「娘さんの容態が悪化しています。もって後半年程でしょう…」
不意に、その会話が聞こえてきた。
僕は自分の耳を疑った。姉さんが──────死ぬ?
きっと聞き間違いだ。そう信じることにした。
だが、現実は甘くなかった。
その後間もなくして、姉は亡くなった。
その日の夜は声もあげずに泣いた。間違いじゃなかったんだ。
笑顔で話してくれた、愉快な話。
落ち込んでいる時、そんなこと忘れる程の優しい笑顔。
いじめっ子のことを叱ったりもしてたっけ。
思い出して、また泣いた。その時は、泣き疲れて寝てしまった。
──────半年後
その日は一年に一度の流星群の日だった。
僕はある本の内容を思い出した。
“一年に一度の流星群の日、その日は亡くなった人が、星になる日である。”
姉さんに会える気がした。そう思ったら、体が勝手に動いて、星がよく見える河川敷に向かっていた。
着いた時、もう既に流星群は始まっていた。
「綺麗…」
思わず、そう呟いた。
その時、ある星を見つけた。
ほかの星と何ら変わりはない。でも、僕はそれを直感的に、姉さんだと思った。
「姉さん!」
僕は走った。
「姉さん、姉さん!」
色々話したかったんだ。
新しく出来た友達、お気に入りの本、姉さんが話してくれたような、愉快な話。
「姉さん!姉さ──── 」
身体が、重力に引かれて落ちた。
そうだった。僕がいた場所は河川敷だ。それに足元も見てなかった。
息ができない。苦しい。
僕は目を閉じた。
「まだ、こっちに来ちゃダメ」
はっ、とした。
ここは?…病院?なんで?
頭に疑問符が浮かぶ。僕は確かにあの時川に落ちた。
真逆、と思った。姉さんが僕を守ってくれた?
「まあね、大事な弟のこと、私の所為で死なせられないよ。」
「え?」
誰もいなかった。 幻聴?
でも、姉さんが守ってくれたとわかって、僕はそれだけで十分嬉しかった。
拝読、ありがとうございました。
暁アキ
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