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春の訪れを告げる3月下旬。この言葉が何回も繰り返されていて、切ない思いになりました🥲💧 夜永ちゃんのお家に行くまで、夜永ちゃんの名前が出なかったのは、初めて2人が会った時の伏線(?)てきな感じですかね?! 読み切りなのにこんなに、胸に残る作品は本当に凄いと思います😫💓👍🏻 言葉選びもとても素敵で😶🌫️ 長文失礼しました🙏🏻
初 コ メ 失 礼 、 オ ス ス メ か ら 来 ま し た 。 長 く て ボ リ ュ ー ム 満 点 で 、 凄 く 面 白 か っ た で す 。 主 人 公 の 名 前 も 可 愛 く て 、 蒸 発 っ て い う の も 思 い つ く の 凄 い で す 、 長 文 失 礼 し ま し た 。
「 悟 」
「 __ が死んだ 」
五 条
五 条
春の訪れを告げる 三月下旬
頬を撫でる 初々しい遥風が
ふわりと舞い散る 桜花と共に
「 許嫁が蒸発した 」
なんて事を 知らせた
十年前
恭しく一礼する そのオンナ
頭を伏せている為 顔は伺えない
それでも体格的には さほど俺と変わらない
五 条
コイツもどうせ ツマラナイ
結局俺に 媚び諂うだけだろう
それが彼女への 第一印象だった
五 条
一応の礼儀として 名だけは尋ねる
もちろん覚える気は 一切なかった
五 条
五 条
パッとしない会話に 苛つく俺が居た
でも
ゆっくりと顔を上げ 言葉を連ねるソイツ
そう言いながら 初めて顔を見せた 彼女の眼は
それは それは
不自然過ぎて 自然な迄に
もう全てを諦めた 死刑囚の様な
神様を前にした 仏教徒の様な
ただ ひたすらに
無気力で 無機質で 無関心な
そんな眼を していた
あれから五年
呪術高専に 二人揃って入学したのは 良いものの
五 条
相変わらずの 塩加減で
硝 子
硝 子
夏 油
夏 油
五 条
オマエを謎の渾名で呼ぶ 硝子と傑
その二人に 指摘された時も
オマエは無表情で
五 条
五 条
少しでも 興味を引こうと
彼女に強く当たる 俺がいた
夏 油
夏 油
夏 油
五 条
傑にからかわれて 意地を張っても
夏 油
夏 油
傑の勝手な誘惑
五 条
それを何故か否定する俺
五 条
それでも オマエは嫌な顔 一つしない
別にアイツの事が 好きという訳ではない
ただ 、単に
俺がアイツの 眼中に無い事が
アイツが俺に 無関心な事が
気に食わないだけ
それでも
五 条
寒空の下
青く霞んだ 二月初旬も
五 条
五 条
五 条
オマエはすぐに 不貞腐れた俺を見つける
余計な期待を 俺にさせる
五 条
五 条
なるべく 何気ない様に
彼女の恋愛事について 話を問い掛ける
またトボける
気付いてないとでも 思っているのか
五 条
五 条
思い切って 言ってみると
オマエは不信そうに 片眉を上げる
それに関しては俺が 馬鹿であって欲しいと願う
五 条
五 条
コイツ目線で
俺が傑に勝てないのは 衆目の事実
俺は傑より コイツを幸せには出来ない
ならせめて コイツには
好きな人と 幸せに結ばれて欲しい
五 条
五 条
そんな 俺らしくない感情を
旋風に預けて その場を立ち去った
その言葉さえ 聴き逃していなければ
この物語の結末は 違ったのかもしれない
なんて事を 一ヶ月後に考えた
そして訪れる 三月中旬
一つだけ空いた 教室の机
アイツの席は 埋まらなかった
夜 蛾
五 条
担任に呼び止められ 足を止める
五 条
欠伸しながら 振り返ると
先生の顔は 何故か曇っていて
