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朝、目が覚める。
ぼんやりと本を読んでいる彼の姿が目に映る。
片手は私と繋いだまま。
私は看病しながら寝ていたのか。
不安を感じさせない、君の明るい笑顔に私は再び涙を落とす。
こんなの滅茶苦茶だ。
滅茶苦茶なことを言ってることなんて、私が1番分かってる。
分かってるけど……!
出てくる言葉はどれもこれも我儘なものばかりだった。
でも、それ以上に私の気持ちは溢れて止まらなくて。
その後もずっと君に溢れる気持ちをぶつけていた。
ようやく私が落ち着くと、一言だけ
と言い、話し始める。
そもそも癌が見つかったのは私と出会った日で、
色々な不幸が重なり重なり合ってもうこのまま死のうと思っていたらしい。
しかし私と出会い、仲良くなり、気になり始め、好きになったから生きようと思えたこと
だから私を傷つけたくなくて、話すのを先延ばしにいていてしまったこと。
一つ一つ丁寧に、まるで赤子に話しかけるように優しく話してくれた。
それでも私は悲しみが拭いきれなかった
別に君は悪くないんだ。
そんなの分かってる。
話したくないなら話さなくてもいいし、隠したいんだったら隠せばいい。
それでも私に理由を説明して癌のことを話してくれたのは、私の我儘を聞いてくれたんだね。