ある日、私の同じぐらいの年の男の子が迷い込んできた。
その子は瞳をうるうるさせ、今にでも泣きそうな声で私に聞いてきた。
「ここはどこなの?早くお母さんのところに帰りたいよ」
私はその子にいった。
「私も分からないけど絶対でれるよ!
絶対一緒に出ようよ! 」
男の子の手を握ってあげると、男の子も手を握り返してくれた。
そこからは、手遊びや、狭い空間だけど鬼ごっこをしたりして遊んだ。
一ヶ月経ったか経たないかのとき神様が現れた。 男の子は出してくれるのかと聞いた。
すると神様が
「元の世界に帰してやろう」
と言った。2人で抱きしめあって喜んだ。
その後の言葉は絶望的だった。
「ただし、2人の中で1人しか出られない。
決め方は好きにしなさい」
男の子はまた泣きそうになりながらも、私の目をただ見つめてきた。
私もでたい。けれど、男の子のお母さんは今ごろすごく心配しているだろう。他の人も心配してるだろうし。
「あんたが出なよ!!お母さん待ってるし!」
そう声が出た。すると男の子は目を輝かせて
「え?いいの!?」と聞いてきた。
私が下手なウィンクをしながら頷くと、 男の子は少し不安そうな表情で
「ゆずはちゃんはどうするの!ゆずはちゃんのお母さんだって心配してるだろ?」
と聞いてきた。私は答えた。
「私はいいよ!すぐにでられるし!」
すると男の子はニコニコしながら何度も何度も
「ありがとう」と言いながら、この世界をでていった。
あーぁ、また1人だと落ち込む気持ちになった。
男の子との日々を思い出して、少し寂しさを紛らわせた。
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