テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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クリスマスローズ

第6話 - 6.好きだよ今も

140

2024年08月19日

#氷織羊

#糸師凛

#凛潔

#腐るーろっく

いち💐🤍

糸師の母

あ、冴！

糸師の母

凛は？いた？

糸師冴

あぁ、学習室借りて勉強だってよ

糸師冴

勉強熱心な事で

糸師の母

学習室…？

糸師の母

凛がそんなとこ行ってたなんて…

糸師の母

連絡の一つでもくれたらいいのに…もう！

糸師冴

連絡…

糸師の母

あの子いっつも連絡してこないの

糸師の母

前に電車が遅延して遅れる時も何も言わずに帰ってきたんだから！

糸師冴

…

糸師冴

風呂、入ってくる

糸師の母

は〜い

糸師　凛

…

糸師冴

凛

糸師　凛

…んだよ

糸師冴

お前がそんなになったのは

糸師冴

俺のせいだな

糸師　凛

…黙れ

糸師　凛

分かったような口聞くんじゃねぇぞ

糸師冴

俺にいくら盾つこうが関係ねぇ

糸師冴

母さんの事は、大事にしてやれよ

糸師　凛

…いっつも上から物を言う

糸師　凛

その癖は治ってねぇのかよ

糸師冴

良い加減大人になれよ、凛

糸師　凛

……ｯ！

糸師　凛

この野郎…ｯ

俺はただ怒りに身を任せて強く握った拳を突き出した

冴の何も揺らがない表情に目掛けて

初めて兄の顔を狙って殴りかかった

滅多に兄弟喧嘩なんかしなかったからだろう

兄に憧れていたあの頃の記憶を捨てようと

拳に力を込めて…

幼少期の凛

凛！

糸師　凛

(おれ…？)

