろう。ともあれ素直に頷いてくれた凪とは、その日はキスだけして別れることになったのだった。
もしも。もしも、凪とセックスするならば。
純真無垢でも無知でもないヨコシマな俺は、実は全く考えたことがなかったわけじゃない。
もし、その時は多分、自分が女役になるんだろうな、とは思っていた。
一応、男同士のやり方とか、調べてみてはいたんだ。それでどう考えてもそっちの方が負担が大きいし、何より準備の手間もかかる。凪の身体に負担はかけたくないし、準備も面倒がりそうだしーー俺が凪に抱かれたかったから、っていうのもあった。
だからこの日からこそこそと、夜、自分の部屋で、秘密の準備をするようになって。流石に初めはこんなとこに入るのかとか不安を感じたりしたものの、毎日少しずつ続けていけば確かに進歩も感じられた。
それでも気持ち良いとかは、よく分かんないんだけど。それでもこれが凪だったら、と思うだけで興奮できるんだから俺も大概だと思う。
最初は一本しか入らなかった指が二本、三本と受け入れられるようになって、人体の神秘を思い知る。
合わせて必要なものは通販で買い集めて、勇気を出して凪にメッセージを送った。
『わかった。いく。』
いつになく早い返信はたったそれだけの言葉で。
けれどもう引くには引けないのだとーーいいや、引く気なんかないんだと、覚悟を決めた。
多分、今日。俺は、凪とセックスする。
部屋に入ってすぐに距離を詰められて、あ、と思う間にキスされていた。柔らかく唇を啄むキスは、けれどすぐに深くなっていく。
いつもはもっとのんびりしてる癖に、今日はやけにがっついてくるな。言えば、「お預けくらわせたのは玲王じゃん」と拗ねたように言ってまた、キスされた。
そのままの流れでベッドまで引っ張ってかれて、キスをしながら力任せに押し倒される。唇だけじゃなく頰や、首筋や、鎖骨にまで。降らされるキスはくすぐったくて、つい笑ってる間にシャツに手をかけられた。
少し乱暴な手つきで脱がせようとするのを、身体を捻って助けてやる。上半身がすっかり裸になってから、今度は凪の方を脱がせた。
お互い、裸を見るのは初めてなんかじゃない。けれど何でか今は少し、凪の視線が落ち着かない。
そんな落ち着かなさを押し潰すように、距離を詰めて抱きつかれる。綺麗な筋肉のついた身体を抱き締めてやれば、耳元で、密やかに。
「玲王、好き」
「俺も、」
「すごく、好き」
「っ!」
囁きに答えるより早く言葉を継がれて、耳朶を唇で食まれた。ビクッと身体が大きく震える。これだけでもじわじわ汗が滲んできてる。つう、と首筋に垂れたのを舐めとりながら、そのまま胸の上を手のひらと、唇が、這い回る。
鼓動が、うるさい。心臓が飛び出るんじゃないかってくらい。凪にも聞こえてるんだろうか。ただ、触られてるだけなのにこんなに嬉しいなんて、思いもしなかった。
触れ合う肌が、気持ちいい。ずっとこうして抱き合っていたくなって、けれどきっとそれだけでは終わりはしないこともわかっていた。
「玲王、」
「ん、」
促されて、履いていたパンツを脱ぎ捨てる。触れ合っただけで勃起の兆しを見せている己が少し恥ずかしくて、けれど顔をあげてみれば同じく脱ぎ捨てた凪の性器もまた緩やかに頭をもたげ始めていた。
今ので、興奮したのか。そう思うと少し嬉しい気がする。だってそもそも俺相手にーー男相手に興奮できなかったら、セックスも何もないんだから。
とはいえ、だ。
「…………」
「なに? そんなにじっと見られると、さすがに恥ずかしいよ?」
「いや、お前、それ」
デカくないか、と。声にならない声が口から漏れた。
当然、裸を見たことがあるとは言っても、勃ってるところなんて見たことはない。体格から考えれば普通のサイズなのかもしれないけど、え、いやでも、ここからもっとデカくなるよな?
