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ー教室内にて。
ジニア
黒髪を一つに束ねた女性・ジニアが、 柔和な笑みを浮かべ軽い自己紹介をする。 スウェットの上に白衣をまとっている為 研究者も兼ねているのだろう。
ジニア
ノア
聞き慣れないその言葉に、首を傾げる。 隣に座っているキラも同じようで、 頭の上にハテナを飛ばしている。
ジニア
その他多数の生徒たちの様子を見て、 ジニアは苦笑しながらそう言う。 元からこうなるのを予想していたようだ。
“守護獣”とは― 能力者を守るよう訓練された 特別な魔獣のことを言う。 能力者の属性に準じた 特徴を持つ魔獣が召喚され、 能力者の生涯のパートナーとなる。
はるか昔能力者同士で争いが 起こった際に、力で人工的に 魔獣を生み出したのが ルーツと言われている。
強かで主人に忠実なオオカミ。
賢く、作戦通りに司令を伝えるフクロウ。
守護獣の性質によって、 能力者の動ける幅も違った。
何より、能力者にはいつも 危険が降りかかる。 窮地に陥った際に協力してくれる 守護獣は、無くてはならない存在だった。
ジニア
そう話終えると、ジニアは懐から 一枚の紙を取り出し、見せて回る。 いつの間にか机の上に、それと 同じものが用意されていた。
ジニア
ジニア
ジニアはその紙に自分の血を 染み込ませ、呪文を唱える。
ジニア
すると“召喚の契”が突如光り、 ジニアの能力である“地”の象徴の 砂埃が立ち込め、生物を形作る。 煙が晴れると、そこには獅子のような 容貌の魔獣が降り立っていた。
ジニア
頭の上を撫でながら、ジニアは 実演して召喚した守護獣について 解説する。 守護獣は召喚した能力者の 属性によってその守護獣自身が扱える 能力が違ってくるのだという。
ジニア
ノアは戸惑いながらも、 これから一生のパートナーとなる 魔獣の姿に思いを馳せ、 “召喚の契”に血を垂らす。 そして、先程ジニアか唱えていた 呪文を唱える。
ノア
“召喚の契”に手をかざし、叫ぶ。 すると、砂埃や木の葉など、ノアの 能力に関わるものが舞い、生物の 形を作っていく。
ノア
ノアが目を開けると、そこには 茶色と緑色のグラデーションが掛かった 翼を持つ、一羽のフクロウが居た。 小さなフクロウにじっと見つめられ、 ノアは思わず固まってしまう。
ノアの様子に気づいたのか、 ジニアが近づき、そのフクロウの 解説を教えてくれた。
ジニア
フクロウの頭頂部を撫で付け、 危険が無いことを伝える。 フクロウは気持ち良さそうにしている ため、撫でられるのが好きなのだろう。
ノア
キラ
ノアの様子を見て、 キラも“召喚の契”を手に取り、 自身の血を染み込ませる。
キラ
キラが唱え終えると、煙と共に 電撃が舞い、一箇所に集結する。 生物の形を作ったと思えば、 一瞬で煙が晴れる。 “召喚の契”はもう電撃で焼け焦げ、 その上にオオカミのような、 オオカミでないような容貌の 魔獣が座っていた。
キラ
ジニア
興奮気味に饒舌に話すその特徴は、 魔獣としては珍しいものだった。 キラが召喚したそのオオカミは、 額から一本の角が生え、それは ネジのように螺旋を描いていた。
10分程経つと、多くの生徒が 召喚を終えたように見える。
ジニア
一同
ジニアの言葉の意図がわからず、 思わず首を傾げる生徒たち。 ジニアは奥の部屋から、何やら布や石など、 色んな物を乗せたカートを押し こちらに進んで来る。
ジニア
ジニアの指示を聞いて、生徒たちは ソワソワしながら召喚した魔獣の特徴を 観察し、ぴったりの名前を考える。 ノアもまた、目の前にいるアメリア・アウルの性格や癖などをよく観察してみる。
ノア
他の生徒が召喚した魔獣は、 産まれたての仔犬のように、主人に じゃれついたり、周りを警戒したり する姿勢を見せているのに対し、 このアメリア・アウルだけは 動かずにいた。
ノア
小さなフクロウを手に乗せ、 そう言い聞かせる。すると、 自分の名前として認めたのか、 ノアの周りをくるくると飛び回る。
ー鐘の音
ジニア
ジニアの言葉によって締めくくられ、 生徒たちは自分の守護獣を連れて 各々自由に話したり戯れたりしている。
ノア
キラ
キラの腕に抱かれた子オオカミもとい、 ミッドナイト・ウルフのウォルン。 小さな、それでも鋭い角を生やしながら、 仔犬のように潤んだ瞳を輝かせている。
キラ
ノア
キラが時計を見ると、いつもの 約束があるのか、ウォルンを抱えながら 教室を出ていく。 ノアはそれを見送りながら、手を振る。
ノア
教室を出ていく際のキラの表情を 見るからに、とても楽しそうな、 嬉しそうな顔をしていた。 どこか飄々としているキラに そういう顔をさせているとは、 一体どんな人物なのか。
ノア
とっても気になったが、 余り他人が踏み込んでいいような 部分ではないと判断する。 ノアはルビィを肩に乗せ、 寮室へと戻って行った。