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メンバーが全員決まって、一緒に行動することが増えると、どうしてもみんな仲良く、という絶対条件を守らなければいけなくなる。
頭数が多いグループだと、ある程度仲のいいメンバーは決まってくるけど、人数が少ない分、密な関係性が必要。だから七人それぞれ、全員と適度に仲良くなるのがベター。
タロヒョンは海外組というハンデがある分、誰とでもうまく付き合う術を身につけていた。溶け込む努力をしなければ、他国で生き抜くのは難しい。だからこそ、本当に誰とでも仲良く、誰にもでも気やすい。僕の嫉妬は深まるばかり。
「まあ、それはしょうがないよね」
「わかってる……でも」
「仕事でしょ、僕もソンチャンもみんなも。だから気にしなくていいって」
「ウンソクは知っててもあれだし」
タロヒョンは楽しそうに笑う。
「しょうがないよ、ウンソクだもん」
「なにそれ。なんか……わかるけど」
言わんとすることはよくわかった。本当にウンソクはウンソクだから。見かけによらず面白くてかわいいやつ。
「そもそもウンソクのタイプが僕じゃないもん、それくらいわかるよ」
「え、そうなの」
「うちで可能性あるとしたらウォンビン一択でしょ」
いとも簡単にそう言ってのけるタロヒョンに驚いたのと同時に、やっぱりこの人はちゃんと見ておかないといけないと肝に銘じた。
たしかにウンソクはわかりやすい。意味不明な言動は多いけど、あれは本来の気質からくる照れやおふざけの範疇。基本的な思考はクリアだ。
ほかのメンバーも、本来の資質を生かしたキャラクターとはいえちゃんと根っこをつかんでいなければ仲良くなることは難しい。タロヒョンはどのメンバーにも愛されている。逆に言えばタロヒョンさえその気になれば誰でも手に入るってことじゃない?
それは、いやだ。
「タロヒョン」
「ん?」
ふたりきりの時間、僕の腕の中で丸くなるヒョンを、抱きしめて。
「もし僕に対してイヤなところがあったら、早めに教えてね。すぐ直すから」
「? 何言ってんの」
「だってヒョン、みんなのことよく見てるからいいとこも悪いとこもわかるでしょ」
「そうかな。なるべく気をつけてみんなを見るようにはしてるけど」
「僕をいちばんに見て」
僕の言葉にタロヒョンが笑う。ふざけてるわけじゃないのに。
「もちろんいちばんだよ。わかってるでしょ」
「きっとみんなそう思ってるから先に言っておくの」
「心配性だねえ、ソンチャンは」
よしよし、って子供扱いされるのも嫌いじゃない。タロヒョンならなんでもいいよ。
でも僕はキスしたいからする。キスは友達じゃできないからね。