誰もいない学校の屋上
私はフェンスの低いところで靴を脱ぎかけていた。
全てを終わらせるために。
ふと、その時に三つ編みの先客がいることに気づいてしまった。
彼女も飛ぼうとしているところだった。
私
思わず声をかけてしまった。
でも、口をついただけ。本当はどうでもよかった。
先を越されるのが何となく癪だった。
すると、三つ編みの子は語る。
どっかで聞いたようなことを。
三つ編みの子
三つ編みの子
何それ、ふざけんな。
そんなことくらいで…私の先を越そうだなんて。
欲しいものが手に入らない、なんて
どうせ奪われたことすらないくせに。
三つ編みの子
そう言って三つ編みの子は消えてった。
キーンコーンカーンコーン
私
私
翌日
さぁ、今日こそは。
そう思って昨日と同じ場所で、靴を脱ぎかけた時に
背の低い女の子がいることに気づいた。
そして、また声をかけてしまった。
私
背の低い子
背の低い子
背の低い子
何それ、ふざけんな。
そんなことくらいでこの子も私の先を越そうとしていたの?
クラスでは孤独でも
家では愛されて、どうせ温かいご飯もあるんでしょ…?
私
私がそう言うと
背の低い子
背の低い子
背の低い子
背の低い子
そう言って泣いて、背の低い子は消えてった。
キーンコーンカーンコーン
響くチャイムを聞いて
あぁ、また飛べなかった。
そう思いながら私は教室へ戻った。
あれからも、そうやって何人かに声をかけて、追い返して
私より先に飛ぼうとする子を止めていった。
でも、私自身の痛みは誰にも言えないままだった。
そんなある日だった。
初めて見つけたんだ。
私と似たような悩みの子を。
何人目かに会った、黄色いカーディガンの子。
黄色いカーディガンの子
黄色いカーディガンの子
黄色いカーディガンの子
口をついてでただけで、本当はどうでもよかったけど
思ってもいないことをその子に言ってしまった。
私
あぁ、どうしよう。
この子は、止められない。
私には、止める資格がない。
それでも、ここからは消えてよ…
私
消えそうな声で私がそう言うと
黄色いカーディガンの子
その子はそういって、目を伏せたまま消えてった。
あぁ、今日こそは誰もいない。
私、1人だけ。
今日は誰にも邪魔されない。
誰も、邪魔してはくれない。
私
1人でそう呟いて、私はいつもの場所へと足を運んだ。
やっと、終わる。
そう思うと気が楽になった。
最後はありのままの私で飛ぼう。
そう思って、私は親から付けられた痣を隠すために着ていた、カーディガンを脱いだ。
そして、学校で地味な人間でいるためにしていた三つ編みも解いた。
私
そう呟いて
背の低い私は
今から飛びます。
コメント
2件
まって!私の大好きな歌だ!!ありがとうございます💓書いてくれて!!