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「こんなトコにまだ悪魔がおるとはな」
「…ッ”」
「お前…そんな怪我してまで仲間を助けたのに見捨てられたんか、可哀想に」
「貴方には何も関係の無い話でしょ、早く殺せば?」
「悪いけど、俺はそんなヤツを無慈悲に殺せるくらい捻くれた性格はしてないんでね」
「あっそ、なら出血で俺が死んでくのを見届けるの?」
「んな訳ねぇだろ」
「じゃあどうするのさ」
「しばらくの間お前を保護する」
「…は?」
意味が分からない
怪我をした悪魔を保護して、それで回復させたらまた敵が増えるだけなのに
この人は何を考えているのだろうか
「あぁ、自己紹介し忘れてたな
俺は金豚きょー、適当にきょーとかで呼んでくれたらええわ」
「そ、少しの間よろしくねきょーさん」
「おいおい、せっかく俺が名乗ってやったのにお前は名乗んねぇの?」
「名乗っても意味無いでしょ、結局はすぐに殺される運命だし」
「まーた物騒な考え方だな
もう1回言うけど、俺はお前らみたいな血の気のある奴じゃないから」
ライターを煙草に近づけながらそう話すきょーさん
煙草の匂いが少しキツイ
「…レウクラウド。好きなように呼んで」
「おー、いい名前やな
レウ、これからよろしくな」
「はいはい、こちらこそよろしくね」
そろそろ領地に帰らないと怒られるから動かない体を無理やり起こそうとする
腕に力を入れると激痛に襲われ、無言で耐えることしか出来なかった
「そんな無理すんなって、一旦俺ん家に帰るぞ」
ここでまた何かを言ったら正論を言われ黙らされそうなので素直に従うことにした
いつも炎を使っているから大丈夫だと思っていた煙草の吸殻は、皮膚にあたると少しだけ痛かった
「大天使様!!ご無事で何よりで……ッえ?」
きょーさんの部下であろう人が俺の姿をみて驚いていた
そりゃあこんな戦争中に大天使が悪魔を連れて帰ってきてるんだから驚くわな…
「大天使様!!悪魔は危険です、私たちが対処するので…」
「いや、大丈夫や
こいつを無理やり連れてきたのは俺やし」
「ですが…ッ!」
「こいつは怪我が酷い
絶対に抵抗出来んのやから大丈夫。俺を信じてくれ」
「…分かりました」
やむを得ず承諾する事しかできず、すこし不満気な部下さん
そんな部下を無視しながらきょーさんはどこかへと俺を引っ張っていった
「ぃ”…ッッで…ッ”」
「痛みくらい我慢しろ、情けねぇな」
「傷口ゴシゴシされて痛がらない方が怖いわ!!」
傷薬だけでいいと言ったのに、傷に菌が入るといけないからと無理やり風呂に連れて行かされた。そしてこの有様である
きょーさんは引き続き全身傷だらけの俺の体を容赦なくゴシゴシと洗ってくる
昔、奴隷だった頃に背中をたわしで洗われていたことを思い出して少し気持ちが萎縮した
「お疲れさん、だいぶ痛かったと思うけどよぉ耐えたな」
「昔からああいうことされてたからね」
「…そうか」
その言葉を聞き、少し気まずそうにするきょーさん
もうだいぶ昔の話だしそんなに気にしてもないからそんなに気まずそうにしなくてもいいんだけど
「…嫌なこと思い出させて悪かったな、一旦浸かろか」
「そうだね」
風呂から上がると、そのまま体を優しく拭かれドライヤーまでしてもらった
ふわふわなパジャマを着させてもらい、ふかふかなベッドに寝転ぶ
「今日は災難な一日やったな」
「きょーさんに拾って貰えただけで幸せな一日だったよ」
「そらよかったわ」
今思えば、俺はどんなけ警戒心のない悪魔なのだろうとは思う
もしかしたら今夜殺されてしまうかもしれないし
「どしたん、俺の顔になんかついとるか?」
「ううん、ただ不思議だなって思っただけ」
「…え”」
「あははっ、冗談だよ冗談!
明日も早いだろうしもう寝ようよ」
「それもそうやな」
常夜灯の暖かい色が眠気を後押ししてくる
カチッという音と共に漂ってくる煙たい匂いに包まれながら、俺はそのまま眠りに落ちた
久々の®️なしです
大体2〜5話で完結します。
Next♡1000
コメント
2件
こういう雰囲気のめっちゃ好きです! 敵同士から始まるのもいいですね