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(隠し続けなきゃ……俺が…かつてのワイマールだった、なんてことは……)
この俺は、かつてのワイマールだった…。
ワイマール時代の俺…いや、僕は、血の繋がった父であるドイツ帝国が苦手だった。
なぜ僕が仲良くしたいヨーロッパ各国をいじめるのか、なぜ…?
なぜなんだよ!!
敗戦後、ワイマール共和国として表に出ることになった僕は、いつも相手国からの借金に怯えなければならなかった。
でも、責任は人間界にあるからと言って僕に優しくしてくれた人がいた。 ……父、ドイツ帝国の敵国だったフランスお兄ちゃんだ。 不思議なことに、僕とお兄ちゃんには玉ねぎ料理という共通点があった。
お兄ちゃんは僕なんかのために、いつも玉ねぎ料理を作ってくれた。
東側では、ロシア帝国さんに貿易面で支えられた。 内戦で倒れかけてるのに、いつも僕を支えてくれたんだ…。
…そんなロシア帝国さんの後に、ソ連って子が来た。 僕にとって唯一、歳下だけどあまり年齢差のない、話しやすい友達だったと思う。
いつからだったかな。
お兄ちゃんのことが、普通の好きではなくなっていった。 もしかしたら、世界恐慌さえなければ、お兄ちゃんと上手く関係を築けたかもしれなかった。 それなのに、現実は残酷だった。
お兄ちゃんは向こうの政策のせいで、植民地を除く僕みたいな他の国との交流ができなくなってしまった。 できるにはできるけど、僕みたいな貧乏には高い関税なんてハードルが高かった。
そんな時に例の政党が国内を掌握していった。
…その影響もあってか、ワイマールだった僕はナチスに変わった。 …変わるしか、なかった。
ナチスとしての俺のズルさも、口の上手さも、全て苦手な父を思い出すようで嫌だった。 でも抗えるはずもない。 国内がそういう時代、環境へと変わっていってしまっていたからだ。
国内が大混乱している…。 そんなことを相談出来る相手など限られていた。 …俺の東側に台頭する、ソ連だ。
俺がワイマールだったということは隠しながらも、あいつとは上手く関係を築けていた。ナチス となってからは、あいつに心が向いていた。 だから不可侵条約を締結し、良い関係が続くはずだった……。
……その関係は結局、政府同士の対立で、破局してしまった。
限界の来た俺は、とうとう自国民へ復讐を始めた。 敢えてソ連国内の下調べは乱雑に行い、派遣した兵士にはモスクワやシベリアへと日帝でいうところの特攻のようなことをさせ、こちら側が敗戦するように工作した。 計画通り、俺は敗戦した。
拳銃で滅びようとしたが、ソ連に止められた。
ワイマールみたいに親友を短命で失いたくないから、らしい。
(ワイマールは昔の俺だが、言ったら世界中にバレるため言わなかった。)
一緒になれるなら…。 そう思った俺は、ソ連に着いていくことにした。
ソ連の案で俺は東ドイツ(ドイツ民主共和国)として、ソ連にずーっと着いていった。
ちなみに西側では、西ドイツとしてフランスに世話になった。
だが、一応フランスとは敵同士だった関係なのだ。 ワイマール時代の想いは、恐らく墓場まで持っていくだろう。
そもそも、そのフランスには恩を仇で返すようなことしかしてない…。
それでも人間界とは違い、フランスはやはりワイマール時代みたいに俺を大切にしてくれた。 本人曰く、ワイマールと西ドイツとしての俺が似ているとの事。
(それは俺がワイマールだからな?)
それで、だ…。
「もちろんドイツは西側に来るよね〜?」
「いや、ドイツはこっち側だろ」
…そう、よりにもよってドイツ統一後にどちら側になるかという、どっちに転がっても俺が精神的に滅びそうな議論にもならない議論が目の前で繰り広げられていた。
「ここはお兄ちゃんの僕に着いてきてくれるはず!」
「いやいや、どうやっても親友ということでЯの傍にいるに決まっているだろう?」
さっきからこの調子だ。
どうしたら良いものか…。悩むだけ悩み、良案が思い浮かばないまま時が過ぎていった。
ある日、珍しくフランスとソ連が静かに話し合っているのを見かけた。
「…良いのかい?
