コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
うれしかったのもつかの間、紫苑くんの病院に入ると、茜さんがいた。
なぜか絶望したような顔を浮かべていた。
大粒の涙をたくさん流して。
「紫苑、っ、?」
「ぇ、あ、のっ、どちら様、ですか。」
「っ、、」
茜さんが顔をしかめていたのはこれのせいか。と思った。
「っえ、?紫苑くん、っ?」
わたしも呼びかけてみる。
「だれ、」
「あ、」
「白山サン…。おれはっ、?わかるか?」
「あ、なんとなく、わかるきが。」
「なまえは?」
「がー、くー、?みたいな」
「うぉお!岳!!瀬名岳!!笑 」
「岳ぅ、このひとたちは??」
「…っ、」
「どーしたの、岳」
紫苑くんは、少し記憶障害を患っていた。
わたしと茜さんのことは覚えていなかった。
つらかった。びっくりした。
瀬名くんのことは覚えていたみたいだが。
瀬名くんはとても思い詰めた顔をしていた。
自分だけ覚えられている、というのも、だいぶつらかったみたいだった。
「七瀬紫苑さんは、1部の記憶をなくす記憶障害があるようです。それと、、」
「それ、と?まだなにか、、?」
医者に問いかける茜さん。
近くにいるのもつらかった。
友達のわたしでもつらいのに。
弟に忘れられるなんていうことは、比べものにならないぐらいつらいだろう。
「脳の中で出血が少し見られました。危ない状態の可能性もありますので、様子を見て、手術しなければなりません。」
「助かるんですか、!?手術のリスクって、どのくらいなんですか、っ、」
「”脳,,と聞くと、リスクも高いように思えます。ですが、今回の手術は、とても簡単なものになっておりますので…、失敗例もないですし、大丈夫だと思いますよ。ご安心なさってください。 」
「よ、かった。」
安堵する茜さん。
こっちまでうれしさが伝わってくる。
ほんとによかった。
「あの、」
「ん?どうしたのかな。おともだち、だよね?七瀬くんの」
「はい。質問いいですか。」
「いいよ。^^」
「紫苑くん、思い出せますか。記憶障害っていうのは今だけですか?治るんですか?茜さんやわたしのこと、思い出せるんですよね、、??」
「完璧にこうとは言いかねませんが、おそらく思い出せると思いますよ。」
「そう、ですか。、、」
「ゆり、ちゃん。つらいわよね。ほんとにごめんね。」
「っ、!なんで茜さんが謝るんですか。1番つらいはずの茜さんが。」
「わたしは大丈夫よ。全然大丈夫よ。」
自分に大丈夫、大丈夫だよ。と言い聞かせているようだった。
茜さんに嘘を、つかせてしまった。
わたしを慰めるために嘘をついた。
大丈夫なはずがない。
紫苑くん。茜さんのこと思い出してあげてよ。つらそうだよ。見てるとつらいよ。
𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