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【機械の鼓動:プロローグ】
この世界は、ロボットと人間が共存している。この世界は一家に一台、執事、メイドロボいるのが当たり前になって来ていた。
…私も、きっと誰かに買ってもらえると思っていた…筈でした。
ですが、私の願いは…奪われる様に消えてしまいました。
私が生まれたのは羊水が満たされたカプセルの中で、気づいた時には、私は既に感情を持ち始めていたのです。「ここは何処なんだろう」、「私は何処へ行くのだろう」と、カプセルの外から微かに聞こえる人間の声に耳を傾けました。その時、私は気付いたのです。
「私は執事ロボットとして生まれて、人々の為に働くんだ」と。
そのまま様々な工程を経て、出荷直前の検査に辿り着きました…
ここから、私の悲劇が始まりを告げるのです。
出荷直前の検査で、私に異常がある事を告げるブザーが鳴り、何の事かと困惑しました。すると、工場の人々は口を揃えてこう言ってた事を、私は今でも覚えています。
「この執事ロボは感情を持っている」
私はその言葉を聞き、感情を持っている事に気付いたのです。そして、そのまま私は廃棄される事となったのでした…その時、私は心の中に悲しみを覚えたのでした。
その後、私は廃棄場にカプセルごと捨てられ、まだ目を開ける事も、口を開く事も出来ませんでした。ですが、そんなある日、私に救いの手が降りたのです。
「…あぁ、これでいい。配送は要らん、俺がまるごと持ち帰る。」
何処からか、私の方に誰かが近づいてくる音がしました。その声は、若い男性の声帯…でしたね。そして、足音は私の入ったカプセルの前で止まり、先程の声が再び聞こえました。
「まさか、廃棄理由が”感情を持った”だけなんてな…目立った異常も特に無いし、俺が引き取るのが最適解だな。」
すると、私の入ったカプセルは持ち上げられ、私はその中で揺れながら何処に向かうのかと思い、まだ開けない目を早く開けたいと考えるのでした。
そして辿り着いた場所が何処かも分からず、ついに目覚めの時が訪れようとしたのでした…
その目覚めが、私とご主人様の甘く、切なく、悲しくて儚い恋の始まりとも知らずに。
ー第一話:二人ぼっちの屋敷に続くー