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ある日
八尺様を探していたら
一人の少女と出会った
その少女は可愛らしく
明るくて真っ直ぐで
素直ないい子だった
その子は
私を見つけると
笑顔で駆け寄ってきた
私が名前を聴くと
彩と答えてくれた
彩といる時は八尺様のことを忘れてしまう
不思議だ
あんなに毎日探しているのに
片時も忘れた事などなかったのに
彩は私に八尺様を忘れさせてくれた
彩といると今までにあったこと全てが
なかったかのように思えた
そんな穏やかな日々がしばらく続いた
その頃にはもう
八尺様を探すのはやめていた
だって
もう探す必要がないんだから
私は見つけたの
自分を必要としてくれる人を
自分を大事に思ってくれる人を
だからもう
八尺様は探さない
だって
私が八尺様を探していた理由は
生前の私は
小さい頃から
両親から虐待を受けていた
日々増えていく身体の痣と
壊れていく心
学校でもいじめにあっていた私には
何処にも居場所なんて無かった
そんなある日
私は八尺様を知った
八尺様は気に入った子を何処かに連れ去ってしまう
八尺様なら私をこの生き地獄から解放してくれるんじゃないか
そう考えるようになった
八尺様に連れ去られてしまえば
もう辛い思いなんてしなくてすむ
八尺様に会いたい
八尺様に魅入られたい
八尺様の存在は私にとって救いだった
どれだけ辛いことがあっても
八尺様を探している時だけは
希望を持てたから
だから私はずっと探してた
私をこの地獄から救ってくれる誰かを
ずっと
ずっと
でも
結局八尺様を見つける前に私は
実の母親に絞め殺されて死んじゃった
それでも諦めきれなくて
死んだ後も幽霊になって探し続けた
ずっと
ずっと
でも私が必死に探していると
周りの人は皆んな気味悪がって逃げていく
私が笑えば
悲鳴を上げながら走り去っていく
それがとても悲しかった
私は
死んだ後も一人なんだ
そう考えるととても胸が苦しくなった
でも
彩は違った
皆んなみたいに私を扱わなかった
私を大切にしてくれた
だからもう私に八尺様は必要ないの