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「はぁ~…」
授業が終わり放課後になった時間、俺は大きなため息をついた。
「…司、先輩」
俺の頭は、司先輩でいっぱいだった。
それとともに、神代先輩の話も頭によぎった。
「ッ……」
考えたくないのに頭から離れない。何かで気を紛らわせたい。そう思ってたら…
「あ、冬弥くーん!」
何処からか、明るい声が聞こえた。聞こえた方を振り向くと、暁山だった。
「あぁ、暁山か。」
「やっほ ~冬弥くん♪」
「ぁあ…」
俺はその時、あまり元気になれなかった。
それに気づいたのか…
「…冬弥くん、元気なくない?」
暁山は、俺の顔をジロジロ見ながらそう言った。
「ぇ、そ…そうか?」
「うん!なんかいつもの冬弥くんは、ふわふわ~みたいな、キリッとしたみたいなぁ ~…」
「ふわふわ…?」
「うん。でも今の冬弥くんは、なんか悩んでそうな顔してたよ?」
もしかして…俺の顔に出てたのか?
俺は少しドキッとした。
「冬弥くん、なんか悩みでもあるの?」
少し心配そうに、暁山は問い掛けた。
この話をしたら引かれないだろうか…
少しの時間、考えてみた。
「…俺の話、聞いてくれるか?」
俺はこの事を暁山に言ってみる事にした。
「うん!いいよ~♪」
「ありがとうな、じゃぁ…」
「ふむふむ…なるほどねぇ ~」
「つまり、冬弥くんは司先輩が好きで、類も司先輩が好き…と言うことは…ライバル!?」
「こッ声がでかいぞ、暁山!」
「え、あぁごめんね♪」
「でも…そういうことなのかぁ~」
引かれただろうか?
俺は心配で、心臓がトグトグ鳴っている。
「…暁山は引かないのか?」
俺は暁山が引いてないか気になって、聞いてしまった。
「え?何が?」
それを聞いた暁山は、何を引いたか分からなかったのか首を傾げた。
「その…同性を、好きになるので、」
俺は少し震えた声で言った。
「あぁ!そう言うことね。」
「ん~…別に引いてはないなぁ。恋愛なんて自由だしさ!」
俺はその言葉を聞いて、少し安心した。 肩に入ってた力がだんだん抜けていく。
「でも、類と好きな人一緒なのはなんか気まずいねぇ~…」
暁山は苦笑いをしながら言った。
「あぁ…まだ神代先輩は、俺が司先輩を好きと言う事は知らないが…」
「…冬弥くんは、司先輩と類が付き合ったら悲しい?」
突然暁山は、真剣な顔で問い掛けた。
俺は暁山の真剣な眼差しに少しドキッとした。
「…悲しい、もあるが、辛い…な」
「そっか ~……じゃぁさ、司先輩が”もし”類の事が好きだったら?」
……は?
俺はその言葉を聞いた瞬間、胸が熱く燃えるような感じがした。頭もガンガンし、辛かった。辛くて辛くて辛くてッ…
「ッ…はぁ…はぁッ…」
それで付き合ったら?あの2人が結ばれてたら?許さない。悔しくて仕方がない。
司先輩、司先輩司先輩…ッ、
「__や__?」
俺の方が好きなはずッ
「と__くん?」
奪わないと、堕とさないとッ
「とう__ん!」
俺がッ俺がッ!!
「ッ!!」
教室内に響き渡った声に、俺はビクッとした。
「だ、大丈夫…?」
目の前に居た暁山は、心配そうにこちらを見つめていた。
「ぇあ…?」
俺はさっきまで、司先輩が……
司先輩が…
「…司、先輩?」
司先輩が神代先輩と付き合って…ぁ、れ?
その時の俺は、もう何が何だかわからなかった。
「司先輩がどうか、したの?」
「っッ付き合って…」
「ぁ、僕は”もし”司先輩が類の事が好きだったらどうする?って言ったんだよ?」
……もし?
その言葉を聞いた瞬間、体から力が抜けて、腰を抜かした。
「だ、大丈夫!?」
「ぁッ…大丈夫、だ…」
俺の足はぶるぶると震えていた。
その時は、安心と恐怖が混じってわけがわからなかった。
でも…良かった、その気持ちでいっぱいだった。
まだ、大丈夫だ。
まだ…まだ…
俺のものにできる。