「気持ち悪い」
「近付くな」
「可哀想な子」
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そんなに言わなくたっていいでは無いか。
ただ貴方達にはみえていないものがみえているだけなんだ。
僕だってみたくないんだ。
誰にも判らない、いや、判ろうとしてくれない僕の小さな言い訳。
そんなものを毎日毎日必死に考えているだけ。
壮馬「母さん、行ってくるよ」
母「うん、行ってらっしゃい。なにかがみえても絶対に無視すること、誰かに何か言われても無視すること。分かった?」
壮馬「はいはい、僕もう高校生だから!」
この会話をするのは一日でもう何回目だろうか。確かに僕は、僕が気持ちがられている理由の‘幽霊’に連れていかれ、死にかけた過去がある。
確かに心配する理由もわかるが、さすがに十年程前の事だ。
心配せずとも、僕は立派に成長しているのだが…
家の扉を開け、いつも通り学校までの道のりを歩く。
家から学校まで差程遠くはないが、近くもないので丁度いい。
僕はこの道の景色が嫌いでは無い、いやというか好きだと思う。幽霊も少なく、ましてや人間も少ないのだ。
「おはよ!!!!!!!!」
壮馬「ふぁぁぁぁあ!!!?」
「わはは」
人間も少ないから、と考えていた直後に後ろから人間に話しかけられた。
壮馬「なんだよ滉太かよぉ!」
滉太「へへ!驚いたー!?」
まさかのその人間とは、親友の近藤滉太だった。
滉太とは幼稚園の頃からの幼馴染で、僕の17年間の中での最高の友達だ。
滉太はどうかは知らんが…取り敢えず僕は滉太が居たから今此処に居ると言っても過言では無い。
何故かと言うと、簡単に言えばいじめから守ってくれたのだ。
最初は幽霊がみえる僕を怖がって無視していただけだった。
でも年齢が上がると同時に虐めもエスカレートしていったのだ。
机に落書きや、上履きや靴を奪われたりもした。そして、最終的には暴力まで振るわれたのだ。
でもそれを身を呈して、たった一人で守ってくれたのはこの滉太っていう奴だったのだ。
滉太「どーした?壮馬」
壮馬「いやぁ?なんでもないよ」
…?最初滉太が驚かせてきた時、後ろから来る気配には気付いていた。けれど無視していた。何故かって言うとさ、…幽霊の気配だったから。
驚かされた時本当に死んだかと思った。滉太で良かった、けれど、本当は滉太じゃ無ければ良かったのかもしれない。
壮馬「ねぇ」
滉太「ん?」
壮馬「お前、死んだ?」
時が止まった様な、そんな気がした。
さっきまで吹いていた風、雑音。そんな音がすべで消えたかのように静かになった。
さすがに突然お前死んだ?って聞かれたら戸惑うよな。何してんだろ僕。
滉太「やっぱ分かった?」
壮馬「え?」
え?
壮馬「え?」
滉太「え?笑」
どういう事だ…?
僕の、お前、死んだ?という質問に対して、やっぱ分かった?という回答が返ってきた。
死んだことを認めたのか?此奴は。
壮馬「え、ガチで死んだの?」
滉太「うん。交通事故」
壮馬「えがちかよ」
真逆親友は交通事故で亡くなっていたらしい。
信じられない。
壮馬「えー…まじかうわまじかぁー」
滉太「笑笑悲しい?」
壮馬「悲しい、っていうより身内が死ぬってこんな感じなんだな、って思ってる」
滉太「なにこいつ。」
悲しくない、と言ったら嘘になるが、ぶっちゃけ僕は滉太の事は見ようと思えばいつでも見れる。
しかも喋られるし、触れられる。
ただ滉太が‘生きている’という事実が無くなるだけなのだ。
壮馬「僕は問題なしなんだよね」
滉太「ちぇ、つまんねぇ!」
僕は、だけどね。
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学校到着
真美子「えー今日滉太来てないじゃーん学校来なきゃ良かったぁ」
先生「……先生から大事な話がある。皆席に着け。」
これは……多分滉太のことを話されるのかな
先生「皆落ち着いて聞いてくれ。先日、近藤滉太は交通事故により亡くなった。」
真美子「え、」
クラス「え……?」
先生の衝撃的発言でクラスがざわつき始めた。
まぁ吃驚するよな。
滉太「おーみんな悲しんでるぅ⤴︎」
壮馬「まぁ人気者だったしね滉太」
特に真美子ってやつ。此奴は滉太が大好きで、ずっと告白していた。まあずっと振られてたけど。
壮馬「てかお前成仏しないん?」
滉太「やり方わかんなぁい」
壮馬「えっまじか…」
何故だろう。普通交通事故なら死んだ後、成仏のやり方が頭の中に勝手に入れられるはずなんだけど。
自殺なら話は別だけどさ。自殺は自分で成仏のやり方を探さなきゃいけなくなる。
でも滉太は事故って…何でだ??
滉太「まぁ壮馬とずっと一緒にいればいいでしょ」
壮馬「まぁたしかに?」
これから一緒に探せばいいか。
あんまり早く成仏されても寂しいしね。
続く
(次はこうた目線)
コメント
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友達に勧められて読んだんですけど、とっても面白かったです!続きも楽しみにしてます♪