偽りの愛。＿

何されるか分からないから警戒心を強めておく。

ﾎﾞﾌｯ

そういえば、らんは俺ん家のソファが好きなんだったな。

ゆっくりとらんの近くに行く。

心臓がバクバクいってる。

俺…らんのこと怖がりすぎだろ…笑

抱き着いてきて、顔を俺の服に埋めている。

らんの声は今にも泣きそうな声だった。

これ多分、なつへの言葉だな…

俺へ言ってるように見せて、本当はなつへ言ってる。

その後も、らんはひたすらに泣き続けるだけだった。

いつの間にか泣き声が止み、代わりに呼吸が聞こえてきた。

らんを見ると、目が赤く腫れあがってる状態で寝ていた。

まぁ、そりゃあれだけ泣いたらな…

俺はらんをソファに寝かせ、布団をかけてあげた。

我ながらいいことしてるくね？

らんのこと…慰めれてたらいいけど。

目を覚ますと、ふかふかの柔らかいソファの上だった。

そして、そのソファにもたれかかるようにいるまが寝ている。

…布団かけてくれたのかな。

いるまなりに心配してくれたんだろう。

やっぱり優しい。

だからこそ…

じゃないと、食べられちゃうから。

特になっちゃんとか。

ま、そんなこと考える訳ないよね。

部屋に食べ物のいい匂いが広がる。

らんが移動させてくれたのだろうか。

俺はソファで寝ていて、布団もかかっている。

そういうところは本当に変わっていなくて凄く安心した。

キッチンの方を見ると、らんの顔が見えた。

やっぱり、体が勝手にらんを怖がってしまっている。

優しいらんに安心している自分が居る。

もう…警戒しなくてもいいんかな…

ｺﾄｯ…

美味しそうなオムライスが机に運ばれた。

あ、この感じ…

久しぶりだなぁ、…

俺が好きならんは、こういう優しいらんだ。

やっと、元の生活に戻れる…よな。

時計を見ると、もう夜の22時だった。

外寒いし、今から帰るってなったら、らんがしんどいんじゃないか？

まぁ、らんもこの間のことは反省してるっぽいし大丈夫だろ。

ご飯も作ってもらったし…

ﾁｬﾎﾟﾝ…

取り敢えず仲直り成功だな。

ほんっと…仲直りした途端に警戒心ゼロとかヤバすぎ…

またされるかもとか考えないわけ？

ま、そっちの方が都合いいけど。

まずは弱いところを見せて堕とすか。

仲良い関係の人が自分より弱かったりをすると「守りたい」とか「俺が居ないとコイツは…」みたいになると思う。

まずはその状況を作らないといけない。

これが上手くいかなくても方法は他にも沢山あるし。

さっきもいるまに泣きついて弱いところを見せた。

まぁ、泣きたかったのは事実。

泣く寸前で止めようと思ってたけど…

いるまが異様に優しくするから涙が溢れてしまった。

抱き着いたときに思ったけど、

やっぱりいくら背丈が似ていても、違いがある。

いるまの方が少し背も体格も小さい。

まぁ、ほんとちょっとだけど。

ｶﾞﾁｬｯ

あ…この意地悪な感じ、なっちゃんと似てるな~…

ﾁｭｯ…

くちゅｯ…ちゅｯ、

ちょっと体が震えている。

怖いなら突き飛ばせばいいのに。

やっぱり、怖い…

だけど、ここで俺が拒否ったら…また嫌な空気になってしまう。

それは嫌だ。

せっかく元に戻れてたのに。

らんとの関係を壊したくない。

…俺がこういうのを受け止めればいいのか…？

そもそも、らんはなつが好きで…

俺は…利用されてるだけで…

ならもう良くないか、？

らんのことを好きなフリして2人を応援すれば。

そうすれば、俺らは…

でも、お前の手のひらで踊らされる気は無い。

俺がお前を騙して、俺が手のひらで踊らせてやる。

…これで…いいんだよ。