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Hiromu side .
「オレの前から消えて、大夢。」
「恋人になる必要なんてないでしょ。」
「今までもそうやって来たじゃん。」
…… どうして、キミはそんな悲しい顔をするの?
「いっった、」
ズキンと痛む頭を抱えて目を覚ますと、パーカーとスウェットに着替えたものはいいが、小さいソファに身を委ねていた為背中が痛い。急いで時間を見ると、朝の9時半だった。部屋を見渡すがキッチンは綺麗だし机の上には何も無い為、昨日何をしていたのか全く思い出せなかった。ただ、理人が家にいたのは覚えている。…その後に何かあったのだろうか。再びスマホを起動すると、見ていなかったメッセージが目に留まる。
理人『体調悪いなら言ってよ、もう。ソファから落ちてない?』
昨日、俺は体調が悪かった…ということか。
『うん、落ちてない。ありがと』
理人『よかった、ゆっくりしなよ』
『うん』
ゆっくり…何をしよう?いつもだったら買い物に行くけれど、理人に見つかっちゃまずいし…。今なら誰を誘っても迷惑じゃなさそうだから…と、その瞬間。
将吾『大夢、今日オフだよね』
『うん、どしたの』
将吾『暇だからさ、どっかメシどう?』
たじくんとはそれなりに仲良くしていて何となく✕✕に似ていて、不思議で引き込まれる魅力がある。なんというか、ちょっと甘えられる…というか。
『どこ行くかとか決まってる?』
将吾『最近新大久保に韓国料理店ができたらしいよ、行こうよ。洸人が美味しいって言ってた』
…これ、予定が合う人探してただけだよね?とか思っちゃ駄目か。すぐに行く予定の店のリンクが貼られ、押してみると盛りヽのビビンバや、チヂミなどといった美味しそうな写真がぶわっと広がった。
『美味しそう、12時集合でいい?』
将吾『はーい』
そうと決まれば早速服を決めよう、今日の温度は少し暖かくなるはずだからあれとかいいかも。
大体のコーディネートを終え、コートはもう暑いだろうか、カーディガンくらいないかなぁと探していた時。
「…ん?」
隣の棚に買った覚えのない季節外れのイヤーマフが置かれていた。こんなの買った覚えがない。いつもワイヤレスイヤホンで音楽を聴くからイヤーマフなんて着けないのに、誰かが忘れて行ったのだろうか。…でもこの家は滅多に人が来ない。身に覚えのないものが気味の悪いものに思えて、誰のものでもなければ捨ててもいいかな…なんて考えもした。ただ、なんか捨てちゃいけない気がする。そのまま放置し、集合時間に間に合わせるために少し急ぎ足で外へ出た。
少し早く着いたのか予定時刻の20分前に時が指していて街ゆく人々を眺めていた。ワイヤレスイヤホンから流れる曲が頭へと流れ込んでいく。
将吾「大夢、お待たせ。行こうか、」
そういって連れていかれたのはビビンバが売りの店。数種類のビビンバの写真が写った写真が店の壁を紡いでいた。早速席に座り、メニュー表を眺めることにした。ビビンバ以外のメニューも冷麺、チーズダッカルビなんてものも置いてある。
「ここってビビンバが美味しいんだよね」
将吾「んー、結構種類あるからね。いやここはなんでも美味しいって言ってた。洸人が。」
「じゃ、西くんのお気に入りの店だ。」
将吾「そうそう、一昨日とかだったかな。洸人が深夜にここの料理の写真送ってきてさぁ!」
たじくんが急いでスマホを開いて、俺の前にドンと見ろ!という眼差しで促して来たため見ることにした。複数人で来たのだろうか。チーズダッカルビやチゲ鍋まで注文しており、凄く美味しそうだった。送信時間が深夜0時を回っていて、これはまた性格が悪いこと…と同情する。
「美味しそう、」
将吾「俺、ダイエット中だったんだけどなんかムカついちゃって」
「あはは。…でもごめん、そんな食べれないかも」
将吾「いいよ、誰かと一緒に行きたかっただけだから」
スマホを閉じ、お冷のすぐ左隣に置けばメニューに視線を戻し、「何が食べたい?」と尋ねてくれた。「ビビンバかな〜」と返すと、それを了承してチヂミやタッカンマリなど先程の写真にあったものを中心に店員さんへ注文していた。