マジで入るのか、これ。
呆然としてしまい、動きが止まる。不思議そうに見てきた凪は、けれどすぐに気を取り直して「それで、」と訊いてきた。
「玲王はどっちのつもりだった?」
「んえ?」
「俺に入れるの? 入れられるの?」
「……後の方」
「そっか」
さらっと頷くと、そのまま凪の手が尻の方に伸ばされてきて、そこで慌てて硬直してた身体を動かした。
「ちょっと、待て!」
「え?」
何で?? と不満そうな目がこっちを見返してくる。その瞳の訴求力に負けないように力を込めて、言い含めるように言い切った。
「準備、するから」
「えー、今から?」
「今からだよ!」
でかい図体を押しのけると、渋々凪は離れていった。できた距離が少し肌寒くて、けれど必要なことなんだから仕方がない。
じーっと見てくる視線が気になりながらも、ベッドサイドからローションを手に取った。手のひらにとろり、垂れてくるそれを指に絡めてから、はた、と気付く。
(これ、してる間、ずっと凪が見てるのか?
それってどんなプレイだよ?
でも、見るな、って言うのも変な気がするし。
多分、言っても聞かない気がするし)
はーあ、と深く息を吐いてから、まずは一本、指を入れていく。連日の準備の甲斐あって、これくらいなら簡単に受け入れられるようになっていた。
顔を少し上げれば、大きく目を開いた凪と目が合う。慌てて顔を伏せるともう一本、ゆっくり中に挿入していく。
違和感はもうほとんどない。痛みもないし、ローションの滑りも借りて、すぐに根本まで入っていった。
こんなところでも要領いいんだな、俺。お陰で、多分、きっと上手くいくはず。
三本が目安だと、調べた限りでは書いてあった。だから三本目、少し腹に苦しさを感じながら入れて、少し出し入れしたり、中で動かしてみたりして。
もうそろそろか、と思った矢先、「玲王」と焦れた声が耳朶を打った。
「な、何だよ」
「俺も、玲王にしたい」
「は?」
いつの間にか距離を詰められて、かと思えばローションの瓶を取った凪は自分の手のひらにそれを垂らしては指に絡め取っていく。
さっき自分がしたのを真似ているのだと気づいた時には、肩を押されてベッドの上にひっくり返されていた。
「はーーぁっ!!?」
「……すごい、狭いね。これ、大丈夫なのかな……」
どこか感嘆したように言いながら、凪の指が中に入ってくる。痛みはない。苦しさもない。けれど、それが凪のだって言うだけで、全身がかっかと熱くなっていった。
太ももを抱え上げられて、尻の奥まで見られながら指を入れられて。間抜けな格好になってる自分の性器が、さっきよりもずっと大きくなっている。中を蠢く凪の動きに合わせて、溢れ出した先走りが腹の上に落ちてきた。
「な、凪っ、ぁ、や、ぁあっ」
「玲王、ここ、気持ちいい?」
「っいい、からっ、ひあっ!!」
自分の指とは全然違う。長さも太さも当たる角度も、何よりどんな動きをするのか予測できないからこそ、身構えて余計敏感になってる気がする。
けれどまさかこんな風になるなんて。
「〜〜っ!!」
「ん、ここ、良さそう?」
「ひゃんっ!!」
自分の指では届かなかったところを掠められて、その途端に瞼の裏が真っ白になって、チカチカ、光が瞬く。何だこれ。ものすごくーー気持ち良かった、のか?
はじめての感覚に戸惑ってるうちに、また、同じところを刺激されて、思いもよらず甲高い声が出た。これまで出したことがない、まるで女の子みたいな声。恥ずかしくて口を塞ごうとしたら、それを邪魔するみたいにキスされた。
その間にも中を掻き混ぜる指の動きは大胆になっていって、尻の淵からローションがドロドロ溢れ出していた。何だか漏らしたみたいで羞恥心を感じる。それもすくい上げながら、凪は中をいじる指の本数を増やした。
(つーか、何でこんなに積極的なんだ!?
面倒臭がってマグロになるかと思ってたのに!)
そんな心の声は、けれど凪の目を見てすぐに消えた。
いつもの、ぼーっとした凪じゃない。
サッカーの試合の時ともまた違う。
獲物を前にした雄が、そこにいる。
ーー喰われるのは、俺か。
「……玲王。もう、いい?」
「っ、は、ぁ……っ」
そう言って指を引き抜かれた時には、感じすぎて全身力が抜けてベッドに寝そべるしかできなくなっていた。
もう、いい?
