伊織
「……寒」
( マフラーを口元まで上げ、路地でそう呟く彼。今は冬の季節。寒いのは当たり前だろう。しかも、雪が降ってるときた。寒いのが苦手なのならば、こんな日に外に出なければ良いものを…。そう思う人も多いだろう。けれど、彼は寒いのが苦手なわけではない。ただ、思ったことをそのまま言ってしまう " 癖 " というものがあるのだ。それはそれで良いものだと思うが、時に人を傷つけてしまう。だから、彼はなるべく言わないようにしているのか、幼い頃よりも無口になってしまった。その事を彼の両親は心配していて…。 )
