今日だけは/青水
少しだけ憂鬱な1時限目、僕の右斜め先には好きな人兼彼氏が居る
気付かぬ間に目で追ってしまう程の魅力が彼にはあった
そんな彼が僕の彼氏という立場にあることは奇跡でしかないだろう
そんな中、今にも先生の話が終わろうとしている
あれ、何話してたんだっけ、?
好きな人の魅力にまんまと飲み込まれて話を一切聞いていないことに僕、ほとけは気づいた
「いむくん~?笑」
と、名前を呼ばれた
名前を呼んできたのは僕の大親友の初兎ちゃんだった
初兎ちゃんは1人でボーッとしていた僕に、
「班行動やって」
と親切に教えてくれた
班行動に初兎ちゃんが居ることは嬉しいのだが、
好きな人と離れてしまう悲しさが多かった
「離れるのやだよね~」
と、今度は同じ班のりうちゃんが
と思えば今度は初兎ちゃんが
「な、!しかも好きな人やで~?笑 」
「ぇ、っ」
と全く話についていけない僕
「あははっ!」
とりうちゃんが笑う、
それにつられて初兎ちゃんも
「ふはっ笑」
と笑った。
それにつられて僕も笑う
あー、ここにいふくんが居たらなぁ
なんて気づけばまた好きな人が頭の中に入ってくる
こんな毎日が続くと思ってたのにね
ある日、好きな人と、他4人で遊んでた
「まろ、?ほんとに言うの、?」
ないちゃんがそんな言葉を発する
どういうことだろうか
もしかして嫌われた、?
いふくんの答えを待ってみる
「おん、言うよ」
「えっ、ガチで言うん?」
「ほんまにええやんな、?」
「おん、もう決めたんや」
いふくんの言葉に初兎ちゃんとあにきが素早く反応する
それを黙って見ていた僕に、りうちゃんが心配そうな目で見てくる
やっぱり、僕になにかあるのだろうか、だったらなぜ話に入れて貰えてないのだろうか
気になることが沢山出てくる
今まで以上の不安で少し、というか結構、怖くなってきた
気づけばもうお別れの時間
さっきの話はなんだったのだろうと、思い出したくもないが思い出してしまう
そんなことを考えてみれば
「なぁ、ほとけちょっとええか、?」
ほらね。
「ぅ、うんッ……」
でも、呼んできたのはないちゃんとあにきで、
いふくんは何処にもいなかった
「いむ、多分もう察してると思うけど、」
「落ち着いて聞いてね、」
ここでもう、分かってしまう自分も怖い
でも今は、いふくんがいないことが1番怖い
『あのね、』
『まろがもういむから冷めてるから』
『明日に別れようって』
想像の着いてた文章
本人から聞きたかった
でも、別れるのが”明日”なのはどういう意味なのだろう
「わかった、ありがと、!笑」
本当は違う、分かってなんかないよ
理解なんてしてない、でも
もう、いふくんに関わるのは辞めよう
でも、やっぱり駄目かもな
だって
“体が言うことを聞かないんだもん”
気づけば、いふくんを探してて
何故か分からないけど今だけは自分が強くなった気がする
もうどこまで走ったのか分からないし何処に居るのかも分からない
でも、いふくんがいる場所はわかる気がする
探り探りで走ってた、もう何分経ったのかな?笑
住宅街を右折した時、目の前に
いふくんがいた
「いふくんッッ、!!!」
気づけば名前を呼んでいた
彼はどんな事を思っているだろうか、なんてそんなのどうでもいい
今日だけは、許して
そう心の中で呟いて僕はいふくんを抱きしめる
嫌がるかなんて気にしない
今日は、今日だけはいいでしょ、?笑
最後だもんね
ふと、彼の顔を見つめる
どこか哀しそうな顔をしている
と思えばいふくんは
泣いていた
ぱちっと目が合う、
ふふっとお互い笑って見せた
そして、言うんだ、
『「だいすき」』
声が重なったとき
綺麗な夕日が僕らを照らす
今日だけは、出会ったときと同じ気持ちで、
貴方に触れたい
僕の目から、冷たくて儚い雫が落ちる
お別れの言葉はもう、決まってるよ
「さようなら。」
今日だけは/青水
𝙚𝙣𝙙 .
コメント
2件
うわあ...😭 今回も神作品だ!!