コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
雨音
心からの言葉だった。
苦しいという感情を知った。
嫌だ、とはっきりと思えた。
その時の喜びはなかった。
ただ痛くて、苦しくて。
怪我をしていないところまでも痛んで。
やっと開きかけた扉が閉じられたような気がして、
それが嫌で嫌でたまらない。
全てが消えてしまったような気がした。
温かいのか冷たいのかも分からない雨が頬を 伝っていくのがわかった。
人生に光はなかった。
どれだけ手を伸ばしても届かない。
当たり前だ。
元々無いものに手を伸ばしたところで 届くはずもない。
そんな中でも自分が人と違う事だけは理解していた。
自分自身の心で笑うことができない。
周りが喜べば喜び、悲しめば悲しむ。
それはある意味自分自身の感情なのかもしれない。
幼い頃の記憶がほとんどない。
自分の一人称が決められない。
"私"なのか"僕"なのか"俺"なのか。
今まで"私"として過ごすことが「普通」と言われてきた。
だから表面上は"私"なのである。
これが全部人間じゃない何かのまやかしだったらいいな。
なんて思っちゃったりして。
別に学校が辛いとかはない。
毎朝、教室に入れば"おはよう"と言ってくる人がいて、
わざわざ席まで来て昨日の話をしてくるやつがいて、
すれ違えば手を振ってくる奴がいる。
それに対して私はおはようと返して、
事実でもない自分の昨日の話をして、
手を振り返しては微笑む。
この生活に少しでも期待できる自分がいてよかった。
帰っている途中、女をいじめている奴らがいた。
雨音
言ってから気付いた。
自分は1人で相手は複数人。
そのうえ自分は丸腰であったこと。
____
しばらくそいつらにガンをとばされ、 その後に近づいてきた。
?
雨音
?
なんて言ったか聞き取れなかった。
少し戸惑ったが、すぐ後に言われた。
?
雨音
雨音
?
雨音
雨音
後ろを振り向いたが女の姿はなかった。
どうも思わなかった。
次の日の朝のことだった。
?
雨音
雨音
雨音
?
雨音
?
雨音
雨音
翔
雨音
翔
彼は優等生だった。
昨日のことがまるで嘘みたいだった。
彼は、どこにでもついてきた。
嫌だとは思わなかった。
毎朝挨拶を交わし、何気ない話をする。
他の人と対して変わらない。
雨音
翔
翔
雨音
翔
翔
雨音
雨音
翔
翔
雨音
翔
雨音
翔
翔はレジを済ませる。
翔
雨音
雨音
翔
雨音
雨音
このくだりを5回くらい続けた。
少しだけど、理解できた気がした。
今の自分にとって最大限のことを。
なんとなくわかる気がする。
彼が最近学校に来るようになった理由も。
人の温かさを感じれた気がした。
彼との時間は楽しかった。
はっきりと、そう思えた。
今も、そう思う。