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20☓☓年
友人
神代颯
俺はあのあと、本当に生まれ変わったらしい。 今は17歳。 現役の男子高校生として、青春を謳歌している。 ………もちろん、有利のことも探している。 俺のように、生まれ変わっていることを信じて。
俺はいつものように、あの場所へ行った。 有利との、思い出の場所だ。
『わぁ、すっごい綺麗!満開だぁ。』 『ほんとだね!』 『俺、花の中で桜が1番好きなんだ。』 『そうなの?』 『うん。』 『ねぇ、颯。』 『ん?』 『………また一緒に、この桜を見に来れたらいいね。』 『…?もちろん!いつでも行けるよ!』 『………うん。』
今思えば、あのときに気づくべきだったのかもしれない。 おそらく何十年も経っているのに、あのときと変わらず、満開の桜を咲かせていた。 この場所なら、有利と会える気がして。 今までずっと、毎日通い続けている。
神代颯
ふわっ 風が吹いて、桜が舞った。 桜の木の下に、人影があった。 それは、ひどく懐かしくて、愛おしくて。 ずっと、探し求めていた後ろ姿だった。
神代颯
その人が、振り返る。 彼は少し目を見開き、そして嬉しそうな、泣きそうな表情で笑った。
藍堂有利
その声を聞いた瞬間、涙が溢れ出した。 耐えきれず、その胸に飛び込んだ。
神代颯
藍堂有利
藍堂有利