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うわ!うわぁ!!!こういう感じの情報量が多い小説感大好きです!
🐤クンどこいっちゃったの😭
んぉぉ…最後の🐤くんが気になりすぎるぅ…ッ…!!😩😩✨✨ それとあのいいですね🐤🍣ほんとに!!🍣🐤もすんごくいいんですけどやっぱ🐤が少し強引な🐤🍣ほんとに最高です🥹🥹✨💕 🐤🐇の子供感ほんとに好きです😖😖💕それを見守る🍣くんといやいや言いながらでもちゃんと着いてくる🤪くん好きですね🥹🥹 4人とも個性豊かすぎて好きです😭😭✨💕 神作ありがとうございましたっ! 続き楽しみに待ってます♪
あれから2週間ほどの月日が流れ、俺たちはそこそこなペースでこのアパートを訪れるようになった。
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しょうちゃんとりうらはどうらや馬が合うようで、この短期間で驚くほど距離感を縮めていた。 一方まろは自分の住居を荒らされて終始死んだ魚の目をしている。ごめん。 りうらは勝手知ったる我が家のように無遠慮な足取りで進み、ローテーブルの前に尻をついて座った。
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白
桃
赤の太文字ででかでかと印刷された「コーラ味」という文字。 変わり種が嫌いな俺にとっては非常に食欲が湧かない。 そんな俺と裏腹に、りうらは銀袋に腕を突っ込んで、ポテチの破片を口に運んだ。 もぐもぐと顎を動かし、深い瞬きを2回してからこくりと喉を鳴らす。
赤
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青
赤
りうらはまろの回答に若干引つつ、口直しをするかのようにカルピスを口に含んだ。 その一連の様子を見て、俺は絶対にそのポテチを口に入れないと心に誓った。
日当たりの悪い薄暗がりの中で、まろ以外の俺たちは画面の小さいテレビに視線を注いでいた。 平日の微妙な時間にやっている番組は微妙なものが多くて、最近SNSでバズった女性アイドルがニュースのスタジオでつまらないトークを繰り広げている。
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女性アイドルの隣に座っていたのは、これまた若い男性俳優だった。 スラッとしたスタイルに欠点のない顔立ちは確かにイケメンだ。低くも柔らかい声色をスタジオに響かせている。
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赤
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思わず口に含みかけていた水が吹き出そうになって、咄嗟に口元を抑えた。 更に器官に入り込んで思いっきり噎せてしまう。
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赤
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続いたりうらの爆弾発言に、2人分の視線が俺に向いて釘を刺した。 2人の冷めたような困惑したような感情を含む視線が俺を穿ってくる。
桃
ニュースキャスター
俺がこの場をどう取り繕うか非常に困っているところで、タイミングよくニュースキャスターの溌剌とした声がテレビを通して部屋に響いた。 3人の意識は直ぐに俺からテレビへと移り、1人でほっと胸を撫で下ろす。助かった。
ニュースキャスター
桃
白
画面には大きな巨大水槽と、それに圧巻される人々の様子が映し出された。 来場客は小学校低学年ぐらいの幼い子供たちが目立つ。
水族館なんてもう何年行っていないんだろうか、なんて完全に他人事のテリトリーでテレビを眺めていた俺だけど、隣の彼は様子が違うようだった。
赤
桃
赤
桃
りうらはその幼い顔をキラキラと輝かせ、俺の方を見つめた。 テレビではダイナミックな水飛沫が売りのイルカショーの様子が放送されている。 ....そういえば、償いごとリストにも水族館の項目があったような...。
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りうらの提案に真っ先に賛成の意を示したのはしょうちゃんだった。 大きな紫の瞳をくしゃっと細めている。 とりあえず1人の賛同を受け取ったりうらとしょうちゃんは、流れるようにして俺を見た。
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良いというより、償いごとリストに記載がある限り俺はりうらに逆らえないのだけれど。 やんわりと賛成してから、俺は目線だけを後方に泳がせた。 恐らくこの4人の中で1番行く気がないであろう男に焦点を当てる。 案の定その青い目はこちら側を一瞥することもせず、先程までテレビ画面に注がれていた目線はもう興味を失ったのか手元のスマホへと戻っていた。
