まだ日が昇りきらない時間帯。開館前の美術館の扉の前に、男女含めた3人の探偵が立っていた。真ん中の1番背の高い男が扉を開け、3人が中に入ると、燕尾服を着た老夫が出迎えて来た。
「おぉ、貴方達が、探偵の方ですね?」
「はい!そうです!」
3人の中の1番背の低い男が、元気よく返事をした。
「私はこの美術館の館長キィストと申します」
「早速なんですが、こちらへ……」
老夫は腹と腰に手を当て、深々と頭を下げた。そして、視線を左に向け、片手で示すと、3人の先導した。
「昨夜、こちらで物音がしたんです。確認したところ、美術品は盗まれていないようなんですが……。もし、物音の正体が人だったら、いつ盗まれるか分からないので…。調べてくれませんか?」
キィストは不安げに説明を行うと、3人の表情を伺った。
「「「わかりました!」」」
3人は同時ににっこりと笑って返事をした。キィストは安心したように笑うと、また深々と頭を下げて言った。
「建物内への出入口は全て閉じさせて頂くので、調査が終わり次第、報告をお願いします」
〜幻影編〜
みんな!この町、アインザームへようこそ!
私達3人は、アインザーム唯一の探偵団!この町に居ない警備隊の代わりに事件を解決しているんだよ!
この町はそこそこ発展してるんだけど、町長さんが外との交流を禁止にしているから、世界に全く知られていないんだ。だから警備隊もアインザームに配属されていないんだって
じゃあ、呼べばいいんじゃないかって思ったか?でもな、アインザームはあまり、事故、事件が起きない平和な町なんだ。だから警備隊を呼んでもただ無駄なだけだから、もし、そんな事が起きた時のために、俺達が代わりを務めているって訳だ
あと、ここは山に囲まれているから、移動が大変だし、最初に言ったように、町長さんが他の場所との交流を禁止しているから、呼ぼうにも呼べないんだよね〜……
っていう感じで、僕達は、たまーに起きる事件、事故、調査とかの依頼を解決してるんだ。まあ、本当に少なすぎてほぼ暇なんだけどね…
そう!暇なの!今回の依頼はすっごく久しぶりだから、張り切っていたんだけど……。やっぱり、いつもと同じ感じになっちゃったかも……?
調査に入って10分後。
3人の探偵は頭を抱えて悩んでいた。生物が入り込んだ形跡がなかなか見つけられないのだ。
「ん〜……。どこから入ったんでしょう……?」
1番背の低い白髪の探偵、ウォルケは床や天井など、辺りを隅々まで見渡して形跡を探そうとしていた。
「ネズミとかでしたらダクトとか、換気扇?でも確信は持てませんし……。もし人なら……」
探偵団の紅一点で水色髪の探偵、ヒメルはネズミか人かで絞り、入り込んで来そうな場所を観察した。
「駄目だ……。全くわからん……」
背が1番高い紺色髪の探偵、フリーゲンは2人の言葉を聞いて絶望しているところだった。
実際、3人の探偵としての腕前はいまいちだ。毎回依頼をされる度に相当な時間がかかる。
「手掛かりもないですし……」
フリーゲンの言葉に同感しながらも、ウォルケは部屋の中の絵画や絨毯までも調べていた。
「もう大丈夫だって館長さんに言うか?」
調査に手を尽くしている2人とは裏腹に、フリーゲンは壁にもたれかかり、完全に諦めていた。フリーゲンは考える事や学問が極端に苦手なため、すぐに知恵熱が出たようだった。
「いやいや、駄目ですよ!しっかり調査しなければ!」
ヒメルはフリーゲンが放った意見をすぐに否定し、調査を行い続けた。
その時。3人と、館長以外誰もいない、誰も入れない美術館に、3人と館長以外の声が後ろから聞こえた。
「おやおや。これはこれは、探偵の皆様ではありませんか。調査に行き詰まっているようですね」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!