そんなことしたら、ソ連は…」
「良い。こちとら経済難なんだ。それで親父から頼まれた兄弟達も独立して西側へと出て行っている。…ドイツもお前らと共に生き、活躍したほうが恵まれた生涯になるはずだ。かくいうЯも、資本主義に変わる覚悟も準備もしている 」
「だからそれは!
君のアイデンティティの一つである共産主義を…!」
…聞いてしまった。もし、そうだとすると、ソ連は確実に滅びる。
「ソ連…!」
思わず俺は声をかけてしまった。
「…聞いていたのか、ドイツ。聞かれるつもりはなかったから、今回はお前抜きでフランスと話していたんだがなぁ…。まぁ、安心しろ。Яは帰ってくる。約束だぞ 」
声をかけた俺に、あいつはそんなことを言った。
「ざけんなよ…。やっとお前らと過ごせる時代になったと思ったら、また誰かが消えるのかよ…」
悔しかった…。親友に何もできないから…。
「嘘だったら許さんぞ」
「おう、できるだけ早く帰るからな。…ドイツよ、達者でな。(またな…同志の東ドイツ…。いや…大切な親友のナチよ…)」
「…!?」
そう言うと、あいつは滅び去った。俺のことに気づいていたという、衝撃の事実を置き去りにして…。
そして翌日…。
「ソ連の後継で来たロシア連邦だ。
ソ連の持っていた常任理事国や東側陣営の代表としての地位、国内の政策などといったあらゆる事物は全てЯが引き継ぐ」
どこかソ連の面影のある連邦国家が現れた。…話してみると、ますますソ連そのものだった。
「それでなぁ?
この前ウクライナと口喧嘩になった時さ、それはもうベラルーシがすごく怖い形相でЯとウクライナを睨んでくるわけ!
Яもウクライナも怖くて、これ以上は不味いと思って秒もせずに謝ったんだよ。」
「それは怒らせるくらいに喧嘩ばかりして仲直りをしようとしなかったお前ら二人にも非があるだろう?」
それぞれビールとウォッカを飲みながら沢山の話をして笑いあった。だいたいフランスも来たりしている。
「ちょ、君達二人さ…どんな喧嘩したら怒られるのさ?」
…フランスも受けていた。
「なぁ、ロシア…」
「なんだドイツ?」
俺は意を決して聞くことにした。
「…お前ってソ連か?」
そのウシャンカも、その外交力も、話のノリも…全てがソ連そのものと同一だった。
「…フハッ!」
俺の問いに、ロシアは笑ってこう言った。
「バレちまったかぁ…。そうだ、Яは赤き大国だったソビエト連邦。本当はロシア・ソビエトって名前だったんだ。そしてソビエトをやめている今、Яはロシア連邦って名前に変わってんだよ」
深く聞けば、ロシアはウクライナやベラルーシなどの15のソ連構成国たちと合わさり、一人のソ連という存在になって国際会議などに来ていたらしい。…それでも主導権はロシアだったんだな。道理で口調がピッタリと当てはまっていた訳だ。
「いや、当時ウクライナとベラルーシを国連加盟扱いにしてもらってからはЯだけで来てた。あの後、二人には留守番で自治共和国などの世話を任せていたんだよ」
…さすがに、これには驚くしかなかった。
「まぁ、これからもよろしくなナチ」
「知ってて言ってるよな?」
「はは、そうだよ。…これからもよろしく、ドイツ」
「あぁ…!
これからもよろしくな、ロシア」
かつての俺-ワイマール、ナチスへ
俺は今、親友のソ連…ロシアや、兄貴的ポジションのフランスと共に過ごす事ができているぞ。安心しろ。もう、あんな悲劇を繰り返すことのないよう、俺達はお前らのことを忘れたりなんかしないからな……。