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目が、覚める。
冷たい床に、寝そべっていた。
『うぐっ!』
胸の辺りが、痛い。
喉や口に何かが溜まっている。
苦しくて、吐き出す。
吐き出されたものは、赤かった。
はあっ、はあっ、はあっ…
胸からも、赤が広がっていた。
僕は、ゆっくりと立ち上がる。
だけど、何かが足りない気がする。
!
僕は、首を振って探す。
いない。
まずい!
僕は急いでスマホを取り出す。
鬼塚さんに電話を!
『銅か、どうした、』
鬼塚さんが電話に出た。
『琥珀…さんがっ、男に…攫われ…てぇっ……』
『おい!大丈夫か!』
ふらふらする。
『早く、助け…ない……と………』
『場所はわかるのか?』
『いえ…』
また口から、血が出てくる。
『琥珀はスマホを持っているか?』
確か、持っていたはず。
『持ってる…はず…です…』
『スマホから琥珀のスマホの位置がわかる。やり方は…』
鬼塚さんの言う通り、スマホを操作した。
『場所をこちらに送ってくれ!あとはこちらで対応する!』
位置情報を送る。
『でも、早くっ、行かな…ぃとぉ…』
走る。
ふらふらしながらも、琥珀さんがいると思われる場所まで走る。
視界が歪む。
それでも、
行かないと!
琥珀さんを、助けないと!
あ、あれは…
タクシーだ。
あれなら、
『乗せて…ください……』
『な、何があったのかは知らないけど、そんな状態では……あなたは人狼か、面倒ごとに巻き込むな!あっちへ行け!』
『頼む!急ぎなんだ…!』
叫ぶように言ったが、乗せてはくれなかった。
こういう時に限って、うまくいかない。
でも、立ち止まっている場合ではない。
早く、行かないと。
走る。
転けても、立ち上がって。
壁に手をつけながら歩いてでも、
琥珀さんがいると思われる場所まで行く。
遠い、
視界が、ほぼダメになっていく。
でも!
『助けるんだぁ!』
死に物狂いで歩く。
歩き続ける。
そして、
『ここ…か…』
そこには大きくて、古い家があった。
そして、
剣士の数名が、戦っていた。
『銅さん!大丈夫か!』
1人が気づいて、近づく。
『こっちのことは、私たちに任せて休んでください!』
無理だ、
『頼む、行かせて…くれ…』
僕は、突き進む。
『ダメです!それでは…』
『僕がぁ、助けない…とぉ…』
僕は歩く。
剣士の1人は、もう止めなかった。
建物の中に入る。
剣士の2人が、すでに中にいた。
そこでも、戦っていた。
前には進めない。
でも、琥珀さんもあの男もいない。
どこだ、
どこにいるんだ。
近くに、部屋がある。
こっちから進めそうだ。
歩く。
ただ、ひたすらに。
階段を登って、二階へ。
探す。
そして、
いた。
『へぇ、来たのか。そんな状態でぇ。死にに来たのかぁ?』
男が笑っていた。
『琥珀…さん…に…何を……した……』
琥珀さんが、頭から血を流していた。
そして、服が脱がされていた。
『バカだなぁお前、そんな状態で何ができんだよ。』
男が近づいてくる。
っ!
お腹を蹴られる。
僕は、倒れた。
『醜い姿を見せやがってよぉ!琥珀になんかしてねぇよな!汚ねぇ手で触られると!品質が下がるんだよ!』
何度も蹴られる。
『やめてぇっ!』
琥珀さんの声がする。
『お前、今琥珀さんのことに、品質とか言ったのか!』
汚ねぇのはどっちだよ。
気合いで立ち上がり、男の顔面に向けて拳を振るう。
でも、届かない。
『ザコが調子に乗るなぁ!』
逆に、殴られる。
『ああっ!』
今の状態では、どうすることもできなかった。
でも、琥珀さんが生きていることだけは確認できた。
『なぁ、俺と琥珀との関係が何か知ってるか?俺は、琥珀の父親だ!しゃしゃりでてくるな!関係ねぇだろ、ロウムがよぉ!』
!
コイツ!
僕の、昔の名前を!
なんで知ってる!
夢で聞いた名前。
そして、
コイツが琥珀さんの父親だと、
ありえない。
ふざけんなよ!
あの男が、琥珀さんの身体を踏みつけた。
『っ…………』
はぁ、
コイツが、先にやったんだ。
もう、手加減はいらない。
これなら、いけるはず。
僕は、銃を向けた。
『お前がしそうなことなんてわかってんだよ。身体も手足も防弾になってるから無駄だぁ!』
男が殴りかかってくる。
『お前が先に…!』
関係ない。
男に向けて撃つ。
『っ‼︎』
バン!
男の、頭に向けて撃った。
終わりだ。
『ば、かな…』
そこだけは、何にも守られていない。
琥珀さんに傷をつけたことを後悔しろ。
ばたり。
男が倒れた。
『甘ちゃん!』
琥珀さんが近づいてきていた気がする。
でも、もう見えない。