パラパラと雨が降る中、傘をさしてコンビニへ歩く。
りぃちょ
マフラー無しではとても外に出られないほど気温が低く、両手を擦りながら歩を進める。
りぃちょ
強い光を浴びながらコンビニの自動ドアに近づいた。
ふと横を見ると、見慣れた男がいた。
りぃちょ
しろせんせー
そいつは浴衣姿に全身びしょ濡れで、髪の毛先からぽたぽたと水を垂らしていた。
りぃちょ
しろせんせー
りぃちょ
俺の方なんて見向きもせずに、アスファルトの地面だけを見つめて喋る姿がなんだか腹立たしくて、おれは早足でコンビニへ入った。
しろせんせー
一瞬驚いたような顔をして、直ぐに眉間に皺を寄せて中へ入っていった。
しろせんせー
しろせんせー
数時間前。
俺は大学の奴らと行った祭りの帰りに、1人で夜風にあたりたくて公園のベンチでボーっとしていた。
しろせんせー
しろせんせー
そんなことを考えていると、後ろから声をかけられた。
大柄の男
茶髪の男
しろせんせー
人がいい気持ちで黄昏ていた所に来たガラの悪い2人組に、なんだか腹が立った。
大柄の男
茶髪の男
凄い力で腕を掴まれて、恐怖と不快感で体が震えた。
しろせんせー
手を振りほどこうにも、力が強く振り払いきれない。
大柄の男
茶髪の男
そう言いながら、慣れた手つきで身体を縛られ、服を脱がされた。
そこからはよく覚えていない。
ただ、乱暴に抱かれて、殴られて、蹴られて。
散々中に出されて、気持ち悪くて、苦しくて、痛くて……………
無我夢中で、走って逃げた。
思い出すと身体中に悪寒が走り、吐き気を催した。
しろせんせー
りぃちょ
俺が口を押えてうずくまっていると、先程不機嫌そうにコンビニへと入っていったりぃちょが帰ってきていた。
しろせんせー
りぃちょ
しろせんせー
りぃちょは何故かコンビニでタオルやら水やらなんやらを買っていた。
しろせんせー
少しふわふわとした気持ちになりながら水を飲む。
少し落ち着いてきて、りぃちょにお礼を言おうと顔を上げると、心配そうにこちらを見つめていた。
りぃちょ
しろせんせー
ゆっくりと立ち上がって
はだけてボロボロになった浴衣を直しながらりぃちょの後ろについて、薄暗い街を歩く。
タクシーを捕まえて、俺の家まで送ってくれた。
りぃちょ
しろせんせー
そうだ。こいつ帰るんだ。
どうしよう。ここから家まで、少しだけど…ほんの少しの距離だけど、今の俺からすると、かなり長い帰路……。
気づくとりぃちょの裾を掴んでいた。
りぃちょ
しろせんせー
りぃちょ
しろせんせー
自分がめんどくさいことを言っているのは分かっている。
でも、りぃちょは嫌な顔ひとつせず、優しく微笑んで歩き出してくれた。
家に着くと、真っ先にシャワーを浴びにいった。
鏡に映る自分の身体にある赤い跡、青あざ、噛み跡。
気持ち悪くて、自分の身体が、すごく汚く見えて
しろせんせー
涙が溢れて、戻してしまった。
りぃちょ
心配になり、早足でお風呂場へと歩く。
りぃちょ
扉を開けると、脱衣所で口を押えながら蹲るせんせーがいた。
りぃちょ
身体が異常な程に震えていて、思わず手を伸ばしてしまった。
しろせんせー
パシン、という音を響かせ手をはたかれた。
りぃちょ
しろせんせー
引きつった笑顔でそう言った。
りぃちょ
りぃちょ
ゆっくりとしゃがみ、目線を合わせて、できるだけ優しく話した。
しろせんせー
ボロボロと涙を流して、足ふきマットを握りしめて話し始めた。
しろせんせー
しろせんせー
りぃちょ
しろせんせー
せんせーの身体はボロボロだった。
身体中にある無数の噛み跡。腹や背中に、まだ新しいものであろう痣。腕と足に、強く掴まれた跡までついていた。
りぃちょ
しろせんせー
こくりと、小さく頷いた。
俺はゆっくりとせんせーを抱きしめて、めいっぱい頭を撫でた。
りぃちょ
りぃちょ
せんせーの気持ちを考えて、少し泣きそうになった。
しろせんせー
おれの胸に顔を埋めて、苦しみを吐き出すように泣いている。
りぃちょ
お風呂から上がったあと、泣き疲れて寝てしまったせんせーをベッドに寝かせ、ソファを借りて眠りについた。
翌日
しろせんせー
後ろめたそうに目を逸らしながら、震える手を押えてそう言った
りぃちょ
少しの苛立ちと、少しの懸念を抱いてそう伝えた。
握ったせんせーの手は、冷たかった。
しろせんせー
りぃちょ
しろせんせー
せんせーが手を握り返してくれた。
りぃちょ
それから何週間かせんせーの家に滞在していた。
テレビにガタイのいい男が映って、口を押えてトイレに向かうせんせーを何度も見た。
りぃちょ
いつまでもおれが一緒にいるのでもいいけど…
"おれに依存する"のと、"せんせーが大丈夫になる"のは違う気がする。
りぃちょ
しろせんせー
編集をしながら返事をする。
りぃちょ
ガタン、と音を立ててせんせーのコップが倒れる。
しろせんせー
倒れたコップを放ったまま、ゆっくりとこっちを振り向く。
りぃちょ
しろせんせー
せんせーの腕に、少し力が入る。
りぃちょ
りぃちょ
しろせんせー
りぃちょ
来月はEBE以外にも、色々と仕事が入っている。
本当はおれが何とかしてあげたいところだけど、このままじゃ"依存"になってしまう。
それだけは避けたい。
しろせんせー
しろせんせー
しろせんせー
せんせーの身体が震え出して、顔色が悪くなる。
ごめんね…でも、このままじゃダメなんだよ。
りぃちょ
りぃちょ
りぃちょ
しろせんせー
しろせんせー
せんせーは暗い顔のまま部屋を出て行ってしまった。
りぃちょ
りぃちょ
スマホを開いて、キャメさんと連絡を取る。
りぃちょ
キャメロン
キャメロン
りぃちょ
りぃちょ
りぃちょ
翌日
せんせーがソファに座るおれの前に立って、目を真っ直ぐ見つめる。
しろせんせー
りぃちょ
しろせんせー
声も、手も、足も震えてる。
怖いのに、決心してくれたんだ。
前に進む覚悟を、持ってくれたんだ。
りぃちょ
嬉しくて、涙が溢れそうになりながら頭を撫でる。
しろせんせー
りぃちょ
キャメさん達に連絡を入れて、OKが帰ってきたので身支度をすませる。
りぃちょ
しろせんせー
震える手を強く握って、玄関の扉を開けた。
コメント
3件
神作品♥️短編なのにすごく続きが気になる😩😫