命無輝夜
麗日を断れなかった。輝夜はそれで青い顔を見せる 今は死んだ目をして目の前に置かれた定食を見ていた 机を囲むのは輝夜、麗日、緑谷、飯田の4人。 麗日は輝夜と対面した形で座っており、笑顔で輝夜の口へと食べ物を運ぼう としていた
麗日お茶子
命無輝夜
味噌汁から立ち込めていた湯気も、出なくなっており、時間をかなり置いてしまっていた。 輝夜の隣に座っている緑谷はその様子に汗を流しながら、震える声で 「早く食べようよ...」と呟いた。輝夜は嫌そうに舌打ちをつく。 麗日がライを執拗に昼食に誘っているのは、ただ単に仲が良いと感じている友人だからという理由もあったが、それよりも重要な理由があった
麗日&飯田&緑谷
良く言えば知的探求心の現れ、悪く言えば不純な動機。 それは緑谷と飯田も同じだった。 ライは漸く外す動作を見せる為、三人は唾を飲み込む。 彼らの視線は、彼女に注がれている
外された途端、三人は今までにないほど目を見開いた。 開放的になった顔。薄くありながらもふっくらとした桜色の唇に、左頬には色が良い艶っぽい黒子。そして、小ぶりで上品とした鼻。 _____よく言う美形 変声機を外した事で更に端正さが際立つその顔に、思わず動けなくなった
麗日お茶子
輝夜は無反応で、眉を顰めながらも黙々と食べ進めた 変声機を取ってから一言も話していないため、緑谷が頬を赤らめながら疑問を口にした
緑谷出久
命無輝夜
その瞬間、周囲が静まり返った。理由は予想できないほどの美声だったから。 例えば、感動する歌を聴いたとして、音を発するなど言語道断。 それと同じで、彼女の声に何かを彼せるなど あってはならないと、本能的に感じ取れた。 緑谷は思わずガタッと立ち上がる。 一度頷いたり、それだけでいいと思っていた 緑谷は輝夜が喋るなど一切考えていなかった。 だからこそ、他よりも顕著に反応した。 近くに座っていた生徒だって、ポロッとご飯を零したり、箸を落とす者もいたくらいだ。 しかし、輝夜は特段反応することなく、汁を啜る。
飯田天哉
麗日お茶子
緑谷出久
命無輝夜
落ち着いた頃、続々と声を上げ始める彼らに輝夜も返答。 当たり前なのだが、口調の荒さは変わらないらしい。 変わったら変わったで怖いものだが、この声帯から暴言が吐かれていると思うと今一度不思議だと思うしか無かったのだ。 輝夜がこれ以上触れないで欲しそうな顔を、してるっちゃしている為、緑谷は話を替えた。先程の静寂が嘘かのように食堂が賑やかなので、「人が多いなぁ......」という内容
飯田天哉
命無輝夜
飯田天哉
命無輝夜
遠くでランチラッシュが親指を立てた気がするが、彼女たちは気付くことなく食べ進める その中で、やはりクラス委員長の話も飛び出した
緑谷出久
麗日お茶子
飯田天哉
命無輝夜
飯田天哉
食事中のその言葉の尖りは流石に直すべきだと言えば、やはり悪態つかれる。 飯田は困った様に眉を下げながらも、緊張している緑谷に対して温かい言葉を投げ掛けた。
飯田天哉
緑谷出久
緑谷は目を見開き、飯田を見る。 堅物な印象を持っていた。そして、飯田から敬遠されていると思っていた 緑谷にとってそれは衝撃的だった。
麗日お茶子
何気にザックリと訊ねる麗日に飯田は戸惑いながらも、淡々と返した
飯田天哉
飯田天哉
緑谷&麗日
実に真面目な彼らしい返答だが、それよりも焦点が行くのは、ポロッと出てきた一人称についてだった。 緑谷と麗日は目の色を変え、輝夜も表情こそ変えなかったが、飯田に目を向けた。麗日は興奮気味に訊ねる
麗日お茶子
飯田天哉
二人は飯田に早く話せと言いたげに眼力を送っていた。 飯田は汗を流しながらも、カレーを一口食べた後、参ったとでも言うように話した
飯田天哉
緑谷&麗日
命無輝夜
飯田天哉
命無輝夜
麗日&飯田&緑谷
驚きが絶えず襲ってくる中、緑谷と麗日は飯田から目を離し、今度は輝夜に 顔を向けた
緑谷出久
麗日お茶子
饒舌に語る緑谷に飯田も驚きながらも自信げに呟く。 しかし、緑谷の言う通り、そんな大人気ヒーローと会うなんてどんな出会い方にしろ、凄いことだ。 麗日は冗談風に「輝夜ちゃんもお嬢様だったりして...」と口に出した。 しかし、否定することもなく、黙々と食べ進めている輝夜にまさか、と麗日は汗を垂らす
