二次創作・夢小説
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隠し化粧(参加形募集欄)
1話から読む古来より、妖怪や悪魔などの生命体は自身等の事を「化生(けしょう)」と呼んでいた。彼らはとにかく人間が好きだったが、人間は化生の人間離れした力を恐れ、森山へ追いやった。こんな仕打ちを受けても人間を好いていた化生達は、人間の姿に変化する力を身につけた。そして現代日本、今や化生本人達でさえ、人間と化生の違いが分からなくなった頃。日本各地で『誘拐事件』が多発した。化生達はすぐに気づいた。誘拐事件は化生が引き起こしたものだと。だが事件そのものが神出鬼没のため、どうしようもないと考えている時、ネットでこんな書き込みを見つけた。「『誘拐事件』について。有力な情報を提供します。化けた生き物の皆さまは是非お越しください。」人間には意味のわからない、言わば怪しい書き込みで、人間は妖怪などの呼び名は知っているものの、「化生」という呼び方は知らなかった。だから到底行くことはないだろう。この書き込みの意味を理解して、そう、その場所に集まるのは化生のみなのだ。人間としての、人間と共存する平和な暮らしを求める彼らは、書き込みに書かれた住所に向かうべく、今日も隠し化粧を自身に施し、足を踏み出した。