そうだ、これで終わりじゃないんだと頭を軽く上げてみては、視界に入ったそれに思わず目を見開いた。
「凪、お前……」
「うん。玲王見ながら、してた」
股の間にあるそれは、さっきとは比べ物にならない大きさに育っている。思った以上のそれに戸惑って、次いではっと思い出して飛び起きた。
「待っ、ゴム、あるから!」
「玲王。俺だって、何も知らないわけじゃないんだよ?」
「え」
言うとどこから取り出したのか、凪はコンドームのパッケージを開けると、少し手間取りながら装着していく。存外器用にかぶせきってから、太ももを持ち上げられて、さっきまで指が入っていたその入口には比べ物にならない熱が当たってきた。
「玲王、入れるよ」
「ーーっ!」
告げられた瞬間思わず身が竦んで。
けれどすぐに大丈夫だって目を合わせて頷いた。
多分、俺が本当に嫌だって言ったら凪はこの先をしない。入れなくても扱き合うだけでも多分、お互いに気持ち良くなれる。
けど、それだけじゃ嫌なんだ。
「凪、」
呼びかけて、手を伸ばして、凪の頬に触れた。
真剣な顔をしてた凪の顔が、ふっと緩んで笑顔になる。
その手を手に取られて、指を絡められて。
そしてーー身体の中を食い破るような熱が入ってきた。
「っああ、や、あっ!!!」
「っ、きつ……れお、力抜いて……?」
「やっ、むり、だ、っ……あっ!?」
指なんかとは比べ物にならない熱と質量のそれを前に、力を抜くなんて器用なことはできなくなっていた。できるだけゆっくり呼吸を繰り返そうとして、けれど息を詰まらせて軽く咳き込む。
「あ……っ! ……れお、ごめんね」
「な……っ、あっ!!」
おもむろに凪の指が性器に絡んできた。縮こまっていたそれをあやすように撫で、緩やかに扱かれて、少しずつ力が抜けてって。それに合わせて中がゆっくりと熱で拓かれていく。
苦しさはある。腹の奥に入り込んでくる異物感は拭えない。
けれどそれもこれも、今は愛しくてたまらなかった。
「れお、わかる? 俺の、ここまで、入ってる」
「ん…………っ」
「っ!」
腹の上をさすられてその存在を強く意識して、途端に締め付けてしまったようだ。眉を顰めた顔はいつになくセクシーで、また中が不如意に締め付けてしまう。
「れーお。俺、もう我慢できないよ?」
「ふ、いいぜ」
我慢なんか、お前らしくないよ、と。口の端を緩めて見せれば途端に律動が始まった。
「ひっ、ひゃぁ、なぎ、なぎ、はげし……っ!!」
「っ、れお……だめ、もう止まんない、すごい気持ちいい……!」
「っ、ああっ!!!」
余裕のない顔で、余裕のない動きで、奥まで一気に突き上げられる。がむしゃらに前も扱かれて、気持ち良くて、気持ち良すぎて、頭が真っ白になっていく。
あ、これ、もう、やばい。
「なぎ、なぎ、も、おれ、いきそ……っ!」
「いって、れお、いって、よ!」
「〜〜〜〜っあ、あっあっ、あ………ッ!!!」
中の一番気持ち良かったところと、前と。両方同時にされて、全身を電撃のような快感が走る。
急速な浮遊感と、落下感。
一瞬意識が途絶えて、それから「玲王!?」って慌てた声が聞こえてはっとした。
「玲王大丈夫!?」
「な……ぎ」
悲鳴みたいな声を出しすぎたのか、喉が掠れて痛い。唾液を飲み込んで何とか湿らせて、それから心配そうに見てくる凪を安心させようと口を開き直した。
「大丈夫、だって。気持ち良すぎて、とんでた、っぽい」
「良すぎて? 本当に?」
「ん。見れば分かるだろ」
「なら、よかった」
ほっとしたように胸を撫で下ろす凪の方こそどうなんだって、見ればさっきまで中を埋め尽くしてたものは抜かれていて、さっきより随分大人しくなっているようだった。
「玲王、気持ち良かったからイっちゃった」
「……なら、いい」
あけすけな言葉に、恥ずかし紛れに短く答えれば、凪が笑う。
その、幸せそうな顔が迫ってきては触れるだけのキスをして、「玲王、大好き」なんて言うものだから、「俺も、大好きだよ」答えながら、何だか無性に嬉しくて、まるで世界一幸せみたいな気分になるんだ。