氷織　羊

凛くん！

糸師　凛

…なんで

糸師冴

だからいつも子供扱いなんだよ

糸師冴

守られてる立場だって事に気づけ

糸師　凛

…ﾁｯ

凛くんのお兄さんが家の中に入っていく

閉まっていくドアをじっと見つめる凛くん

氷織　羊

凛くん

声をかけると凛くんはこちらを振り向かないまま

糸師　凛

なんで声をかけた

糸師　凛

お前が声をかけなかったら俺はあいつを…

顔を見なくても分かった

声が震えていた

きっと自分の行動に恐怖を覚えたんだ

咄嗟に出た衝動に自分で驚きを感じている

氷織　羊

凛くん

糸師　凛

…なんで

糸師　凛

…んで

糸師　凛

…いつは……だろ

僕の声が聞こえてない

何かをブツブツと呟いている

慌てて凛くんの前に回り込んで方を揺さぶった

氷織　羊

凛くんｯ！凛くんｯ！！

氷織　羊

凛…ｯ！！

糸師の母

どうしたの、朝から喧嘩？

糸師の母

って凛！

糸師の母

取り敢えず入って、凛！

糸師　凛

…

糸師の母

貴方は…

氷織　羊

氷織…氷織羊です！

氷織　羊

凛くんと同じ学校で

糸師の母

羊…羊くん

糸師の母

あ、凛

糸師の母

帰ったなら一言言いなさいよ、もう！

糸師　凛

…ごめん

糸師の母

え

糸師　凛

…？

糸師の母

いや、お風呂！

糸師の母

お風呂入ってきなさい、

糸師　凛

あぁ

凛がごめんなんて謝ったのはいつぶりか

糸師の母

（この子が生まれてから冴も明るくなったのよね）

凛が生まれて冴が笑うようになって

冴が帰ってきた日、あの日から2人とも変わった

何があったのか、聞く勇気はないし

でも最近は楽しそうだし

糸師の母

あ、ねぇ、凛

糸師　凛

なに

糸師の母

今日、1人だったの？

糸師　凛

…

昨日の夜、脱衣所に向かう凛に聞いた

糸師　凛

氷織といた

糸師の母

ひおり…？

糸師　凛

氷織羊

糸師　凛

学校の先輩

糸師の母

あ、ちょっと！

それ以上何も言わずに凛は行ったけど

糸師の母

貴方が羊くんね

糸師の母

凛と仲良くしてくれてありがとう。

氷織　羊

僕のこと…知ってはるんですか？

糸師の母

昨日初めて聞いたのよ

糸師の母

凛が学校の先輩だって

氷織　羊

先輩、

氷織　羊

あの、凛くんは？

糸師の母

自室に寝かせたわ

糸師の母

凛のことは良いから、学校まで送るわ

糸師の母

遅れたらまずいでしょ

氷織　羊

いえ、ご迷惑じゃなければここにいたいです…

糸師の母

！

糸師の母

もちろんよ、構わないけど…

糸師の母

お母様、ご心配なされるんじゃ？

氷織　羊

…いえ、母は大丈夫です

氷織　羊

ここにいさせて下さい。

糸師の母

そう、

糸師の母

じゃあ話をしましょう

氷織　羊

は、はい！

糸師の母

氷織くんは凛とどんな関係？

糸師の母

校舎も違うし関わる事もないでしょう？

氷織　羊

…音楽室で授業を無断欠席してました

氷織　羊

サボり…です

氷織　羊

そこに凛くんが来て先生に見つかりそうなところを庇ってくれたんです

氷織　羊

それから話すようになりました。

糸師の母

凛が庇った…

糸師の母

凛ね、ここに転校して少ししてね

糸師の母

変わっちゃったのよ

氷織　羊

…僕にも冷たくなりました

糸師の母

…凛のこと、嫌いにならないであげてほしいの

氷織　羊

…！

糸師の母

あんな子だけど本当はよく笑う子なの

糸師の母

呆れられちゃったら仕方ないんだけどね…笑

糸師の母

昔からよく人に迷惑をかける子だったから…

糸師の母

ここに転校する理由もね前の学校で暴力沙汰を起こしたの

氷織　羊

暴力沙汰…？

糸師の母

ええ、

糸師の母

それで学校に行けなくなってね

糸師の母

転校する事になったんだけど県外がいいってなったら

----------------------------------------

糸師　凛

京都…京都に行きたい

----------------------------------------

糸師の母

って凛が

氷織　羊

潔くんが、おるから？

糸師の母

多分そうね

糸師の母

いつも潔くんの話ばっかりだったから

糸師の母

暴力沙汰のこともね、相手の子も手を出したからって

糸師の母

警察沙汰にはならなかった

糸師の母

でも凛から理由もなく殴り掛かるなんて考えられないの。

糸師の母

氷織くん

糸師の母

お願いがあるわ

氷織　羊

…その理由を、聞き出して欲しい

糸師の母

！

糸師の母

そう！

糸師の母

難しいことは分かってる

糸師の母

今日会ったばかりの貴方に頼むなんて非常識よね

糸師の母

分かってるの、でも…

糸師の母

凛のことを理解できない自分が嫌なのよ

氷織　羊

…僕じゃ、聞き出すなんて。

糸師の母

お願い、

氷織　羊

…僕が…

糸師　凛

学校、行ってくる

糸師の母

凛、今日は休みなさい！

糸師の母

ふらついてるじゃない！

糸師　凛

…

氷織　羊

凛くん、僕と行こうや

糸師　凛

…！

糸師の母

氷織くん…

氷織　羊

君が恐れる事も、僕がおれば止めれる

氷織　羊

舐められたら困るわ

糸師　凛

…勝手にしろ

氷織　羊

大丈夫です、お母さん

氷織　羊

僕が次は助ける番ですから

氷織　羊

ほな行こうや、凛くん

凛くんのお母さんに軽く頭を下げると鞄を持つ

凛くんの背中を押してリビングを後にした

氷織　羊

あー、生徒指導の先生、おらんとええけど…

糸師　凛

お前の母さん、怒るんじゃねーのかよ

氷織　羊

んー、怒る…やろうな

氷織　羊

けどもうええねん

氷織　羊

親に縛られて生きるのはうんざりやから

糸師　凛

…母さんと何を話してた？

氷織　羊

今日はよく話してくれるんやね

糸師　凛

言いたくないなら…

氷織　羊

凛くん

氷織　羊

前の学校で何があったん

糸師　凛

…その事か

糸師　凛

聞いたのか、全部

氷織　羊

まぁね

糸師　凛

潔の話、先にした方がいい

糸師　凛

その話と…繋がってる

氷織　羊

潔くん…と

ほんとは分かり始めていた

潔くんに関係があると聞いた瞬間

いや、もっと前から浮かんでいた

その可能性が高くなっていることに嫌気がさした

糸師　凛

潔はみんなの中心にいた

糸師　凛

俺は馴染めなくて潔を通してでしか輪に入れない

糸師　凛

日に日に周りの奴らは俺を嫌ってった

糸師　凛

でも潔だけは俺を庇った

氷織　羊

…あ

氷織　羊

それで…潔くんが

糸師　凛

…あぁ、嫌がらせの的になった

氷織　羊

…それで…

糸師　凛

転校は父親の転勤が理由

糸師　凛

俺のせいなんだよ

糸師　凛

潔が今も苦しんでるのは

氷織　羊

…そんな…

糸師　凛

俺は、お前の気持ちに答えられない

糸師　凛

潔に謝って償う

糸師　凛

そうするしか俺に残された選択肢は残ってない

そう話す凛くんの目はどこか寂しげで

夏の日差しがよく照りつけて真っ白な肌を焼いている

こんなに大きな体で、こんなにも多くの罪を背負う

僕を突き放したのは凛くんなりの優しさ…

そう思ってしまう

糸師　凛

お前はまだ俺を好きだって言うのかよ

氷織　羊

…

好きだよ

君の不器用な優しさが大好きだ

でも、何も言えへんかった

この話を聞いて嫌になったんやない

潔くんの思いの強さを思い知らされたから

クリスマスローズ

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