忘失少女

扉の前に立つフョードルに手を振って、微笑む。

すると後ろから元気な声が聞こえる。

まるで犬が甘えてくるようで、放っては置けなかった。

ニコライは目がとろけるように微笑み、 フョードルと共に任務へ向かった。

シグマが霞を誘導して、天空カジノへと向かった。

目の前に広がる景色に、子供のように目を輝かせて 興味津々になる。

まるで緊張する我が子を見ているように、 見守る優しさと、別の何かが入り交じってるような 霞の目に、シグマはどこかを魅了した。

その頃、横浜は武装探偵社が天人五衰であるという 頁（ページ）を使われて嘘をつかれていた。

そしてこの騒動には"猟犬"までもが動いていた。

〜数時間後〜

午後の昼過ぎ、公園のベンチで座って 疲れた目を休めるため、目を瞑る霞。

っとその時、

何かが霞の足にあった。

ただのちょっとしたハプニングだ。 その人はお礼を言ってまた歩み出す、

...と思ったが

何故かその人は霞の横へ腰を下ろした。

すると、こう一言。

その人の声が、細胞にみっちり張り付くような 気味悪さが霞を襲った。

────カシャンｯ。

その一言の後、妙に嫌な音が霞の耳を貫いた。

真っ黒な犯罪履歴を、スラスラ読み 霞と手錠で繋がれた腕をグイッと引っ張る。

そう言いながらその人が立ち上がって、 霞もつられてベンチから身が離れる。

ニヤッとするその人は少し嬉しそうに 徐々に口を開く。

〜ムルソー〜

ムルソーとは、危険異能者が集う、危険異能収監場。

そこに奴らはいる...

するとその時、

2人の目の前が、激しく光る。

下から音を出して球体が姿を現す。

「どちら様ですか？」