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鬱陶しい
ダルい
面倒くさい
苛々する
こんな気持ちが私の頭と心を駆け巡る。
今も同じだ。
教室の自分の机に座って
ぼーっと窓の外を眺めて
先生を待っている今も。
回りは陽キャな奴らばっかり。
自分の席を立ち歩いて仲良い友達の席に行って何気無い事を話す。
がやがやして五月蝿い。
もう少し静かに出来ないかな…
と思いながら外を眺める。
「ほらー席付けー」
来たよ…あの二重人格クソ爺… ボソッ
私には友達が居ないから何時も何かをぼそぼそと呟く。
「今日は転校生が来るぞー」
「え?マジ?笑」
「女かな?笑」
「男かな?笑」
「何処からだろね笑」
またかよ…五月蝿いな…と思いながらそっと耳を塞ぐ。
「おーい、静かにしろー」
「ほら、入れ」
はぁ…と私は小さなため息を付く。私は転校生が来る時が嫌いだ。
人と関わるのを避けていた。
面倒くさいから。
大抵の人間はその時だけ良い子ぶって、あとから裏切ったり陰で悪口を叩く。
「ほら、自己紹介しろー」
「あ、カナダです。よろしくお願いします。」
「今日からクラスメイトの一員だ。仲良くしろよー」
「え~っと、席は…あ、高野の隣な。」
「あ、高野さん…?僕はカナダ。よろしくね。」
「ん。」
(静かな人だなぁ…)
正直言って、こんな時間も面倒くさい。
人との関わりなんて、何に必要なの?
勉強も
遊びも
友達も
何もかもが鬱陶しくてたまらない。
面倒くさい。
こんな時間があるなら絵描いたり寝たりできるのに…
次の時間は図工。
授業の中では好きな方だけど
正直言って面倒くさい。
「じゃあ今回は隣の人とペア組んで相手の肖像画を描いてもらう。
ほら~ペア組め~」
「あ、高野さん。よろしくね。
高野さんは図工とか好き?」
「うん。」
面倒くさいからこう答える。
適当に。
「そうなんだ!僕は図工苦手なんだ…良かったら少し教えてくれない…?」
「…わかった。」
面倒くさい事になったな…と思いつつも、これ以上に面倒くさい事になるのを避けたいからこうする。
面倒くさいから。
「高野さん。ここ上手く描けなくて…」
「貸して。」
「こう描くの。」
「あ、ありがとう!」
「うん。」
ありがとう…か…何時ぶりだろうか。
長い間人と関わることのなかった私になんて縁も縁も無いことだ。
だけど、何だか少し
心が暖かい気がする。