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教師陣がお酒飲むだけ
「かんぱーい!!」
こじんまりとした居酒屋に響く賑やかな声
今日は毎年一回は行われている教師陣の飲み会の日
颯利、霊音、蛍、吸傘、うるのいつもの面子で集まっている
霊音「颯利さーん、飲みましょー」
颯利「近づくんじゃねぇ」
蛍「はいはい、そこくっつかない」
吸傘「うる、何食べたい?」
うる「んー」
霊音と颯利の間に蛍が入り、その向かい側には吸傘とうるという毎年変わらない席についた
蛍「なんで霊音さんは毎回颯利の隣に座るんです?」
霊音「え~?そりゃ仲良くなりたいからですよ」
蛍「颯利が迷惑してるのにですか」
霊音「んふふ、そうですねぇ」
初っ端からハイペースにチューハイを飲んでいる霊音
霊音は下戸なので酔うことはないが、返事がほろ酔いのような感じだ
霊音「ほら~、颯利さん飲んでます~?」
颯利「ガルルルル…」
蛍「はい、霊音さん絡まない。んで、颯利も威嚇しない」
嫌がられているのに無理矢理絡みに行く霊音とそれを威嚇する颯利
そしてその間に挟まり緩衝材になる蛍は毎年の光景である
それを気にせずいちゃついてるのは姉妹組
頼んだ料理を吸傘が箸でつまみ、うるが雛鳥のように口を開けて待っている
吸傘「はい、あーん」
うる「あー」
行動が付き合いたてのバカップルのそれである
三人もこれは見慣れたもので、姉妹に構わず三人は三人で戦いを繰り広げている
いつも通り吸傘とうるが帰ったのでもうお開きにしようか、という雰囲気
下戸の霊音はピンピンしているが、蛍は霊音が颯利に勧めたお酒を代わりに飲み顔を真っ赤にしている
颯利に関しては部屋の隅っこで丸くなりながら寝息を立てている
霊音「二人帰りましたし颯利さんは寝てるし、もうお開きですかね」
蛍「そうですね……」
蛍も中々にお酒は強いほうだが霊音には勝てない
霊音「立てます?」
蛍「まぁ…なんとか…」
霊音「颯利さんどうしましょうかね」
蛍「颯利は……回収してもらいますか」
霊音「回収?」
蛍が携帯を取り出すと誰かに電話をかけた
蛍「あ、もしもし?…うん、そう。お願いできる?うん…ありがとね」
霊音「…誰ですか?」
蛍「あー、まぁすぐにわかりますよ」
霊音の問いに蛍が苦笑いで答えた
霊音の頭に?が浮かんだその時、居酒屋の扉が音を立てて開かれた
桃猫「蛍せんせー!颯利迎えに来たよー!」
藍乃「お疲れ様です」
そこに立っていたのは藍乃と桃猫だった
なぜうちの生徒がここに?と更に霊音が疑問を抱えていると藍桃が慣れた手つきで颯利を回収する
桃猫「いつもごめんね、蛍せんせ」
蛍「おう。にしても着くの早いな」
藍乃「このお店家から近いので。そこら辺考えてくれたんですよね」
蛍「まぁな」
では、と二人が颯利をおぶって店から出ていく
藍乃「そうだ、蛍先生」
蛍「ん?」
藍乃「鈴ちゃんに連絡しときました」
蛍「…え、何で?」
桃猫「鈴ちゃんが帰りが遅いって心配してたからねー」
藍桃の発言に普段ではあまり見ない動揺の仕方をする蛍
めんどくさいことになった…と頭を抱えている蛍を気にせずに藍桃は颯利をおぶって店から去っていった
そんな様子を見ていた霊音は藍桃が見えなくなったのを確認して蛍に疑問を投げかける
霊音「何で二人が来たんです?」
蛍「颯利はあの二人と暮らしてるんですよ。だから颯利が動けなくなったときは呼べば回収しに来ます」
霊音「へー…」
蛍「一緒に暮らしていることあんまりバレたくないらしいので秘密にしてあげてくださいね。霊音さんは生徒に言いかねないので」
動揺して固まっていた蛍が姿勢を直し、霊音に釘を刺す
生徒との話のネタにする気満々だった霊音は言葉を詰まらせる
霊音「……言う訳ないじゃないですか」
蛍「その間が言うと言ってるようなもんですよ」
図星の霊音が目線をそらしているを横目に蛍は帰る支度を始めていた
蛍「お金置いときますんで、支払いはよろしくお願いします」
霊音「あ、はい」
蛍「じゃ、また学校で」
万札を机に置いて蛍は店を去っていった
一人分のお金より多いので恐らく先に帰った颯利の分まで含まれているのだろう
霊音は蛍の後ろ姿を見届けると少し何かを考えた後、自分の荷物をまとめ始める
霊音「僕も帰るか…」