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こちらでの人材確保と諜報部員の育成について、フウガの考えを聞きながら俺は検討していた。


ダミー会社を立ち上げるわけか。


なるほどね、それは面白いかもしれない。


表では清掃会社のようなありふれた業種を装い、その裏では諜報活動を担う謎の秘密結社。


なんかスパイ映画のようで胸が躍るよね。


それでそれで?


どこかの潰れかけた会社を買収。あい中にもう一社設けて、『トカゲの尻尾』として使いわける。


それで人材発掘の方はどうするの?


ふんふん、アングラサイトにバナーを貼って、自殺志願者なんかを釣ってくるわけね。


そんな自殺を考えているような人を使うってどうなの?


なになに、負の部分を取り除いてやるのか……、なるほど。


借金まみれなら、自己破産をすすめ生活の補助を。ケガや病気がネックならシロちゃんにお願いするわけか。


また、力関係が元での『いじめ』とかなら、ダンジョンに放り込んで身も心も鍛え上げるのね。


それってなにか、ザマーできたりして楽しそうだよね。


へぇ~、よく考えてはいるけど、……それでこちらの秘密は守れるの?



警告!


あなたはこの世界を捨て異世界で生きることを選択しました。


二度とこの世界に帰ってくることはできません。


続けますか? 【は い】 【いいえ】



おっ、おおい、違うラノベになってんじゃねーかよ!?


まあ、冗談はさておき……。


ダンジョン探索や、夢の異世界旅行をエサにするわけね。


それでもって、『我々の力をじっくりお見せする』と。


怖ぇーよ!


それって大丈夫なのー?


なになに、ダンジョンでのパワーレベリングはそいつの力になるし、


異世界に憧れがあるようなら、ゆくゆくはそのように計らってあげるわけね。


それに完全週休二日制、給料+危険手当つきの好待遇。


まさに飴と鞭って感じだな。 死人が出ないようにしろよ。


このように話を聞いてみると、なんとか実現できるような気もしてきたよ。


なるほど話はわかった、この件はフウガに任せるわ。






次の懸案事項である京都観光旅行……、ではなく視察、視察な!


こちらは茂 (しげる) さんとの打ち合わせが必要だな。


何といっても茂さんはこの老松神社の宮司だから、気軽にホイホイ離れるわけにはいかないんだよね。


で、いろいろと話し合った結果。


9月9日 (水) ~ 9月11日 (金) の2泊3日で日程を組むことにした。


京都行きに参加するメンバーは、俺・シロ・茂さん・慶子 (けいこ) ・健太郎 (けんたろう) ・キロの6人。


そして、紗月 (さつき) ・メアリー・マリアベル・チャトの4人は今回お留守番することになった。


あんなに楽しみにしていたのに、なぜ? と疑問に思うところだが。


紗月が学校に休みを申請しても、許可が下りなかったそうだ。


うん、まあ、そうね、夏休み明けてすぐだったし、目的が『京都観光旅行』じゃね~。


それで、紗月がひとりでは可哀そうだと、メアリーとマリアベルが一緒に残ったというわけ。


『よーし、ミスドに行ってドーナツを食べまくろう!』


さっそく三人集まって、留守番中の計画をで立てているみたいだね。


この間はモフバーガーで女子会してなかったか? ホント仲のいい三人である。


『次はぜったい一緒に行こうね!』


そのように盛り上がっていたので、京都には近々もう一度足を運ぶことになりそうだ。






そして健太郎の方なのだが……。


9月にはいったら高校へ通う予定だった健太郎。


『オレは京都に行く!』


本人の強い希望により、復学の手続はすこし伸ばすこととなった。


もしかすると、まだまだ踏ん切りがつかないのかもしれない。


高校の出席日数におけるボーダーラインは60日と言われている。


長く学校を休んでいた健太郎は、おそらく留年することになるだろう。


『不慮の事故によりケガしていたのだから、しょうがない』


そうはいったものの、本人にとっては大問題。


後輩と肩を並べることになるのだ。孤立するだろうし、相当なプレッシャーが掛かることだろう。


両親がいなくなった健太郎が、例え逃げ出したとしても、それは仕方がないことなのかもしれない。


だけど、頑張ってほしいなぁ。


本人、そして亡くなられたご両親のためにも……。


それに健太郎は勇者である。


レベルアップも早く、それによる恩恵も大きいものとなる。


身体能力は言わずもがな、記憶力や計算力といった地頭も良くなっていくのだ。


レベルの高い魔獣がことばを理解したり、喋ったりできるのはこの為である。


故に、大学受験や資格の取得といったものにはたいへん有利になるはず。


あとは本人のヤル気しだいなのだ。


………………


交通機関は今回も新幹線を利用。


シロも同様、京都に着いたのち召喚するものとした。


新幹線のキップと宿泊先の手配は茂さんに一任している。






夕方になりシロと健太郎がダンジョンから戻ってきた。


レベルはどうなったかな。――鑑定!


