5つ子と義兄

ｶﾞﾁｬｯ

ﾊﾞﾀﾝｯ

ｶﾞﾁｬｯ（鍵を閉める

なにアイツらの前で泣いてんだ俺…

まだズボンしか脱いでいないのに、鏡に映ったのは足にも跡が沢山ついている汚い自分。

そんな姿を見て、また涙が込み上げてくる。

ｺﾝｺﾝｯ

すちっ、開けてｯ

なんで構うの…

放っておいてよ…

優しくしないで…

『やめてよ』

その言葉をすちが弱々しく放った。

泣いているのだろう。

ｸﾞｽｯ…ﾋｯｸ…

聞こえてくるのは返事ではなく、微かな泣き声だけ。

ﾀｯﾀｯﾀｯ…

誰かが走ってくる音が聞こえる。

こさめは扉の鍵を持って来てくれたようだ。

こさめは嫌いな人でも、優しいから放っておけないんだもんな。

ま、俺も似たようなものか。

…ｶﾞﾁｬｯ

目の前にはキスマや噛み跡がグロい程つけられているすちの姿。

足には少しだけ白く濁った液体が垂れている。

顔を隠して此方を見てくれない。

ﾊﾞﾁﾝｯ

手を思いっきり叩かれた。

まじ容赦ないな…

いるまはすちの頬を掴んで無理やり顔を上げさせる。

すちの足に垂れていた液体が更に垂れてくる。

もしかしてこれ…

なっちゃぁん！？！？

デリカシーの欠片も無ぇ…

すちはその場にうずくまってしまった。

質問に答える余裕は無さそうだ。

みこと。お前は何故すちがお腹痛いのかすら分かってないだろ。

いるまさぁんｯ！？

やばい…喧嘩始まるって…

ナイスみこと。

下よりもグロい姿が出てきて、俺らは絶句。

すちは今にもいるまに殴りかかりそうな顔をしながら浴室に入った。

ﾊﾟﾀﾝｯ…

ｶﾞﾁｬｯ

今までの母さんが選んだ男は全員ろくでもないし…

警戒しとかないといつボロ出すか分かんねぇじゃん。

どうしよう…今日のこと言うか…？

けどすちは言ってほしくないかもだよな…

…て、ことは…

今晩はお義父さんとすちと過ごさないといけないのか！？

最悪…泣

ｶﾞﾁｬｯ

まだ鼻が赤い…

もしかしたらお風呂でも泣いてたのかな…

それにしてもすちさん、首も隠さないと跡見えてますよ。

あ、まぁ流石に気付くよね~…

え、なに？

なに言ったんだ？

ﾊﾞﾀﾝｯ

いや、こっちまでビビるわ。

すち、大丈夫か…？