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う"あ"あ"あ"ん"
お父さん
お父さん
如月 鈴
やばい、聞かれてた、どうしよう。 泣いてるところなんて、見せれるわけない。
お父さん
如月 鈴
お父さん
如月 鈴
…話すべき、なのかな。 話してもいいのかな。
お父さんは、全部…聞いてくれるかな。 聞いたあとに、一緒に笑えるかな。
お父さんに、私の秘密全部、話すべきなのかな…。
こういうとき…"本当の家族"なら、ちゃんと話すのかな?
お父さん
如月 鈴
鈴、僕には妻がいたのは知っているね。
僕の妻、楓は生まれつき持病を持っていてね、元々いつ死んでも おかしくはないほど危険で、治療の難しい…難病だったんだよ。
鈴と会う数日前、楓の様態が急変した。最近は落ち着いていたのに、肝が凍りつきそうなほど焦ったよ。冷静ではいられなかった。
お父さん
僕はその頃仕事中でね、楓が病院に運ばれたのを 知ったのが遅れたんだ。
急いで病院に行って、お医者さんからの一言目は "手術をしても宜しいでしょうか" だった。
正直、まだしてなかったのかと思ったよ、お医者さんには悪い けど、あの頃の僕は本当に凄く焦っていたんだ。 この世の全てが真っ赤に見えるぐらい。
すぐに手術を進めてもらったよ。でも、すごく、恐ろしいほどの 時間…体感ではあそこで数年前待っていたようだった。
でも、運命は…。
神様はどこまでも残酷だったよ。
お父さん
楓は助からなかった。 数時間に及ぶ手術の末、最後には焦って手を滑らせた 医者の失敗で死んだ。
この世の全てを恨んだよ。医者も病原体も…僕を楓という、どうしようもないほど哀しくて愛しい人に出会わせた神様にも。
そして、大切を失って途方もなくただ道なりに歩いていたあの日、 君を見つけたんだよ。鈴。
女の子
可哀想だなと思った。それと同時に、どうでもいいなとも。 殴ってくれて構わない。楓を失った当初の僕には、 この世の全てがどうでもよく思えたんだよ。
お父さん
初めは見て見ぬふりして帰ろうと思った。だけれど…。
女の子
小さな木から枝分かれした弱々しく細い枝のような、 雪だるまにつけたような細い腕で抱きつかれて、
こういう時は警察に届ければいいのだろうか。すごく悩んだよ。 難しいようで簡単なことなのに。
女の子
どうしようもないほど、胸が締め付けられたよ。 そして多分、今の僕を見たら楓はぶん殴るだろうね。
彼女は芯の真っ直ぐな人だったから。「何迷ってんのよ!」って 3発ぐらいお見舞いするんじゃないかな。
あまり動いちゃダメなのに、その姿が想像出来てしまったんだよ。
とりあえずは警察に預けて、親が出てこないか1日様子を見たんだ。 でも、出てこなかった。警察から連絡がきて、 最終的な選択を迫られたよ。
お父さん
育てられるわけがないだろう、今の僕に。 でも、今ここで見捨てれば、あの子は二度捨てられたことになる。
まだ10にも満たない子がそんな運命に遭うことを、 楓は絶対に許さない。それは、半分僕の意思でもあった。
だから
お父さん