あれから15分くらい経っただろうか。料理が次々とテーブルに置かれ、華やかな色へと染まる。最後の料理が届いたところでたじくんはご飯の全体画像をスマホにおさめたかったのか、携帯をさっと取り出した。
「めちゃくちゃ撮るね、色んな角度から。」
将吾「洸人に仕返ししなきゃだから」
食べ物の恨みって怖いなぁ。
将吾「ついでに理人に送っとこ」
「巻き込まれだ」
将吾「1番反応面白そうだったから」
「そのうち仕返し〜とか言って11人全員ここに来そう、」
将吾「そうなったら11人で行こう、もう。」
理人はイジられてるイメージは他のメンバーよりも少ない気がするけれど、俺よりはイジられてる。多分。彼に限らず、イジられキャラは俺の中では4人程度いるけれど誰に対しても言えることは「やりすぎないこと」。おそらく大丈夫だろうけど。
将吾「話変わるんだけどさ、大夢は理人のこと庇いすぎじゃない。」
「…?いや、なにもしてないよ」
将吾「無自覚?」
将吾「まぁ大夢はいい意味で他のメンバーにも遠慮しないけど。まぁ、理人には全然遠慮してなかったじゃん。いつから遠慮するようになったの」
「…うっ」
呆れているのか、ただ気になっただけなのか。読めないけど。遠慮というか何も仕方ないというか。メンバーを心配じゃないわけがないというか。でもそれをたじくんに言えるほどそんなに真っ直ぐじゃない。捻くれ者なのはもう自覚している。
将吾「ま、だから俺とか柾哉とかが話を聞くんだけどね。年上メンバーだったら結構素直に話してる感あるし。」
「そうだね、いつもありがと。でも、理人相手にだって素直に言ってる気がするんだけど」
将吾「ほんと?笑 …あー、あとあれだ。この前のこと謝りたくて。」
この前…??目の前の彼が気まずそうに頭を少しかいて小さく口を開けた。謝りたいこと…?なんだろう。過去の記憶を思い出しながらお箸を置いてしばらく考えてみたのだが何も思いつかなかった。
将吾「この前飲み会したじゃん、洸人の家で。そのときに理人とふたりまとめてイジられてたじゃん?…ごめん、止めたらよかったかもって。」
「ん、?」
将吾「空気が甘すぎてさー…ごめん。止めたらよかったね。」
しゅんとして視線を落とすたじくん。…でもごめん。何も覚えがない。”理人と俺” ”甘い空気” 。そんなものは知らない。
「そんなことあったっけ、」
将吾「え、覚えてない?そんな前じゃなかったけど」
視線を落として反省の意を示していた彼だったが、覚えていないと知ると驚いた顔をこちらへと向ける。そんな顔をされたって覚えてない。
「覚えてない、ごめんね。たじくんだから夢で…とか。理人と甘い空気になんてなんないよ。」
将吾「んえ??物忘れ?流石にあれは俺でも忘れれんわ」
彼はへへへと冗談だよね?的に笑っているのだろうが覚えてないものは覚えてない。
「俺が覚えてないからいいよ、それよりスープ冷めちゃう。」
鶏が丸々入ったスープを取り分けて彼の前に置いた。彼はなんとも言えない思案するような顔で眉をしかめていた。しかし、俺が知らないならいいと思ったのか小さく彼は感謝をしてそれ以上その会話になることは無かった。そこからは他愛もない雑談。グループ大きくしたいね、とかダンス難しいね、とか。お腹いっぱいに膨れるときには話したいことも終わっていた。
夜に予定があると言っていたため、たじくんと解散したのは昼の3時頃だった。軽く大久保を散歩してから帰ろうかとおもっていたが、今日は何となく頭が混乱していたため、一刻も早く家へと帰りたかった。
「最近疲れることなんてなかったのにな。」
電車に乗って外の景色に視線を投げると東京の景色がぐるぐると回っていく。そこには見慣れた景色しかなく味気ないなとまで思えるほど。でもそんな感覚に俺はため息をついた。
「……はぁ」
そして、彼の言葉に歯に食べ物が引っかかった感覚を覚える。なんで記憶のないことばかり…家のベッドにダイビングしようと思って自宅に帰ろうとしたとき、予想外の人物がドアの前で立ちすくんでいた。
〜〜〜 お久しぶりです。モチベが上がってきた為、定期的に更新致します。