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赤
青
りうらのふくれっ面を見もせず、まろはその大きな図体をごろんと旋回してうつ伏せになるなり、またパックのお酒のストローに口をつけた。 どうしてこの生活習慣で太らないのか不思議で仕方がない。
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赤
青
りうらはまろの返事に無視を決め込んで、しょうちゃんと共に作戦会議を始めた。 テレビの水族館特集はちょうど終わり、厳かな雰囲気で普通の報道ニュースが放送される。
ニュースキャスター
桃
俺は、ローテーブルではしゃぐ2人に視線を落とす。 水族館の公式サイトを覗いて、何か面白そうなものを見つけてはお互いで共有して笑いあっている、そんな様子をソファーから静かに傍観した。
そしてやっぱり、2人とも普通の子供だな、と思った。
あれから、未成年コンビで企てられた計画は思ったよりもスムーズに進み、4日後には目的地に向かう電車に揺られていた。 悔しいけどメディアの思う壷である。
赤
桃
通勤ラッシュの時間帯はとうに過ぎているというのに、路線の大幅な遅延で車内はかなり大混雑していた。 常に誰かの体の一部と触れ合っており、身動きをとるのも難しい。じわじわと蒸すような暑さが充満している。 りうらはとにかく俺とはぐれぬようにと、俺の斜めがけバックのヒモを必死に握りしめている。重い。 彼にとっては人生初の電車だが、これじゃあ外の景色を楽しむ余裕なんて微塵もなさそうだ。
赤
桃
女性の綺麗な抑揚のついた音声が、最寄り駅到着の予告をした。 疲れ切っていたりうらにも希望が差し、ピンと背筋を伸ばす。 電子音と共に扉が開き、俺たちは人の波に押し出されるようにして何とか駅へ降り立った。
赤
桃
最寄り駅というだけあって、駅から水族館の入口までは電車アンチになってしまったりうらを宥めながら2、3分歩いた程度で到着した。 俺はカバンからノートを取り出して、表紙に引っかけていた黒ボールペンを手に取る。
27.でんしゃにのる ○
水族館の方にも丸をつけてしまおうかと思うけれど、一応今日が無事に終わるまでは記入しないことにした。 ノートを閉じ、カバンの定位置にしまつて、周辺をぐるりと見渡す。 集合時間はもう過ぎたのに、2人の姿が見当たらない。
赤
桃
ここまで来てドタキャンか?まろは置いといて、しょうちゃんの性格上なら普通に有り得る。それかまさかまだまろに『水族館行こう』って説得してるとか....いやまさかね。 そこまで馬鹿なやつじゃないと信じて、俺はLINEのアイコンを人差し指でタップする。するとしょうちゃんの自撮りアイコン(自分好きすぎだろこいつ)の隣にしっかり赤い通知マークが表示されていた。そこまで馬鹿なやつではなかった。
『なんか電車ばか遅延しとって人えぐやばくて遅れそうやから2人で先中入っとってー!・ ̫<★・ ̫<★多分そんなに遅れないとは思うけど!!(⌒ ͜ ⌒)⌒ ͜ ⌒』
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赤
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桃
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といってもチケットを買わないとまず入場すら許してもらえないので、とりあえずチケット売り場の方へと足を動かす。 が、直ぐに後方で「待って」というりうらの声が聞こえて足を止めた。
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赤
りうらはその場から動かさずに、自分の右の手のひらを俺に突き出した。
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赤
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俺はぐるりと周囲を見渡す。 平日だというのに、未就学児を連れた家族の客が多くて中々な人数の人がいる。前ショッピングモールに行ったときとは比にならない。 確かに迷子対策という面では良いのかもしれないけど、しれないけど...。
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俺が言い淀んでいるうちに、りうらの頬がゆっくり膨れ上がっていく。 これは.....完全にへそを曲げたりうらの機嫌を取ることの方が大変そうだ。瞬時に判断した。 結局いつも通り俺が秒で折れて、仕方なくその薄くて柔らかくて白い手を取った。 彼は俺と反対にご満悦したようで、控えめに握りしめながら顔を緩めた。
手を繋ぐのはいいんだよ、いいんだけど.....
