マッシュのことを監視する為に付き合ったのは嘘だ。
ただ認めたくなかった。
アイツの事をとてつもなく好きだという事を。
認めてしまったら、別れた時に゛立ち直れなく"なってしまいそうだから。
初めは単なる好奇心だった。
魔法が使えないのに神格者を目指す。
そんなマッシュに興味を持った。
だが、アイツを見ているとだんだん他の感情が湧き上がってきた。
独占欲。支配欲。自分だけを見ていて欲しい。他の奴とは仲良くなって欲しくない。
そんな感情。
他の人間に「無理だ」「できっこない」と言われようがひたむきに努力し続ける姿に惹かれていった。
そして、ふと思った。
『監視するというの体で付き合えば、嫌われたとしてもそこまで傷つかないのでは?』と
自分でも馬鹿だと思う。
アイツに嫌われて傷つかないわけないのに。
分かっているが少しでも自分の事を守りたかった。
そうして自分に言い聞かせた。
これはあくまで『監視』だという事を。
だからクラスメイトやマッシュに「監視するために付き合ってるのか」と聞かれた時否定することが出来なかった。
本当はアイツのことが何より大切で傷つけたくなかったのに
それなのに自分の保身の為にマッシュの事を傷つけた自分がとにかく最低なヤツだと思った。
今すぐにでも謝りに行き訂正をしたいが、きっとマッシュはこんな奴の顔などもう見たくないだろうと思っているに違いない。
そう思うと部屋から出ることが出来なかった。
替えなんて居ない。
マッシュのことだけがひたすらに好きだった。
保身なんかに走らずちゃんと自分の気持ちを伝えていれば、こんなことにはならなかったのに
自分自身の行動を呪った。
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数日後
フィンがレインの部屋を訪れた。
「今回のことはたとえ兄様だとしても許せません。」
「……」
フィンの言うことは正しい。自分はマッシュに最低なことをした。
「マッシュくん、ずっと泣いてました。
辛いって、苦しいって」
「……」
「せめて、謝罪とそんなことをした理由位は話すべきだと思います。」
「…ああ」
「今のままでは、いくらなんでも無責任だと思います。」
「…」
「失礼します。」
そうしてフィンは去っていった。