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無月
無月
無月
無月
無月
無月
優しい君は雨が止むまで偽り続ける
いつか、きみに、優しい雨が降りますように
赤
赤
雨はここ3日ずっと降り続いている。 梅雨はもう明けたはずなのに…
そう思い立ったのは、談話室の窓から、降りしきる雨をぼんやり眺めてた時だった。
もう長いこと俺は太陽を見ていない。
雨の日は退屈で憂鬱で…
大っ嫌いだ。
入院中唯一の気晴らしにしている中庭の散歩ができない。
気圧のせいで頭痛がするのも鬱陶しいし…
そもそも窓の外に灰色の世界が広がっているだけで、どうしようもなく気分が沈む
陽の光も差し込まない薄暗い病院内は いつにも増して寒々しい
赤
ここ数日はそんなことを願いながら過ごしていた
だけど、そんなささやかな願いすら叶えてくれない、暗い空を何日か続けて眺めている中、ふと嫌になった。
これ以上雨空を見るのが耐えられなくなった。
急にプツンと糸が切れたみたいだった。
多分そこが限界だったのだろう。 もう、ずっと疲れていた
終わりの見えない治療にも 周りの同級生との落差に落ち込むことも 真っ暗な未来を悲観することも
小さな頃からずっと大好きだった漫画も 最近はあまり読めなくなっていた。
主人公の活躍や成長にワクワクする気持ちより 幸せそうな主人公を妬む気持ちの方が大きくなって読むのが辛くなった。
好きなものといえば、漫画くらいしかなかった俺にとって それはわりと深刻な絶望だった。
途方に暮れ、少し前に 俺は自分で漫画を描きはじめていた。
他人の描く、知らない誰かの物語を読んでいるから 妬んでしまうのだと思った。
自分で作った主人公なら、自分の分身みたいなものだ。 自分自身を自分の手で幸せにする物語なら
受け入れられる気がしてた。
そんな縋るような思いで必死に描いていた漫画も ふいに全てがバカらしく感じてしまった
誰が読むわけでもない、 自分の願望を詰め込んだ自己満足のための 下手くそな漫画なんて一生懸命に書いたところでなにになるのだろう
完成しても誰かに何かを残せるわけでもないのに
1度そう思ってしまったら、もうダメだった
何もかも無価値で、意味のないことだとしか思えなくなった
無月
無月
無月
NEXTハート15
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