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MOB2
桃
出た。俺がこの場で1番恐れていた "微笑ましいものを見るようなお母様方の視線" 生暖かい目線と共にくすくすという笑い声がしっかり耳に届く。羞恥で変な汗が吹き出てきた。
桃
赤
赤
チケットを係委員の人に渡し、自動ドアをくぐり抜けると薄暗い空間と水族館特有の臭いが俺たちを包み込んだ。 入ってすぐ大迫力の大水槽が...というわけではなく、最初に出迎えたのは中くらいの水槽に泳ぐ小さめの魚たちだった。 見たことはあるけど名前は知らない、程度の体色が派手な魚。多分熱帯魚とかそこら辺なんだろう、多分。
りうらはそれを発見するなり、吸い込まれるように水槽へと近づき、あれだけ駄々を捏ねて繋いだ手が秒で解けてしまった。 興味ありげに開かれた赤い瞳が、魚の動きに合わせて揺れ動く。
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水中特有の青白い光が魚達を淡く照らし出す。 鮮やかな尾びれを揺らしながら泳ぐ様子は、つまらない大人の心もほんの少し揺れるほどには綺麗だった。
水族館....最後に行ったのいつだったっけ。
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˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩
???
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???
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また、まただ。 この前の夢でも現実でもないナニカ。 白昼夢のような、走馬灯のような...あぁダメだ。やっぱり思い出せない。頭がさっきまで眠っていたかのように朧気だ。 たしか、たしかさっき目の前に───
赤
突如鳴り響いた叫び声が、俺の思考を断ち切った。 ふと我に返ると、もう水槽の前に彼の姿はなかった。 俺は焦って勢いよく後方を振り返る。 りうらは数メートル先の緩やかな下り坂になっている場所で不貞腐れた表情をしていた。
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りうらは驚いた。そして俺も驚いた。 俺は、反射的に走ってりうらの手を掴んでいた。 脊椎に『掴め』と言われた気がした。指先に確かな力が篭もる。 明らかに取り乱している俺に、彼は困惑して何も言わなかった。俺も俺に困惑して何も言えなかった。
2人の間に沈黙が落ちる。
赤
この静寂に満ちた空間を、先に解いたのはりうらだった。
赤
両端の口角が控えめに上がって、大きな目を細めながらくすくすと笑う。 揶揄うようなその態度に、年甲斐もなくむっとしてしまった。
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赤
指と指を絡めたまま、目線を逸らさずにそう伝える。 俺の反応が心外だったのか、その形の良い唇からふぬけた声が漏れた。
桃
今度は俺が微笑して、揶揄するような言葉を投げる。後から思えば非常に俺らしくないと思う。 りうらが1度瞬きした後、彼の耳先がじんわりと赤を帯びたのが薄暗がりでも確認できた。
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俺の腕を少し強めに引っ張って、こちらは一度も見ずに大股でズカズカと歩き出す。やっぱり子供だな、なんて苦笑が漏れた。
さっき見た白昼夢のようなナニカは、そのときにはもう俺の中に残っていなかった。
赤
緩やかな螺旋状になっている下り坂を下った先に、ようやくメインとなる大水槽が姿を現した。 水族館の高い天井にしっかり背の届くほどのそれは流石の迫力だ。 体長が大きな魚も多く、エイやジンベエザメなど馴染みのある生き物が多い。 水槽の近くには小さな子供たちが溜まっていて、隣のりうらと同じように顎を持ち上げてキラキラした顔持ちで見つめている。
赤
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水槽の中のジンベエザメは、白い斑点模様を見せびらかす様に堂々と尾びれを振っていた。
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赤
俺の提案にりうらが足を動かしかけた、ときだった。
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突然、女性の大きな声が空間全体に響いた。 俺とりうらは思わず肩を揺らし即座に後ろを振り向る。 女性の目線の先にあったのは、5歳ぐらいの小さな男の子だった。豪快に尻もちをついているし、誰かとぶつかってしまったのだろうか。 ....いや、"誰か"じゃない。俺はこの顔をよく知っている。
