あべ先生とむかい裙

ああべ先生とむかい裙　。

黒板に向かって　、　カツ〃とチョークを滑らせる阿部先生の後ろ姿を　、

窓際の一番前の席から見つめる　。

三年生になって　、　新しいクラスになって初めてのLTの時間と言うこともあってか　、

今日は役職や委員決めをするらしい　。

俺は二年生の六月に　、　大阪の高校から東京のこの高校に転入した　。

あべ先生は二年生の俺のクラスの担任の先生　。

三年生にあがった今年も　、　俺は運良くあべ先生のクラスになることができた。

人見知りで最初うまくクラスに馴染めへんかった俺に　、　あべ先生は色々なことを俺のためにしてくれた　。

あべ先生は

「　俺も実は教師１年目で不安なんだ　。　一緒に頑張ろ　」

と言って　、　俺を支えてくれた　。

二年の後半でクラス会長になった俺は　、

自然とあべ先生と二人で作業したり話したりする時間が増えて　、

今ではこの学校で「　あべ先生と一番仲が良い生徒は俺　。　」

と自信をもって言えるほどあべ先生とは仲良くなってた　。

やから、三年生の担任があべ先生やって知ったとき　、　ほんまに嬉しかった　。

「　じゃ~まずは委員会決めからするぞ~　、　なるべく立候補制で頼むな~　」

カタンと音をたてて　、　チョークを置いたあべ先生が教卓の前に立って俺らの方を向く　。

「　クラス会長から　、　立候補いるー？　」

『　はいっ！　』

あべ先生がそう聞くのと同時に　、　手を挙げる　。

「　康二以外にいないみたいだな　。

じゃあ会長は康二に決定　。　拍手～　」

『　よっしゃっ！　」

「　なんでそんな喜んでんの笑良かったな　」

ガッツポーズを決める俺の様子を見て　、　あべ先生が可笑しそうに笑う　。

クラス会長は担任の先生と一緒にLTの準備するねん　。

しかも二人きりやで？

嬉しくないわけ無いやろ？

『　今年も会長　、　頑張ろ　。　』