主
主
主
日本は、旅が好きだった。
毎日繰り返されるつまらない日常生活から離れ 自分の知らない土地で、その地域特有の様々な文化を学び、自然豊かな場所で解放的な気分に浸りながら絶景を拝み、人の優しさに触れ時には新たな出会いに胸を踊らす。
彼は、そんな情緒溢れる旅の魅力に どっぷりとハマってしまっていたのである。
日本
日本は、また旅に出るつもりだった。
遠出するのに、雨が降っては 行動が制限されてしまう。 せっかく、遠出するのだから晴れてる時に行きたい。 そう思っている日本は 行き先を決めるのは、いつもギリギリだった。
候補の旅先の天気で行き先を決めていたので ホテルや交通機関の予約等が 前日や当日になる日も少なくない。
日本
日本
観光雑誌をめくる度に 目に付いた場所や、地域限定の特産品 有名なお店等をノートにメモしては 自分の優柔不断さに頭を抱えた。
日本
日本
何故、日本がこんなに行き先を 決めかねているのかというと。
今回は、候補にあげている都道府県達の天気が 全て快晴なのである。
今は7月下旬 何時もなら、どこかしらが雨だったり 台風の影響で暴風だったりと 必然的に絞られていくのだが。 今回ばかりは、そう上手くはいかないようだ。
雑誌を読み進めて行けば行く程 日本の興味を誘うものは増えていき それがより一層、彼の優柔不断さに拍車をかけた。
日本
インド
小一時間、雑誌を見ながらうーうー唸っている日本に、頭上から影が落ちて来たと同時に声がかけられる。
聞き覚えのある落ち着いた声に 背中に感じる仄かな温もり。 そして、ふんわりと香る慣れ親しんだ香水の匂い。 それは、ピリッと刺激のあるスパイシーなカルダモンの香り。
日本
日本が、顔を上に向ければそこには 不思議そうに目を丸め、小首を傾げて ジッと日本のことを見つめているインドがいた。
インド
インド
インド
インドは、後ろから手を伸ばして ページをパラパラと流し見しながら 問いかける。
日本
日本
日本
目をキラキラさせながら 嬉しそうな顔をしたかと思えば 次は、眉を下げ困った様な顔を見せる。
コロコロと表情を変える日本。 そんな彼の余りの可愛さに 頭を撫でくりまわしてしまいそうになるのをぐっと堪えた。
想いを寄せている相手の前では スマートで落ち付いた余裕のある男を 演じたいのである。 それが、男という生き物なのだ。 多分
インド
日本
日本
インド
日本
インド
インド
日本
どうやら、意図せず開けてはいけない パンドラの箱を開けてしまったらしい。 今まで、穏やかだったインドの雰囲気が 一気に不穏なものに変わってしまった。
やった方は、すぐ忘れてしまうが やられた方は、永遠に忘れない。 嫌な記憶程、頭に根強く居座るものなのである。
どこからともなく不敵な高笑いが 聞こえて来たような気がして インドは、更に顔を顰めた。
日本
そんなインドの言葉の端々に どこと無く、悲しげな雰囲気を感じ取った日本は インドの片手を自身の両手でにぎり込みながら言った。
日本は、名案を思いついたと言わんばかりに 満足そうにニコニコと笑っている。
インド
日本
インド
インド
日本
日本
過去を引き摺って、ずっと立ち止まっていては 何も始まらない。 自分の殻に閉じこもっていることが 彼に取って最善の選択であれば 何も言わないがそうでないなら話は別だ。
日本
1歩踏み出すのを迷っているだけなのであれば 自身が、その背中を後押してあげればいい。
インド
インドにしては珍しく 眉根を下げて、思案気な顔をしていたが すぐに苦笑すると日本の手を握り返した。
インド
インド
日本
インド
インドは、ボソッと呟くと こっそり左手でボイスレコーダーの電源をOFFにした。
日本
インド
日本
中国
中国
突如、響いた第三者の声に インドの端正な顔が嫌そうに歪んだ
不意に、後ろから首根っこを引っ張られ その息苦しさに涙目になりながら 日本は、掴んでいる手の持ち主を力一杯睨み付けた。
日本
日本
中国
日本
インド
ロシア
仲良くじゃれ合う2人を横目に インドは、中国と一緒にいたロシアと これまた、仲良さそうにグータッチを交わしている。
中国
日本
中国
日本は、嫌な予感がした。
日本
中国
日本
即答で拒否をしようとした瞬間 真横から、凄まじい衝撃音が聞こえた。
中国
中国
中国
日本
日本がつい先程まで使用していた長机は 今では、真ん中から真っ二つに割られている。 中国の腕は、筋が浮かび上がって来ていて それが、断ったら今度はお前がこうなる番だと 伝えているようで、日本は冷や汗を滲ませた。
中国
中国
日本
日本
日本は、内心滝の様に涙を流しながら こくこくと頷いた。
インド
ロシア
日本
日本
こうなったら、もう1人誰かを道連れにしてやろうと、ゲスな思考に至った日本はキョロキョロと辺りを見回した。
日本
NATO
入り口で棒立ちしているNATOと目があった。
彼は憂いと憐みを、存分に込めた目で こちらを傍観している。 そんな目をするぐらいなら ここから助け出して欲しいと全力で願った。
日本
NATO
NATO
日本は、目にも止まらぬ速さでNATOに近づき 彼の腕を掴んでその場に縫い留めた。
日本
NATO
NATO
中国
ロシア
中国
インド
日本
日本
NATO
NATO
日本
NATOの承諾(?)も無事に得たところで
日本の波乱の都道府県旅行が ここに開幕した。
最初の目的地は
中国地方:岡山県
続くよ〜
主
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主
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コメント
29件
岡山、、、、!?マジでいいですよ!!!(岡山在住) 口調は日本みたいな、、、、? そんでまぁまぁ変態、、、?みたいなとこがあります、、、、かね? そんで口調はつねに敬語、時折毒舌なツッコミ訳みたいな、、、、?
言質、取られちゃったね…😏 どうなるんやろ😎😎✨ なんだか祖国が旅行の話している時、こころなしか旅行に行く時の主様が思い浮かびましたわ(,,- -,, ) 中さんと祖国の絡みが🤣🤣 岡山ゆき…私も連れてってくれぇ… ( ᐪ꒳ᐪ )
最高です…🫶💗💗(直球) 岡山県!!ええですよね〜!! 修学旅行の思い出が蘇ってきます😎 NATOさんイケメン過ぎですよ…!!!! 今回も本当に神作ありがとうございました!!!