命無輝夜
緑谷出久
麗日&飯田&緑谷
命無輝夜
ケロリと言い退ける輝夜が、ガチのお嬢様だと目を見開いている麗日だが、 彼女も社長令嬢である。緑谷は感動気に口元に手をやっている そんな2人の様子に輝夜は呆れた様子を見せた
すると、プルプルと震えていた飯田が立ち上がる為、3人は視線を彼に投げた
飯田天哉
飯田天哉
命無輝夜
飯田天哉
涙ぐむ飯田を呆れた目で見る輝夜に、緑谷は信じられなさそうに 目を丸くする。お嬢様と言うと正に八百万のような人物を思い浮かべる緑谷にとって、輝夜の性格は青天の霹靂で、にわかには信じがたかった
命無輝夜
緑谷出久
命無輝夜
飯田天哉
緑谷出久
規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー。 それが自分の憧れで、今の目標でもある。
飯田天哉
飯田天哉
穏やかに口角を上げながら、飯田がそう声にだした その姿に緑谷と麗日は目を点にさせ、輝夜は少し見た後、また食べ始める 麗日はポツリと口を開いた
麗日お茶子
飯田天哉
麗日お茶子
命無輝夜
飯田天哉
飯田天哉
麗日お茶子
緑谷出久
命無輝夜
無情にも、日常というのには、いつかイレギュラーが起こり得る。それが今だった 輝夜が言おうとした瞬間、けたましく嫌な音が耳に劈く。食堂_いや、これは雄英全体に鳴り響いていると漠然に理解出来るが、それよりも何が起きたのか
緑谷出久
アナウンス
アナウンス
誰かが3?と声を零す、飯田が先輩に 「セキリュティ3とはなんですか?」と聞けば、その彼も慌てながらに答えてくれた。どうやら校舎内に誰かが侵入してきたようで、3年間のうち初めての事らしい。だからこそ誰もが慌てていた しかし、そこに似合わず、輝夜は静かにご飯を食べている
麗日お茶子
命無輝夜
その時人の波が押し寄せた。 パニック状態となった人を止めるというのは至難の技。 輝夜が箸を置いた時にはもう流されており、変声機も床に落ちたまま 何処かへと消える。その事に輝夜は軽く舌打ちをついた
人とぶつかりながらも、その激情に巻き込まれながらも輝夜自身は そこに似つかわしくないほど冷静だった 顔を動かし、周囲を見渡した輝夜は一つの確信を持った
命無輝夜
先程から不明確でありながらも予測をしていた輝夜が冷静でいるのは 仕方ないが、それを他の生徒が知っているのかと言えばそうではない 物事を沈着に考える暇を持ち合わせていないのだ 何だって、この天下の雄英とも言える、言えば強固なセキリュティを持つここに侵入なんぞ、混乱の種でしかない
3年生である者も、初めての事だと逃惑うばかり 食堂というのはヒーロー科だけではないと前述したが、つまりそういう事で 一般人とも言えるものが大半 輝夜は体幹が強く、何とか壁側に寄る事ができ、辺りを見渡す
命無輝夜
後でそれは見つけるとして、どうにかこの混乱を終わらせたい、とまで考えた時、視界の端に目立つ紫色が見えた
心操人使
他よりも高い身長でありながら体幹はないらしく、あれよあれよと流される様子が見えた。青白い顔をしており、苦しそうにしているのがよく分かる。 輝夜は内心溜息をつきながら、その青年の方へと手を伸ばし_____掴んだ。
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急に鳴り出した警報を皮切りに、次第に混乱が広がった いつの間にか人混みの中心に迷い込み、酔いそうになっている所で 強く腕を引かれる。思わず声を出したが、それを気にせず引っ張られ、 いつの間にか壁際まで寄せられた
命無輝夜
どんな人がやってくれたのかと顔を見れば、薄い紫の髪を持った美人だった 思わず目を見開く。勿論その美貌にも目を見張ったのだが、この青年に関しては、今の引っ張る力が女性が出したものなのかと驚いているからだ
心操人使
命無輝夜
この端正さとは対照的に、口は思ったよりも荒いらしい。 それにも突っ込みたかったのだが、今彼女なんと言った
