ぜんぶ

・🍵👑 ・R15前後 ・ヴァンパイアパロ

俺の知っている吸血鬼はみんな欲求が透けて見えていて、正直優しさなんて持ち合わせていない。

常に獲物を狩るような獣の目をしていて恐ろしい。

でもすちくんは吸血鬼だけど、どんなときだって優しさを忘れない。

そんなすちくんに強引に手を引かれ、廊下をスタスタと歩く。

手首がちょっと赤いけれど、きっとすちくんはそれに気づかない。

教室に入るなり黒板に軽く押し付けられる。

目線を上げればすぐそこにすちくんの顔があって。

所謂、壁ドンと言うもの。

いつもより少し低めの声で名前を呼ばれる。

真っ直ぐに俺だけを見つめる瞳が少し揺れているような気がして。

ぺろ、っ.....♡

ずいっと顔をさっきよりも近づけてくる。

...ｯがり、っ.....♡

ｶﾌﾟ､ｯ...っ...ﾁﾞｩ､.....っ、♡

吸われたところがどんどん熱くなっていってる気がする。

するとすちくんは歩き出して、俺の後ろにくるりと移動する。

制服のベルトに手をかけられて、抵抗ををするがその力に勝てるはずもなく。

シャツのボタンをひとつずつ、またひとつずつとゆっくり外していく。

俺の首筋を指で沿うようにいやらしくゆっくりなぞって。

腰を掴んで抱き寄せられる。

すちくんがゆるゆると下半身を押し付けてきて。

...っﾁｭﾙ､ｯ...くちゅ、...っ...ｯ、♡

ｯちゅく、...ｸﾁｭ､ｯ...っｸﾞﾁｭ､...♡

っﾁｭｸ､...ﾁｭﾙ､ｯ...ちゅく、.....♡

思うように呼吸が出来ない。

すっちーと同じタイミングで吸おうとしても不規則で中々読むことが出来ない。

口を開ければ奥へと舌が入ってこようとするせいで安易に開けることも出来なくて。

それでも酸素は失われるばかりでずっと苦しくて。

はやく離してくれなきゃ、甘い唾液に溺れそうになってしまう。

そんな俺に追い打ちをかけるように腰周りを優しく撫でられる。

胸板を叩いても動じてくれないすちくん。

いつにも増して随分といじわるで、小悪魔みたいでゾクッとする。

ｶﾞﾘ､ｯ...っ...かぷ、っ.....♡

舌を思いっきり噛まれて頭が少しビリビリする。

口に何故か鉄の味が広がって、そこに手をやると薄く赤色が付着する。

いやらしく微笑むすちくん。

...っかぷ、.....っｼﾞｭﾙ､ｯ...♡

耳を優しく甘噛みされる。

聞きなれないえっちな音がいつもの何倍も響いて思わず動揺してしまう。

耳元で囁かれる感じが俺のナニかを刺激して、思わずゾクッとくる。

逃げられないようにホールドされていたその腕がするっと抜ける。

すぐ離れようと足を動かすけど、何故か思い通りにならなくて。

床にぺたんと座り込むことしか出来ない。

両手で肩を掴まれて、ぐいっと押し倒される。

馬乗りになって、見下すように俺を真っ直ぐと見つめるすちくん。

赤い瞳がきらりと揺れる。

それは紛れもない、吸血鬼の目。

優しくは無いけれど溶けるくらい甘い、たしかに吸血鬼のすちくんの目だった。