同時に何故か 嫌な予感がした
夜 蛾
一度口を開閉させ
そして決心した様に 先生は口を開いた
夜 蛾
夜 蛾
五 条
五 条
嫌な予感は 見事的中
一瞬だけ 先生の言葉が
スローモーションで 聞こえた
五 条
五 条
夜 蛾
空笑いで 笑い飛ばす俺に対して
より一層 黙り込む先生
突如として 怒りが込み上げた
五 条
五 条
五 条
夜 蛾
夜 蛾
五 条
先生の言葉が とても怖く感じた
言葉の最期を聞く事を 俺の全細胞が拒否し
それでも 入ってくる雑音に
頭痛がして 吐き気迄催す
五 条
五 条
夜 蛾
先生が呼び止めるのも 無視して
俺はそのまま 教室を出た
五 条
五 条
やりきれない この感情
胸を渦巻くナニカに 蝕まれて逝く様な
五 条
どうも左胸が跳ね 煩い鼓動が体内を廻る
別に好きって訳じゃない
政略結婚相手で ただの一介の許嫁
それ以上でも それ以下でもない
ならば
五 条
五 条
この胸の痛みや
土石流の様な感情は
五 条
何 と い う 名 の 感 情 な の か
春の訪れを告げる 三月下旬
頬を撫でる 初々しい遥風が
ふわりと舞い散る 桜花と共に
‘ 誰かの雨 ’ を 奪い去った
そしてそれから 数日経った
俺はアイツの死から 未だに立ち直れずにいた
それでも
アイツが死んだとて 時の流れは変わらない
無情にも花弁は散り 葉桜の季節が来る
アイツが死んだ理由
一般人を庇って 死んだらしい
それを 補助監督から聞いた時は
その ‘ 一般人 ’ という言葉に
つくづく 吐き気がした
アイツだって 普通の女子高生だ
ただ 呪いが見えるだけの
幸せになれるはずの 一般人だ
独りで 不条理な世界を嘆くとか
そんな事をしても 変わらない世界で
四席から三席に減った クラスの机を
何もせずに 見つめていた
四月三十日
葉桜が揺れる中
炫 戸
炫 戸
五 条
久々に和服を纏い
禪院家の分家である ‘ 炫戸家 ’ に出向いていた
五 条
五 条
其の炫戸家当主 炫戸 正夜が
炫 戸
炫戸家当主の 一人娘
いや
俺の許嫁の 遺品を差し出した
五 条
少し息を吐き 手を伸ばす
炫戸 正夜から 預かった
彼女の遺品
黒く精密な機械
ボイスレコーダーの ボタンを押す
ジジ ... ジ ... と
機械音が一瞬聞こえ 音声が流れる
「 あーあー 」
「 五条悟くん 」
「 聞こえるかな? 」
相変わらずの 少し冷たい声
それでも 暖かい声で
アイツの声を閉じ込めた 黒い機械が
アイツの変わりに 語り始めた
嗚呼、聞こえてる
心の中でそう呟き 彼女の言葉を遺さず拾う
こんな時でも 上から目線は変わらずで
自然と頬が綻ぶ
まるで重大発表の様な 深刻そうな声
でも もちろん知ってる
顔や仕草に 全て出ていた
... 嗚呼、それは
初耳だ
最期の方 ごにょごにょと
少し口籠った所で 話を切り替えた
照れ臭そうに 少し笑うオマエに
俺は驚きを 隠せなかった
夜 永
夜 永
夜 永
── プツ ッ
そこで 許嫁からの
夜永からの
遺書が終わっていた
そして 一年後
またやって来た 桜の季節
花見次いでに 彼女を想う
五 条
いつも通りに 皮肉たっぷりで
それでも 少し頬は緩んで
五 条
春の訪れを告げる 三月下旬
頬を撫でる 初々しい遥風が
ふわりと舞い散る 桜花と共に
今は亡き 許嫁の事を
どうか忘れぬ様にと 花を揺らした
死 亡 者 、 俺 の 許 嫁 。
五 条 悟 G o j o S a t o r u
×
炫 戸 夜 永 K a g a y a d o Y o n a g a
f i n