吸血鬼様のご馳走

自分のことを指さして『こさめ』と名乗る謎の男。

これがいるまの言ってた俺に会わせたい人？

直球。

さっきから直球なんだって。

初めて聞きましたけど？？

そういうと俺の前まで歩いてきた。

後頭部をがしっと掴まれて、こさめの口と俺の耳の距離はゼロ。

顔から熱がぶわっと広がる感覚。

こんなちんちくりんが...Sランク...？

聞く人間違えたかな。

とは言ってもおねだり以前に血を吸ってもらわなきゃダメなんだよな？

いるまをその気にさせるって言ったって...こんな不味い血なんだもん、のってくれないよ。

『 らんくんがえっちな雰囲気だったら血も甘くなるの 』

...えっちな雰囲気、.../

かぷ、っ.......♡

そういい彼の耳を甘く噛む。

ゆっくり頭を縦に振る。

.....かぷ、.....

この噛まれる瞬間がいちばん緊張する。

...ｯかぷ、っ.........♡♡

『 いっぱい喘いでみて 』

そうこさめに言われたけど、ただの吸血でいっぱい鳴くなんて下品じゃないか。

そういう俺の考えが頭によぎり、手を口に当て声を殺す。

...ｯにゅる、っ...ﾋﾟﾁｬ､ｯ...♡

れろ、...っ....ﾇﾙ､ｯ...っ、♡

そういい手をぐいっと引っ張られ、塞ぐものがなくなってしまった。

かぷ、っ...ｼﾞｭﾙ､ｯ...じゅるｯﾞ...♡♡

れろ、っ...ﾇﾙ､ｯ...っﾞ...♡♡

いるまのべろがにゅるっと形を変えて耳を這う。

生暖かくてぞわぞわする。

...っﾆｭﾙｯ...ぬる、っ.....♡♡

かぷ、っ...ｼﾞｭﾙ､ｯ.....♡

耳を弄られる他、腰を掴んで抱き寄せられる。

腹を優しく撫でられ、変に力が入って腰が曲がってしまう。

そういうと彼は舐めていた耳をはむっと一度口に入れる。

無意識に腰を動かしていた事を初めて知らされ、恥ずかしさで力が抜ける。

そういい曲がっていたらしい腰を掴んでゆるく下半身を当ててくる。

狙ってるでしょ。

なんでバカ正直にゆるゆる動いちゃうんだよ、俺の腰。

今すぐに俺がやりたいのはセックスじゃない。

俺の血を吸って欲しいの。

ちがうんだよ。

お誘いだけど、そういうお誘いじゃない。

耳ばっか攻めてきて。

Sランクの頭が良いいるまなら何も言わなくてもわかってよ。

パートナーの君なら、吸血鬼の君なら

もっと深くその牙で俺を突き刺して。

らんは自分のコンプレックスを理解している。

『俺の血は不味い』と。

そんならんから血を吸って欲しいだなんて、こさめから何を学んだのかは知らないけど。

牙を深めにさして、彼が動く衝撃でズレないようにしっかりホールドする。

ｶﾞﾘ､ｯ.....ﾁｩ､ﾞっ.....ちぅ、...♡

ぺろ、っﾁｭゥﾞ...ｯ...♡♡

ﾁｩ､ﾞ...っ...~~~~~~ﾞｯ...♡♡

...ｯﾄﾞｸﾝ...っ───...♡♡

ﾁﾞｭ、ﾞっ...ｯ~~~~ﾞっｯ.....♡♡

呼吸も荒くてずっと身体を震わしているらん。

必死に生きてる小さな子犬みたいで愛おしい。

相当体力を消費したのか、涙目を浮かべて床で弱々しく座るらん。

確かに今日も血は不味かった。

絶対に好んで飲むような味では無いのは確か。

でも口に広がる後味がどこが甘かった気がした。

本当に本当に。ほんの少しだけ、らんの血が甘かった気がした。

よく考えれば不味かったような気もする。

そうだ、きっとただの勘違い。

Fランクの人間のらんの血が甘いわけないんだから。