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朝、いつものように起きてリビングに行くと、一枚の置き手紙があった。
蘆屋道満
暫くの間出て行きます。 探さないでください。 蘭丸
昨日あんな事があったんだから当然だ。
…それに、心配してくれた朱雀の気持ちを俺は踏み躙った。……そればかりか、余計な不安まで与えてしまった。
どうしてもっとちゃんと向き合えなかったのか、…どうしてもっと話し合わなかったのか、酷く後悔した。
…ただ、仕事の事で頭がいっぱいで、朱雀の気持ちを考える余裕が無かった。
ただ”アイツに勝ちたい” ”認めさせてやりたい”。そんな思いで今までやってきた。
朱雀を好きだったのは嘘じゃない。朱雀の事を愛してるから俺はアイツと恋人になった。
…でも確かに俺は、朱雀より晴明の事を考えている時間の方が多かった。
見栄っ張りで自己中心的で、朱雀に余計な心配をさせてしまった。…晴明に勝つ事に必死になって、自分の体調管理もまともに出来ない。いつの間にか、我を失ってしまっていた事を今更ながらに自覚して酷く後悔する。
蘆屋道満
(走
パチンコ、キャバクラ、アイツの行きつけのBAR。思い当たる所は全て周った。
…でも、アイツは何処にも居なかった。
晴明の事ばかり考えているのは事実だ。…でも、俺の全ては朱雀で__
アイツが居たから俺は、今の今まで頑張ってこれた。
俺の願いを叶えてくれて、どんな時でも傍に居てくれた。
…アイツが居なくなった俺には一体何が残るんだ……?
ドサッ
蘆屋道満
蘆屋道満
上手く呼吸が出来ない。
焦点が合わない。
…此処で倒れる訳にはいかない。
…アイツを見つけないといけないのに__。
グラッ
蘆屋道満
「先生…!目を覚ましましたよ。」
「…!」
「…具合はどうですか?」
蘆屋道満
蘆屋道満
「道で倒れていたんですよ。」
「もう帰ってしまいましたが、ジャージを着た髪の長い男性がこの病院まで運んでくださったんですよ。」
蘆屋道満
蘆屋道満
「丁度1時間ほど前ですね。」
蘆屋道満
「それより最近、ちゃんと睡眠や食事を取っていなかったんじゃないですか?」
蘆屋道満
「…栄養失調と過労です。」
「暫く入院してください。」
「…幸い命に別状はありませんでしたが、最悪の場合、死に至る事があります。」
「…行き過ぎた労働は控える事。…それと、栄養のある食事をしっかり取り、ちゃんと睡眠を取ってください。」
蘆屋道満
それから俺は、暫くの間入院する事になった。
いつも通り食事を取って寝る__。そんな生活が暫く続いたある日の事だった。
目が覚めると病室の中に花束が置かれてあった。
蘆屋道満
ガラッ
蘆屋道満
「こんにちは。気分はどうですか?」
蘆屋道満
蘆屋道満
「…誰も来てませんけどねぇ…。」
「…!おや、その花__」
「スザクじゃないですか。」
蘆屋道満
「えぇ。」
「スザクはサクラ科の花なんですよ。…だから恐らく、春に咲くのではないでしょうか。」
「…とても綺麗な花なんですよ。(微笑」
蘆屋道満
ギュゥ…
「とても大切そうに抱えていますが、好きなんですか?スザク。」
蘆屋道満
蘆屋道満
蘆屋道満
「…もう春ですねぇ…。」
蘆屋道満
「…スザクの花、見つかりますかね。」
「…サクラとほぼ同じような見た目なので、探すのは困難ですが、見つけられたらいい事あるかもしれませんよ?」
蘆屋道満
「スザクの花言葉は”純潔” ”恋愛成就” ”願望成就”だそうです。」
「それに、中国の神獣で朱雀と言う火を司る美しい見た目をした鳥も居るそうで…、その鳥は、”逆境に打ち勝つ力”と”幸運”を与えてくれるそうですよ。」
「だからきっと、蘆屋さんの願いも叶えてくれますよ。」
蘆屋道満