シンside【高校生時代】
「ねね、好きな人いる?」
後ろから厄介なやつが話しかけてきた。
「…まぁ、いないことはないけど。」
俺は素っ気なく答えた。
「へぇ!お前みたいな秀才さんも恋するんだな。笑」
「”も”って何なんだよ。俺だって恋ぐらいする。…そう言うお前は?」
「え?俺は……分かんないや。この感情が恋かどうかなんて。でも、気になってる人はいる。」
相手の存在を知らないが、きっと素敵な人なんだろう。
「そう。もしそれが恋だったら、その人と結ばれるといいな。」
「それは……難しいなぁ〜」
「何で?」
「それも一理あるけど、、”男”なんだ。気になってる人。」
「…それで諦めるのか?」
「え?別に諦めるってわけじゃ無いけどさ…男同士って…。」
「なら俺が証明してみせるから。じゃあ。」
「証明って…ん?えっ、あ、そういう事!?おーい!ちょっと待ってよ〜!」
男同士でも想いが通じれば付き合えることを証明してやる。そう思いコインランドリーに来た。
「こんにちは。」
「よぉ、シン!今日も洗濯か?」
「いえ、今日は湊さんと話したくて。」
「…そ、そうか。俺と話すのそんなに楽しいか!」
「はい、好きです。」
あ、照れた。
「…俺の話が、な?笑」
「まぁ、そういうことにしときます。」
「そういうことって…。」
「待ってよシン!…ってコインランドリーじゃん!」
「よおっ、明日香!何だ?シンに連れてこられたのか?笑」
「別にそういうわけじゃないけど…。」
“明日香”って馴れ馴れしい呼び方なのムカつく。
「湊さん、英と知り合いなんですか?」
「まぁ、小さな頃からお守りしてたからなぁ。」
「晃さん!香月にベラベラ話さないでよ?」
「はいはい。笑」
英は昔の湊さんも知ってるってことだよな…?
「英。また今度時間あるか?」
「あ、あるけど…。何、その目。怖いんだけど。」
「話したいことがある。」
「は、はぁ…。」
「あの…おじさん、話ついていけないんだけど。」
「湊さんはおじさんではありません。可愛いアラサーです。」
「とりあえずおじさんをアラサーに言い換えただけだし…あと可愛くねぇわ!」
「あ〜…ね。二人の時間邪魔しないように…っと、お邪魔しましたー。笑」
「おい、明日香!行くなっ!」
ちょっと慌ててるの可愛い。
「湊さん、俺と二人きりになるのが怖いんですか?」
「怖いというか…お前が何をしでかすか分からんからな!」
「その”何を”って何ですか?」
「お、俺に………って言えるかバーカ!俺に聞いてんじゃねぇよ!」
「言葉にしてもらわないと分からないです。」
「そんなの…お前自身がよく分かってるだろっ!」
「…ふふっ。すみません。少し意地悪してしまいました。笑」
「おじさんをからかうなっ!」
怒り顔が可愛いのは湊さんだけ。
「湊さんが可愛すぎるから。」
「だから可愛くねぇって…。」
また照れた。ころころ表情が変わって見てて飽きないのが魅力の一つだなぁ。
「俺のこと好きになっちゃいました?笑」
「な、なるわけねぇだろ!お前みたいなガキに…。」
「そうですか…。」
必殺、子犬みたいな上目遣い。これでどうだ。
「そんな顔されたら…。」
「拾ってくれますか?」
「ひ、拾うわけねぇだろ!って…危ねぇ。」
「危ないって何ですか?」
「聞こえてたのかよっ…。何でもねぇ!」
「そうですか。笑」
「よし、じゃあシン。お前に難題を与える。」
「何ですか?」
「俺を”夢中にさせてみなよ”。俺がお前に依存するぐらいに。」
「分かりました。させますよ、依存。」
「あ、付き合わない前提からだからな?」
「何ですかそれ。笑」
「分かったか。」
「分かりましたから。笑」
難題…より容易だと思うけどなぁ。でも湊さんはしぶといから頑張ろう。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!