雷鳴が轟き、無数の花が戦場を彩る。空気はピンと張りつめ、世界が二人の戦いを見守っているかのようだった。
「さすがだなぁ、師匠。」
美々華は薄く笑うが、その目にはかすかな焦りが滲んでいた。
「でも、うちをコピーしたって……”本物”には敵わんよ?」
「本物か。」
歩奈は冷たく返す。
次の瞬間、美々華の視界が揺らぐ。
「——え?」
美々華は確かに見た。足元から氷の刃が吹き上がるのを。しかし、それは一瞬で霧散し、代わりに炎の嵐が彼女を包み込む。
「誤認……ッ!」
「アンタだけの能力やない。」
歩奈は無表情のまま、美々華の異能を完璧に再現し、さらにはその応用までも使いこなしていた。
「はぁ、ほんま……嫌になるくらい、うちの動き、読まれてるわぁ……。」
美々華は苦笑する。
だが、次の瞬間——
「でも、だからこそ楽しいんやろ?」
美々華の瞳が妖しく輝く。
「”華乱奏”——!!」
周囲に咲き乱れる花が一斉に弾け、無数の花弁が刃となって歩奈に襲いかかる。
「——遅い。」
歩奈は一言つぶやくと、手をかざす。
「”完全氷結”。」
瞬間、あらゆるものが凍りついた。花弁、空気、地面——すべてが氷の世界に飲み込まれる。
「ッ……!」
美々華は一瞬で身を引き、氷の波から逃れる。だが、背後にはすでに歩奈の姿があった。
「——ッ!!」
——ザシュッ!!
歩奈の刀が美々華の肩を浅く裂く。血が舞い、地に染み込む。
「……やるやん、師匠。」
美々華は肩を押さえつつも、笑みを浮かべる。
「でも、うちはまだ終わらへんよ。」
「終わらせる。」
歩奈の声には一片の迷いもない。
「”妄想櫛棜”。」
その瞬間、美々華の視界が再び揺らぐ。
「——……え?」
「やっぱり、能力、えぐいなぁ……。」
美々華はなおも微笑むが、その表情は確実に焦りを帯びていた。
「でも、それでも——」
美々華の目の前に、ライアの姿が現れる。
「——……ライア?」
「……助けて……。」
その声は震えていた。
「ッ……!?」
一瞬、美々華の動きが止まる。その一瞬を、歩奈は逃さない。
「——終わりや、美々華。」
——ザンッ!!
一閃。
血が飛び散る。
「……っ!」
美々華の身体が、ゆっくりと膝をついた。
「……やっぱり、アンタ……強いなぁ……。」
美々華は微笑む。そのまま、静かに目を閉じ——
——ドサリ。
静寂。
そして、歩奈は刀をゆっくりと収める。
「これで……終わった。」
冷たい風が吹き抜け、戦場を包む花弁が一枚、また一枚と散っていった。
コメント
2件
歩奈ナイス…… パタリンチョ
ちょ、待てよ(( あの、少し叫ばせてくれませんか((((? スゥゥゥ、、、ライアたん可愛いいいいいいい"ぃ"ッッッッ!!!!!( はい、すんません ありゃ、、、???あらぁぁ、、平和お姉さんが、、( てかなんだその喋り方クソ可愛ええやんけ((?