朝、学校の昇降口で親友を見つけた君は、
まだ朝の気だるさが残った頭で、
「おはよー、」と声を掛けた。
すると、彼は 君の方を振り向いて、
「おっ、らっだぁ!今日は早いやん?」
と言葉を返した。
朝には元気過ぎるその声に、
君は顔を顰める。
でも、うるさ過ぎるくらいが君の親友、
ぺいんと君の性格には合っていて。
それを分かっていた君は、
うるさかった友達に仕返しする為に、
わざと深くため息をついた。
2人以外に誰もいないその空間では、
君の息を吸う音でさえも、
親友によく聞こえる。
案の定心配して来たその友達にむかって、
君はニヤニヤしながら
なんでもないよと 笑った。
意地の悪い君の、ちょっとしたイタズラ。
それに気づかないでほっとしていた、
優しい友達が少し不憫な、くだらない会話。
君は運動靴を上履きに履き替えて、
待ってくれていた友達と共に教室に向かう。
本当に、いつも通りに。
事件が起こったのは、
君がこんな平凡な朝をすごした
次の日のことだった。