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月光が霞む夜。
夜の街は明るく、パチパチとビルが光る。
見上げれば満月が私たちを照らしていた。
どこからか聴こえるピアノの音に足を動かされ、踊るように音の鳴る方へと体を運んだ。
そんな中辿り着いた先には、少し昔を思い返す建物が立っていた。
ピアノの音はこの建物から聴こえる。
入らない選択肢は無かった。
ギィと軋む音が聞こえてから目に入ったのは、今にも溶けそうな彼だった。
「ハヤトさん、遅い」
ここだけ時が止まっているような
この一瞬だけ世界に2人だけのような
月明かりに照らされて主人公になったような
私は彼を認識して脳で処理するまで1分ほどかかった。
ずり落ちた上着にも構わず彼に近づく。
「わっ…、ハヤトさん……?」
黛さんの香り、細い腰、人の体温と感じるのが難しいほど冷たい体、私の頬にかかるサラサラの髪、全部私が愛した彼だった。
抱いてから少し経った今、彼の顎に手を添えてキスをした。