おおっ、Lv.7に上がっている。この短期間でたいしたもんだ。


つづいて帰ってきたのは慶子と紗月のペア。


週末で学校が休みだったこともあり、一緒にダンジョンへ潜っていたのだ。


その二人は疲れも見せずに、そのまま買い物に行ってしまった。


こちらはこちらで、たいしたもんだね。


紗月がいなくなったので、この隙にと健太郎に京都行の日程を伝えておく。


すると、ガッツポーズを見せて喜んでいる健太郎。何処か行ってみたい所でもあるのかと尋ねてみるが、特にそういうことでもないようだ。


ただ、京都は初めてなので楽しみにしているということ。


そうか、健太郎もか。


実は俺も、京都は初めてだったりするのだ。


伏見稲荷大社がある稲荷山も楽しみのひとつなんだが、何かこう ”京都” っていうものを味わってみたいもんだね。


清水の舞台から望む景色も良いだろうし、夜の鴨川沿いを練り歩くのも楽しそうだ。


まあ、お座敷遊びまでは無理だろうけど、舞妓さんや芸子さんは見てみたいかな。


……なんだ? 俺も京都行きは楽しみになってきてるなぁ。


丸一日は稲荷山近辺の探索で潰れてしまうけど、せっかくなんだし残りは京都を満喫しよう。


いろいろ考えていると、茂さんが居間に戻ってきて俺に声を掛けてきた。


「ホテルと新幹線、バッチリ予約は取れたよ」


「そうですか。お忙しい中、余計なことまでお願いしてしまって。助かりました」


「いやいやいや、今回は僕も同行するわけだし。それに何より、ダンジョンのことだからね」


「紗月のおじさん、それでどんな感じになったんすか?」


向こうの方でシロと『かるた遊び』をしていた健太郎が、こちらを振り向いて目を輝かせている。


――ぺしっ!


ほらほら、よそ見しているからシロに札を取られてるぞ。


ちなみに、かるたは懐かしのセー○ームーン。


負けたら、月にかわってお仕置きよ! (お仕置きはシロの肉球しっぺです)


出発日は9月9日 (水) 。新幹線の発車時刻は朝の8時だそうな。


博多駅ー京都駅、【のぞみ】の所要時間は2時間44分。


また、『現地でのスケジュールは前の日にでも決めようか』ということになった。


東京ダンジョンも京都ダンジョンも覚醒まで残すところ60日。


地震の規模も大きくなり間隔も短くなってくるだろう。


まずはダンジョンの位置を確定させなければ。






それから2日が過ぎた9月8日。


連日の気合の入ったレベリングにより健太郎は Lv.9 までになった。


鑑定の結果はこちら。 ――ジャガジャン!



ケンタロウ・クドウ Lv.9


年齢 17

状態 通常

HP 6060

MP 3636

筋力 39

防御 35

魔防 33

敏捷 37

器用 31

知力 36

【特殊スキル】 状態異常耐性 言語理解

【スキル】 魔法適性(聖・火・雷・氷)鑑定(3)魔力操作(3)剣術(1)

【魔法】 聖魔法(1)雷魔法(1)

【称号】 受け継がれし者、勇者、

【加護】 ユカリーナ・サーメクス



やっぱり凄すぎだ!


剣術スキルが1と追いついてないが、これは当たり前だな。技術がそう易々と身につくわけがないのだ。


でも、まあ、オークあたりなら筋力と敏捷でゴリ押しできるんじゃないかな。


オリハルコンの剣でばっさばっさと撫斬りすればいけるんじゃないの、たぶん。


それに魔法も覚えてるじゃん。


…………シロだな。


まあ、覚えたものは仕方がない。外では絶対に使うなと厳しく言っておこう。


それにしても成長が早過ぎるよ。


これでは、とてもじゃないが手加減の訓練が追いつかない。


は~~~、俺は大きくため息をはいた。


健太郎のヤツめ~、涼しい顔で【るるぶ京都】なんぞ読んでやがる。人の気も知らないで、くっそー。


まあ、でも、地域情報が満載の【るるぶ】はいいよな。JTBさんありがとねー!


俺もあとで見せてもらおうっと。






「おおーい健太郎。もう慣れてると思うけどっ手加減の訓練すっぞ~」


「へ~い」


「それと、その【るるぶ】あとで見せてくれるか?」


「コレっすか、いいっすよー」


「で、その手はなんだ?」


「貸し出し料は100円っす!」


「…………」


俺は素直に100円を支払った。


だがのちに、この【るるぶ】は キロの持ち物だと判明、健太郎には追加でゲンコツを支払ってやった。


この生八つ橋の新しい味は気になるなぁ。


それに、富士〇さんがいいと言っていた『抹茶づくしの百福パフェ』、 情報が古くてもう載ってないや。


「私はこの【北野天満宮】にも行ってみたいんだがね。【金閣寺】も近いし、一緒にまわったらどうかな」


【るるぶ】掲載の観光マップを覗き込み、指差しながら希望を伝える茂さん。


「はい、ぜひ行きましょう。……では3日目にまわることにしましょうか」


テーブルに広げた【るるぶ】見ながら、俺たちは楽しく計画を立てていった。


そして夕食後。


「次回はちゃんと連れて行くから……、ねっ」(汗)


拗ねてしまった紗月をみんなで慰めながら、京都散策の行程は決まっていくのだった。




9月 9日 (水)

京都駅 ー レンタカーを借りる ー 二条城 ー 壬生寺 - 京都プ〇ザホテル


9月10日 (木)

京都〇ラザホテル ー 伏見稲荷大社 ー 清水寺 ー 八坂神社


9月11日 (金)

京都プラ〇ホテル ー 金閣寺 ー 北野天満宮 ー 晴明神社 ー 京都駅




まあ、そんなに詰め込んではいないのだが、結構あちこちまわれるものだ。


神社は基本拝むだけだしな。3日間レンタカーを借りる予定なので移動も楽々だぞ。

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