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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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とあるビルの中でボキボキと何かが折られている音やぐしゃぐしゃと潰す音が響く

それは卵や鉛筆の芯を折ったり潰したりする音ではない

その音の正体はとある一室にあった

そこにあるのは大量の血と見るに堪えない死体だった

ある者は首が90度曲がり、ある者は臓器を全て取り出され、ある者は目をくり抜かれ、またある者は舌を抜かれていた

なんて惨い死に様なのだろう

この現場を見た人は1言目にそう言うだろう

その血の海の上で彼は立っていた

白い髪には所々赤い血がべっとり付き、目は深淵のように深く暗い

その少年はその一室を出た後屋上へ向かいまたどこかへと姿を消してしまった

そして入れ違いのように街中にサイレンが鳴り響く

これはとある少年の物語だ




俺には趣味がある

静かなカフェで音楽を聴くことだ

其の瞬間だけ何故か知らないけどゆっくりすることが出来る

落ち着いて、成瀬 海翔で居られる

それが俺の生きがいて趣味だ

だからこそ、このカフェは俺にぴったりだった

お客さんはいても1人か2人

都会の喧騒から少し離れたそこは俺にとって過ごしやすいことこの上ない

最高の場所だ

あの人さえ居なければ

コツンとテーブルの上にコーヒーが置かれる

そしてその店員、いや詳しくは店長は俺の前にある席に座る

しかも勝手にスマホを取られ音楽を切られる

「…なんですか?」

心底嫌そうな顔を彼に向けてそう口にした

「そんな嫌な顔しないでよ。怖い怖い」

ケラケラとからかうように笑いながら彼は言う

少し暗めの茶髪に赤い目

彼の名前は一ノ瀬遥斗

この店の店長だ

「怖がってもないくせに…」

「このはるちゃんが君の威圧ごときで怖がるわけないじゃん!」

そう自信満々に胸を張る彼の姿を見て思わずため息が出そうになる

だからこの変人は嫌いなんだ…

この店が潰れるのは嫌だけどこの店長にはとっととやめて欲しい

そして物静かな人を店長にして欲しい

切実にそう思ってしまう

「まぁそれはそうと、ねぇかいとちゃん」

彼の目が急に変わる

冷たく残酷な目を俺に向けた

「やってくれたらしーね?」

「何をです?」

「とぼけなくていいよ、昨日あのビル襲ったのお前だろ?」

そう言って昨日襲撃したビルを指さす

さっきのようなふざけた笑みを俺に向けてくるがさっきと違うのは目が全く笑っていないのだ

「そうですけど」

この人の前で嘘はダメだ

一瞬でバレてしまう

「依頼内容は?」

「そんなことあなたに関係ありますか?」

「全くないわ〜。だけどね、あまりにも派手すぎるのよ」

「しかも、場所はこの店の近く。つまりはるちゃんのテリトリーでやってくれたってこと」

「サツに目をつけられたらどうするつもりだ?」

彼の目が俺を捕える

まるで言い逃れは出来ないと言われているようだった

「どうもこうもありません。俺は組織の方針と依頼主に従った迄です」

「そもそも貴方もこの仕事をしているならある程度覚悟しているはずですよね?確かに今回あなたのテリトリーを荒らしましたがこんなので怯えていては先が思いやられますよ」

今度は俺があっちを睨む番だった

「へぇ、言うようになったじゃん」

「誰かさんの教育の賜物ですね」

彼の目と目が合う

次の瞬間だった

彼は胸ポケットから折りたたみ式のナイフを取り出す。それに反応するようにして胸元に隠しておいた銃を彼に向ける

ナイフは俺の首、銃は彼の額

「テリトリー荒らした罰は受けるべきじゃない?」

「そもそもあなたが主張してるだけですよね?ここは誰の場所でもない」

静寂の時が流れた

そしてナイフは俺の首元から離れる

「まあいいわ」

彼は微笑んだ

「次やったら胴体と頭さよならする準備をする事ね」

「…分かってます」

今回は手加減されていた

本来なら俺は今頃彼に拷問、もしくは殺されていただろう

忠告で終わって良かった…

ふぅと一息付きまたコーヒーを飲む

うん、あの人が入れたものとは思えないほど美味しい

さっきまでのことが何も無かったかのように平和な時間が流れる

時刻は朝の8時を回った

カフェにあるテレビで昨日のことについてニュースが流れる

大きな見出しで大量虐殺、犯人は一体?

と大々的に書かれていた

このことに対する専門家の意見や国民の不安な声などが聞こえてくる

確かに彼が言う通り派手すぎたようだ

しかし依頼が依頼なのだ

できるだけ残虐に全員殺して欲しい

依頼主の目は怒りに満ちていてとても止められるような雰囲気じゃなかった

何があったか、なんて深堀はしてはいけないような気がした

「有名人だね」

また彼がそう声をかけてくる

「はい、幸いにも顔はバレてないですけど」

依頼の時はいつも狐の仮面にフードを被っている

この界隈じゃ普通のことだ。顔がバレることはまず無いだろう

「それで大量虐殺した気分はどう?」

今度はサンドウッチを机に置いてまた前の椅子に座る

「特になんとも」

サンドウッチを口にほうばりそう答える

「依頼、なので」

どんな要件でも依頼が来たらやり遂げる

それが組織のポリシーで俺のやるべき事だ

「…いつか、君も人間らしく生きれたらな」

「え?」

人間らしく?

それはつまりどうゆう事だ

そう聞こうとした瞬間

「あ、そろそろ開けなきゃ」

と言って店を出る

「人間らしく…?」

俺は充分人間、だろ?

何言ってんだあの人は

そう思い思わず笑ってしまった



ーーー設定ーーー

主人公

成瀬 海翔(なるせ かいと)

とある組織に属している人殺し


カフェの店長

一ノ瀬 遥斗(いちのせ はると)

個人でカフェを営業している

お金にがめつく裏で依頼なども受けている

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