心操人使
命無輝夜
彼女が自分の腕を持つのとは、反対の手で示した方を見れば窓。その先を見るために少し右目を眇める。中々人のせいで見えないのだ。
ちらりと外がやっと見え、その先にはカメラやマイク、照明器具を持った、 正にマスコミらしい風貌の人々が居た
心操人使
朝から正門前にマスコミが多かったし、その人たちが侵入してきたのかと何と か理解できた。しかし、彼女の観察眼には驚いた
心操人使
命無輝夜
何だそれ、と思い彼女の方を向こうとすれば、突然人の波が強くなった。また流されるのかと身構えていれば、彼女が自分の腕を強く握って、体勢を変えてくれた。自分が壁側に寄って、彼女がそれに覆い被さる感じで_____
心操人使
命無輝夜
心操人使
そんな事を口ずさみながらも、内心動揺でいっぱいだった。緊張で彼女の顔を見れないけど、距離が近いから嫌にでも彼女の匂いがわかる 一周回って冷静になった時は、ぼんやり彼女を見ていた。 一瞬目が合ったが、すぐにそらされ、横顔がよく見えた。 呼吸音とか仕草とか、髪が一房揺れるだとか、多分今彼女をよく見ているのは世界で俺だけだと思う。身体が内側から熱くて、沸騰しそうになっていると、 不意に声が掛かる
命無輝夜
どうやら自分が邪な事を考えていた間に、もう騒動は治っていたらしい。周りに人影が少なく、床がよく見える。彼女の表情は先程から変わらず無表情を 貫いていて、彼女の心情を知るには言葉しかない
命無輝夜
心操人使
命無輝夜
彼女は戻ると言いたげに距離を取った。 「え」と声を漏らした時にはもうかなり離れていたけど、それを何とか追いかけた。お礼なんて言えてないし、何より次いつ会えるかも分からない人をみすみす逃すほど自分はヘタレじゃない
命無輝夜
..物凄く睨まれる。 しかし、今までの行動で優しい人だってことは分かってる。何より、そのネクタイで...特待生という事だろう。
心操人使
命無輝夜
心操人使
命無輝夜
ふーんと声を漏らせばそれが癪に障ったのか先程よりも強く睨まれた。 いつもの癖で首に手をやりながら「ありがとう、助かった」と声に出す
命無輝夜
心操人使
心操は口角を少し上げた。 輝夜の本調子に笑えてしまったのだ。
命無輝夜
探してみたものの食堂の机や床には変声機は無かった。 あと少しで昼休憩は終わってしまうし、何より雄英は無駄にだだっ広い。自分一人で探すには時間がかかる。些かイラつくが、これは先生に頼むしかない かという考えに至った。途中で会った麗日にもそれを説明し、廊下を歩く。
向けられる視線に輝夜は腹の虫が悪かったのだろう。 その感情を代弁するかのようにドアがぶっきらぼうに開いた。音が響いた後お目当ての教師を探す。
命無輝夜
空気が固まったが、相澤がこちらを向く。その他にもお熱く視線を向けられ輝夜は眉間に皺を寄せながらも、相澤がこちらに来るのを待った
相澤消太
命無輝夜
相澤消太
相澤に関しては、少し遅れながらも第一声がこれだった。 久しぶりに見る姿だし、何よりそんな声だったのかと脳内で処理しきれていない。 ジロジロと見られるのに輝夜がイラついている時、頭にポンッと手を置かれる
相澤消太
命無輝夜
すぐに振り払われるそれに(性格は変わらないよな.......そうだよな)と再確認する相澤。
命無輝夜
相澤消太
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教室に戻れば、戸を開けて入ってくるライに視線が集まる。 大半のものが目を丸くし、固まっていた。
葉隠透
峰田実
葉隠と峰田がうるさく反応する。輝夜は眉をひそめるが、反応がもう面倒くさいと無言で席に座った
八百万百
緑谷出久
目を見開く飯田。 輝夜は心操を庇いながらも食堂での件は見ていたし、聞いていた。だから、突拍子も無くそう言った緑谷に輝夜は驚くことはない。逆に予想がついていた
飯田天哉
…そう、これは飯田が委員長になったというお話
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