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男の子
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りうらが2人を認識するなりそれなりのボリュームの声で名前を呼ぶと、あちらも俺たちの存在に気がついた。 意味のわからない請求を押しつけられてぽかんとしている男の子を置いて、こちらの方へと歩み寄ってくる。
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それから、俺たちはごくごく普通に水族館を楽しんだ。
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ある程度歩き回って海の生き物を鑑賞し疲れも溜まり始めたころ、屋内に佇むショップに辿り着いた。 中々なサイズの店内は、展示スペースとは対に白いライトで明るくてらされていた。 商品棚には海の生き物をモチーフにしたぬいぐるみや缶のクランチなどがずらりと並んでいる。
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可愛いの陳列にしょうちゃんのテンションは急上昇し、まろの手を引くなり店の奥の方へとあっという間に消えて行ってしまった。 一方りうらは、彼とは反対に入口の目玉商品コーナーからまじまじとグッズを見つめている。
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りうらはチョコクランチの横を通り過ぎて、ゆっくりした足取りで店内を回りはじめた。 顎を上にあげたり下に下げたり、黒目を右に寄せたり左に寄せたり。余すことなく商品の一つ一つを吟味する。
その後も他のグッズに目を引かれることは無く、意外にもぬいぐるみコーナーでも足を止めず、やがて1つのあるグッズの前でようやくりうらは立ち止まった。
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りうらが指さしたのは、銀色のリングだった。 イルカを模したデザインになっていて、イルカの特徴である長い胴体が緩やかに湾曲し綺麗なドーナツ状を象っている。真ん中には純白のビジューが埋められキラキラと輝いていた。同じ銀色のチェーンもついているから、キーホルダーとしての機能もあるのだろう。 りうらはそれを2つ手に取って、1つを俺に差し出した。
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綺麗な赤色の瞳に瞼が重なって、口元は綺麗な弧を描く。 "純粋無垢"という言葉がよく似合うその表情を向けられて、俺は思わず面食らった。 後から何とも形容しがたい感情に苛まれて、また何も言えなくなってしまった。 そんな俺の状況を露も知らぬりうらは、無邪気に俺の腕を引いてレジ前へと誘導した。店員さんに促させるまま、リングを2つ差し出して財布の口を開く。 ....え、思ったより高い...。
スタッフ
店員さんからの感謝とリングを受けとって、1つをりうらへ渡す。 彼は右の手のひらに乗せては、至極嬉しそうにそのリングを眺めた。
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俺たちが買い物を終えたちょうどいいタイミングで、お土産さんの奥地へと姿を消していた2人が帰還してきた。 振り返って2人を認識するなり、俺は思わず目を丸くする。
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しょうちゃんが持っていた...いや、抱き抱えていたのは巨大なシロイルカのぬいぐるみだった。 彼の頭から足の付け根当たりにまで相当するその巨体は、見る側にとてつもないインパクトを与える。
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またやってる...と思いつつ、時間と共にこのやり取りには大分慣れたので、特に気に留めず俺は水族館の公式サイトを呼び出した。画面いっぱいに関内MAPが表示される。 うーん、もう大体回ったよなぁ...。深海魚コーナーはもう行ったし、イルカショーはまだ早いし、アシカショーはもう終わっちゃってるし...。あ、屋外のウミガメエリアはまだ行ってないかも。
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俺は後ろを振り向いた。 だって、後ろにりうらがいると思っていたから。
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